元海軍特殊部隊の最強スナイパー、地元射撃場で射殺される
かつてアメリカ海軍特殊部隊に所属した狙撃手で、実体験を綴った書籍「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」の著者としても知られていたクリス・カイルさんがテキサス州の射撃場で遺体で発見されました。カイルさんは2月2日に知人2名とともにテキサス州グレンローズにある射撃場を訪れており、射撃場ではもう1名の知人も遺体で発見され、警察は逃亡した知人の男を容疑者として逮捕しました。
Military's deadliest sniper killed on gun range of resort near Glen Rose | Breaking News ...
http://www.star-telegram.com/2013/02/02/4596024/militarys-deadliest-sniper-killed.html
'American Sniper' author Chris Kyle fatally shot at Texas gun range - U.S. News
http://usnews.nbcnews.com/_news/2013/02/03/16823532-american-sniper-author-chris-kyle-fatally-shot-at-texas-gun-range
カイルさんのサポートをしていたトラヴィス・コックス氏によると、カイルさんは知人とともにPTSDに苦しむ退役軍人を助ける試みをしていて、容疑者の男も退役軍人だったそうです。2日もPTSD治療のために3人で射撃場を訪れていたようですが、15時30分ごろに容疑者はカイルさんと知人に対して発砲、被害者のトラックで逃走しました。容疑者は21時ごろに警察に確保され、現在は拘留されています。
カイルさんはテキサス州オデッサ生まれ。8歳のとき、父親に初めてライフルを買ってもらい、鹿狩りや雉撃ちをしていたそうです。学校を卒業した後はプロのロデオライダーになりましたが、腕を負傷して離職。1996年に海軍に入隊しようとするも、ケガを理由に断られ、農場で働いていた1999年に今度は海軍から声をかけられて入隊することになりました。
1999年から2009年までの10年にわたって、カイルさんは狙撃手として活躍。本人は何人の敵を撃ったか明らかにしていませんでしたが、国防総省によるとイラク戦争の中で150人以上を殺害、一部報道では255名だったとも報じられています。
その功績から銀星章を2回、青銅星章を5回、海軍・海兵隊功労章を2回受勲していますが、本人は「勲章には興味がありません。私はお金や章のために狙撃をしたのではなく、狙撃する必要があるから、そして正しかったからしただけです。私は仲間を愛しています」と語っていました。その狙撃距離は主に200ヤード(約183m)から1200ヤード(約1.1km)でしたが、護送船団に対してロケットランチャーを撃ち込もうとしていた反政府運動家を1.2マイル(約1.9km)離れたところから狙撃したという事例は有名。著書「American Sniper」(日本では「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」として刊行)の中で、戦闘で多くの敵を撃ったことについて「アメリカ人や新政府に従うイラク人を傷つけようとしていた」と、後悔は一切なかったことを語りました。
幼い2人の子を持つ父親だったカイルさん。2月27日には、タラント郡フォートワースのタラント・カウンティ・カレッジで「戦士の心への準備」と題した4時間の講演が予定されていました。
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