中国のハッカーへ反撃して物理的に破壊する法律を許可すべきかどうか?

By Brian Klug

近年アメリカの主要な会社が、特許を取得しているソフトウェアや企業情報、知的財産を盗むことを目的とするハッカーによって海外から攻撃を受けているのは公然の事実です。アメリカ国防総省と外交官は、ハッキング集団を背後から支えている中国政府や軍を強く非難しました。現在、元政府高官と幹部のグループによる新しい報告書では、知的財産のハッキングが将来に渡って継続する場合、いかなる人物であってもアメリカの会社が「コンピューターをハッキングした相手のネットワークを物理的に破壊すること」を可能にする法律を作ることを検討するべきであると述べています。

【PDFファイル】IP Commission Report
http://ipcommission.org/report/IP_Commission_Report_052213.pdf

Should US companies be allowed to hack China in revenge? New report says yes | The Verge
http://www.theverge.com/2013/5/22/4356196/report-tells-congress-companies-should-hack-back

公表された報告書はこの法案を「積極的なネットワーク防御」と呼び、具体的には「ハッカーが利用しているネットワークにマルウェアを植え付けて、ハッカーのシステムカメラをコントロールし、ハッキング行為中のハッカーを撮影する。もしくはハッカーのPCやネットワークをマルウェア攻撃で物理的に破壊してしまう」などの反撃方法が法律で認められる可能性があります。報告書では「今すぐにハッキングを受けている会社に反撃する権限を与えるわけではないが、将来的に現在のような攻撃を受け続けるのであれば議会はこういったことを真剣に検討しなければいけない」とも述べています。

By Brian Klug

これらのCISPA法案の成立に関する要請は、法的な権力を持たない民間組織である知的財産侵害に関する委員会から提出されました。民間組織とは言っても、元ユタ知事であり駐中国大使であったジョン・ミード・ハンツマン ジュニア氏や前アメリカ国家安全保障大臣のデニス・ブレア氏が共同代表を務めており、また元インテルCEOや元立法者、企業の幹部などがメンバーに名を連ねています。ハンツマン氏とブレア氏は、中国が知的財産侵害が横行する場所として批判する社説をワシントンポストに寄稿し「中国からのハッキングに対する私たちアメリカの対応は弱く、団結力に欠けていましたが、アメリカはハッキング攻撃を行っているものに対して、知的財産を侵害する行為が危険であることを知らしめなければいけない」と述べています。

By Brian Klug

しかしこういったハッカーに対する反撃に反対する声も存在します。国際的なサイバーセキュリティコンサルティング会社TaiaのCEOジェフリー・カー氏は「ハッキング攻撃に対してハッキング攻撃で仕返しするという行為は、神の教えに背くことでありまったく恐ろしい考えであるので、民間会社がハッカー攻撃への反撃を合法的に行えてしまうCISPA法案を成立させるべきではない」と述べています。また、カー氏は「もしCISPA法案が議会やホワイトハウスによって可決され法案が成立してしまえば、多くの電子機器を含む物資を中国から輸入しているため、アメリカと中国の間に新たな外交問題が起こってしまうことが心配です」とThe Vergeに述べました。戦略・国際問題研究所公共政策と技術計画の管理者のジェームズ・ルイス氏もまた、ハッキング攻撃に対して反撃行為を可能にする法案を通そうとしている議会を警戒し「私たちはネット空間をより安全に整備すべきで、この法案は国益を著しく傷つける悪法だ」とカー氏同様にThe Vergeで述べています。ただ、新しい報告書にこう言った意見が取り入れられるかはわかりません。

「ネットワーク上の侵入者に対して反撃する権利をアメリカの会社に与えるかどうか?」という論争の的になっている考えは、何人かの法律専門家および会社によってもっと前に提案されていたものです。すでにいくつかの会社はアメリカでは法的に反撃をする権利を許していないにも関わらず、実行していると言われています。

By Adam Thomas

ハンツマン氏が代表を務める知的財産侵害に関する委員会からの新しい要請は、元オバマ政府職員が関係していることもあり高い注目を集めることが予想されますが、その間にも中国政府とアメリカ政府は最近のサイバー攻撃についてお互いを公の場で非難し合っています。一方でこれら二カ国はハッキングとIP乗っ取りなどの国際的な問題に協力して取り組む姿勢も表明しています。これらもろもろの問題は6月に行われるオバマ大統領と習近平国家主席との初めての会合で話し合われることになっており、今後の動向に注目です。

By U.S. Department of Agriculture

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