スマホの消費電力を半減させ連続通話時間を向上させる電源制御技術を東芝が開発
By Fabio Salmoirago
東芝がスマートフォンのWCDMA・LTEなどの信号を送信する際に必要なCMOS電力増幅器の電力効率を改善する電源制御技術を開発、送信電力レベルに応じて増幅器内の電源経路切換を行うことでWCDMA・LTEなどの信号を送信する際の消費電力を半減し、連続通話時間の向上に貢献できるとしています。
東芝:ニュースリリース (2013-02-19):スマートフォン向けCMOS電力増幅器の電源制御技術を開発
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2013_02/pr_j1901.htm
この電源制御技術がどのような問題を解決するかというと、そもそもスマートフォンでWCDMA・LTEなどの信号を送信する際には、基地局との通信距離や伝送情報によって送信電力が変動しているものの、端末に搭載される電力増幅器の電力は長距離送信時など大電力を要する状態を想定し電源電圧を一定に保っているため、短距離送信時などの送信電力が小さい時は電力効率が低下するという問題がありました。その解決策は「電源電圧の制御による電力効率の改善」になるわけですが、従来の電源制御技術では増幅器外部に電源ICやインダクタ素子の取り付けが必要となるため、部品の小型化が必要なスマートフォンなどへの適用は進んでいなかった、というわけ。
この問題に対して東芝は、CMOS電力増幅器に独自の電源制御方式を適用することによって、送電電力が小さい時の電力効率を最大2倍も改善する技術を開発、電力効率を最大2倍改善し、低送信電力時の消費電力を半減させることに成功した、ということです。今回の新技術は外部に電源専用ICなどの取り付けが不要なので、実装スペースが限られるスマートフォンなどに適している、とのこと。
なお、今後は歪み性能や雑音性能の改善を図り、3年後を目処に実用可能な技術開発を目指すとしているので、その頃には今のスマートフォンでよくありがちな「バッテリーがもたないので、外付けバッテリーを持ち歩く」「こまめに設定を変更して消費電力を減らす」というような光景は消え失せてしまう可能性が大です。
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