Apple純正HDMI変換アダプタの思わぬ正体、フルHD出力はアプコンだったことが判明

By smjbk

AppleがiPhone 5やiPad mini、iPad Retiaディスプレイモデルなどに搭載しているLightningコネクタからHDMIで映像を出力するLightning - Digital AVアダプタが、映像を1080p(1920×1080)でそのまま出力しているわけではないことを、iOSやMac向けアプリを制作しているPanicが発見しました。

Panic Blog » The Lightning Digital AV Adapter Surprise
http://www.panic.com/blog/2013/03/the-lightning-digital-av-adapter-surprise/

Apple’s Lightning-to-HDMI adapter can’t mirror the iPad mini’s display at 1080p | Ars Technica
http://arstechnica.com/apple/2013/03/apples-lightning-to-hdmi-cant-actually-output-at-1080p/

AppleはiPhone 4Sまで使用していたドックコネクタを、iPhone 5からは小型化したLightningコネクタへと変更しました。

iPhone向けにアプリを開発しているPanicではいろいろなデバイスへの映像出力を試していて、このLightningからも同じようにLightning - Digital AVアダプタを使用して映像をHDMI出力していましたが、そこで奇妙なことに気付きました。

それがコレ。アダプタは「1080pでの出力に対応」とされているので、推奨サイズは1920×1080(1080p)になるはずですが、なぜか1600×900になっています。

何かがおかしいと気づき、旧型のドックコネクタAVアダプタを同じようにつないでみたところ、こちらは推奨サイズはちゃんと1920×1080に。

Panicが映像を確認したところ、ただHDMIで生のデータをそのまま流しているだけであれば出てこないはずの「MPEGのブロックノイズ」を発見しました。

本来、映像ミラーリングが行われるというのであれば、iPhone上で見えているのと同じクリアな映像が接続したテレビでも見られることを期待しますが、実際にPanicが接続するとこのように文字の周りにノイズが入っていました。もちろんこれは旧型アダプタを使用すると入らないもの。

Panicがアダプタを分解すると非常に小さな抵抗器がいっぱい。

なんと中にはARMのチップ(SoC)が入っていました。

簡単に言えば「Lightning - Digital AVアダプタは画像圧縮システムを搭載している」ということで、アダプタを経由すると映像は一度1600×900になり、そこから1080pにアップスケール(アップコンバート)されているというわけ。アダプタはただLightningコネクタからHDMIまでの接続を橋渡ししているのではなく、これ自体が映像の調整をしていたということです。

これを指摘した記事のコメント欄に現れた事情通によると、Lightningは「シリアルバス」なので、一般に使用されているHDMIケーブルのように生のHDMI信号を通すことができないため、出力ストリームは一度エンコードされてLightningを通過し、ARM SoCに渡されたところでデコードされ、HDMIに出力されている、ということだそうです。

ただ、そのおかげで出力先が何であるかということに依存しないため、相手がHDMIではなくどんな未知の形式であってもLightningと接続するためのアダプタさえ作ることができれば出力することができる、とのことなのでこれはこれでアリなのかもしれませんが、Appleの販売ページ中にははっきりと「最大 1080pのHD画質で出力します」と書いてあり、誰が読んでも通常は「1080pのキレイな映像がそのまま出る」と解釈してしまうはず。「1080pで出力できる、できると書いたが実際にはそこまで届いていない、しかし一応1080pだ」というのが実情なわけで、やはり以前までのアダプタのように1080pでキレイに出力できるようになんとか改良して欲しいところです。