ハードウェア

最大転送速度40GbpsでUSB 3.0の8倍速い「USB4」の技術仕様をUSB-IFが正式に公開

by GEEK KAZU

USBの普及を促進する非営利団体「USB Implementers Forum(USB-IF)」は、2019年9月3日にUSBの新規格であるUSB4の技術仕様のバージョン1.0をメーカー向けに公開しました。仕様自体は既に策定が完了していましたが、USB-IFが正式に技術仕様を公開することで、USB4を採用する製品の開発が進められるようになります。

USB4™ Specification | USB-IF
https://www.usb.org/document-library/usb4tm-specification

USB 4: Everything We Know So Far
https://www.tomshardware.com/news/usb-4-faq,38766.html


USB4の暫定仕様は、USBの仕様策定を行う業界団体「USB Promoter Group」によって2019年3月に発表されていました。それによると、端子の形状はUSB Type-Cで、USB 2.0やUSB 3.2との後方互換が維持され、認定ケーブルを使った場合の最大転送速度は最大40Gbpsとのことでした。

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USB-IFによって正式に公開されたUSB4の正式仕様は暫定仕様とほぼ同じ。Thunderbolt 3をベースに開発されているUSB4の接続端子はUSB Type-Cで、認定ケーブルを使うことで最大40Gbpsの通信が可能。この最大通信速度はUSB 3.2 Gen 2x2の2倍、USB 3.2 Gen 1x1(USB 3.0)の8倍となります。ただし、この最大通信速度はあくまでも理論値であり、すべてのデバイスがサポートするわけではありません。

USB Promoter Groupのブラッド・サンダースCEOは、技術系メディアのtom's HARDWAREに対して「USB4の通信速度には10Gbps、20Gbps、40Gbpsの3段階が存在します。USB4を搭載したほとんどのPCがThunderbolt 3で動作するようになるでしょう」と述べています。


また、USB4はディスプレイの接続とデータ送受信、電力を同時に送受信することが可能となっています。例えば、USB4と認定ケーブルで外付けSSDから大量のファイルをコピーしながら4Kモニターに出力する場合、ビデオ信号帯域幅に12.5Gbpsが必要であるならば、残りの27.5Gbpsをファイルの送受信に使えるというわけです。

さらに、3月に発表された暫定仕様でも示されていた通り、USB 3.2、USB 2.0、Thunderbolt 3との後方互換性もUSB4の仕様に明記されています。Thunderbolt 3はIntelとAppleが共同開発したデータ伝送技術であり、Thunderbolt 3を製品に採用するにはライセンスが必要でした。しかし、2017年5月にIntelがThunderbolt 3のロイヤリティをフリー化すると決定。これによってIntel以外のメーカーの製品でもThunderbolt 3互換をもたせることが容易となり、USB4の仕様の基盤となりました。

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規格の正式名称は「USB4」であり、「USB 2.0」や「USB 3.2」と違い、「USB」と「4」の間にスペースは入りません。これについて、サンダースCEOは「バージョン番号からブランド名に焦点を当てるため」と説明しています。

例えば、USB3.2という規格の中だけでも「USB 3.2 Gen 1x1」「USB 3.2 Gen 1x2」「USB 3.2 Gen 2x1」「USB 3.2 Gen 2x2」という4バージョンが存在します。しかし、そのうちUSB 3.2 Gen 1x1はそれまでのUSB 3.0、USB 3.2 Gen 2x1がそれまでのUSB 3.1のことであり、USBの規格名の乱立が消費者や市場に過度の混乱を招いているという批判もありました。

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「今私が言いたいことの1つは、USB 4.0、USB 4.1、USB 4.2……といった名付けをするつもりはないということです。USB4は独自の速度を備えた独自のアーキテクチャであり、速度ごとに小数点表記でリリースすることはありません。もしUSB4から速度向上が図れるのであれば、より速いバージョンの認定とブランドを策定するだけです」とサンダースCEOは語っています。なお、USB 3.2接続には「SuperSpeed USB」という名前がつけられていますが、USB4接続の名前はまだ発表されていません。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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