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知られざるネパールの大規模「登山偽救助」詐欺、世界中の保険会社から数百万ドルをだまし取っていた


トレッキングに関わる会社やヘリコプターの運航会社、病院や代理店からなる大規模なネットワークによる、偽の登山救助を演出して世界中の保険会社から数億円をだまし取っていた「偽救助詐欺」が拡大していることをネパールメディアが報じました。

Inside Nepal’s fake rescue racket
https://kathmandupost.com/money/2026/03/27/inside-nepal-s-fake-rescue-racket


偽の救助詐欺の手口は、医療上の緊急事態を装ってヘリコプターを呼び、観光客を病院に入院させた上で、実際の出来事とかけ離れた保険金請求を行うことで保険会社から多額の保険金を詐取するものです。この詐欺が巧妙な点として、例えばオーストラリアやイギリスを拠点とする外国の保険会社が、「ヒマラヤ山脈の僻地にある標高3000mの谷で起きた出来事」を詳細に検証することは難しいというものがあります。

ネパールの主要な日刊紙であるカトマンズ・ポストは2018年に初めてネパールで行われている偽の登山救助詐欺について報道しました。報道を受けて政府は事実調査委員会を設置し、700ページに及ぶ報告を作成した上で改革を発表しました。

しかし、2025年にネパール警察の中央捜査局(CIB)がこの事件の捜査を再開したところ、詐欺行為は過去の報道や政府調査によって止まるどころかむしろ拡大していたことが判明しました。

CIBの調査では、詐欺グループが登山救助をねつ造するための主な方法が2つ特定されました。1つ目に、例えばエベレストのベースキャンプにたどり着く過酷なトレッキングを終えた後に、帰宅まで最大2週間かかるところ、ガイドが「病気のふりをすればヘリコプターが来る」と医療上の緊急事態を装うものです。目的地にたどり着いたものの歩いて戻りたくないと感じる観光客はしばしばいるため、そういった人々を利用する事で詐欺を行うことができるケースを生み出しています。


2つ目の方法として、標高3000m以上では血中酸素飽和度が低下したことによる手足のしびれや頭痛などの軽度の高山病の症状がよく発生します。大部分は休息や水分補給、またはゆっくりと下山することで解消しますが、ガイドやホテルのスタッフは登山者に「死の危険があり、すぐに避難しなければ助からない」と告げます。救助要請が出ると、実際は1機のヘリコプターに複数の乗客が搭乗したにもかかわらず、乗客1人1台のヘリコプターが用意されたかのようにそれぞれの保険会社に個別に全額の請求書が提出されます。

CIBの調査によると、高山病予防薬であるダイアモックス(アセタゾラミド)錠を、過剰な水分摂取と併用して投与し、救助要請を正当化するような症状を誘発していたケースもあったことのこと。また、観光客の体調不良を引き起こす目的で、食品にベーキングパウダーが混ぜられていた事例も確認されています。

捜査の結果、2022年から2025年にかけて詐欺に関与したとみられる病院で治療を受けた外国人患者4782人が特定され、そのうち171件で偽の救出行為が含まれていたことが確認されました。これにより詐欺に関与した疑いのある病院は最大で1587万ドル(約25億円)を受け取っていたことも判明しました。


詐欺に関与して122万ドル(約2億円)以上を受け取っていたとされるシュリーディ病院のギルワン・ラージ・ティルミナ医師は捜査に対し「私の病院は、事業促進のために収益からトレッキング会社や救助会社に手数料を支払ったこともある」と詐欺への関与を認めています。

政府の事業調査委員会は2018年にすべてのヘリコプター会社、病院、旅行会社、保険会社に対し、救助飛行と医療処置の詳細を観光捜索救助委員会、観光警察、観光省に提出することを義務付けるよう勧告した上で、仲介業者を排除して旅行会社は旅行期間中の顧客に対して法的責任を負うことと定めました。しかし、詐欺は依然として継続していたことから、「今回の新たな調査は、ネパールにおける制度的失敗を浮き彫りにするものだ」とカトマンズ・ポストは指摘しています。

CIBのマノジ・クマール長官は「この詐欺が撲滅されずに生き残ったのは、取り締まりが緩かったためです。犯罪に対して何の措置も採られなければ犯罪はまん延します」と語りました。2026年3月12日には、CIBが国家に対する犯罪と組織犯罪の容疑で救助詐欺の疑いがあるヘリコプターの運航会社の従業員や病院の医師や管理職を含む32人を起訴しています。

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