au「4G LTE」通信障害で700円返金＆iPhone下取り検討中、さらに設備増強に総額300億円投資

4月末に1回、5月末に2回、合計3回に渡って4G LTE対応機種の通信障害が発生したKDDIで、原因と対策についてのPDFファイルが公開されました。これによると、LTE基地局制御装置(MME)のバグが4月の通信障害を引き起こし、それを修正するためのファイル投入が5月の通信障害を引き起こしたとのこと。

一連のLTE通信障害の原因と対策について | 2013年 | KDDI株式会社
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2013/0610a/index.html

一連のLTE通信障害の原因と対策について (2.8MB)(PDF)
(PDFファイル)http://www.kddi.com/corporate/news_release/2013/0610a/pdf/sanko.pdf

データ通信・音声通信の障害が発生したのは4月27日・5月29日・5月30日の3回。発生時間は4月27日が6時間17分、5月29日が18時間43分、5月30日が9時間58分で、影響は東京都・神奈川県・山梨県の一部で最大約64万件に及びました。

障害の概要

LTE基地局での接続管理がどうなっているのかを図示したものがこちら。端末からの通信は基地局を経由してMME01・MME02の2系統に流れています。

4月27日は、リセットバグによってMME01が使えなくなり(片系断)、リカバリー処理バグを誘発したことで、残るMME02も倒れて両系断となりました。

5月29日はこのバグに対処すべくMME01に修正ファイルを投入していたところハードウェア障害が発生、切り戻しをしたことで片系断に。すると、MME01の処理をMME02が引き継ぐのですが、ここで一部輻輳が発生し、再びリカバリー処理バグが起きて、両系断。

5月29日はデータ通信だけではなく、音声通信でも障害が発生しました。これはMME障害に伴って、4G LTE対応端末がLTE網から3G網に移動したことによって加入者情報管理システム(HSS)に大量の接続通知があり輻輳が発生、一部のHSSへの接続が正常に行われなくなり、音声の発着信が困難・不可になる端末が出たというわけ。

5月30日も29日と同じように、MME01に修正ファイルを投入しようとしましたが、その準備中に特定プロセスが過負荷になったため片系断。MME02への引き継ぎ処理で輻輳が発生してリカバリー処理バグが誘発され、MME両系断に。

「フラグメンテーション処理に係るリセットバグへの対処」「リカバリー処理バグへの対処」など、クリティカルな課題がありますが、今は安定的に運用できている状況だとのこと。

4月27日の通信障害を受けて、復旧や監視体制の見直し、設備投資の実施が決定していますが、さらに5月末に2度の通信障害があったことで、MME増設スケジュールが前倒しになり、設備投資も総額300億円になっています。

スケジュールはこんな感じ。KDDIによるとMME設置台数は現在19台ですが、8月末には50台、9月末には58台に増強する予定だとのこと。

この通信障害の影響を受けた人は、請求額が700円引きになります。対象となる人には6月末までに「重要なお知らせ」のメールなどで連絡が行われます。

なお、この資料ではLTEの仕組みについても改めて説明が行われています。Android LTE端末、2.1GHz帯LTE端末(iPhone 5など)、3G端末がそれぞれ使用している帯域の違いはこんな感じ。

そして実人口カバー率についても言及。AndroidのLTE端末であれば最大75Mbpsサービスで97％をカバーしているとのこと。iPhone 5など2.1GHz帯を使うLTE端末でも、37.5Mbpsであれば5月末時点で71％をカバー、75Mbpsサービスでも20％をカバーしています。

なお、KDDIの田中社長は、iPhone 5の実人口カバー率を過大表示していた問題を受けて、iPhone 5の購入者が別の端末に買い換える場合、購入代金を補償する形での下取りを検討しているとのことです。

ｉＰｈｏｎｅ５の下取り検討　ａｕ、カバー率過大表示で - 47NEWS（よんななニュース）
http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013061001001594.html