取材

ガイドブックでは触れられない中国の本当に安い宿をまとめてみました


13億人が住む中国は安宿が豊富です。トイレシャワー共同のところであれば200円からでも泊まれます。ただし、運が悪いと公安(中国の警察)がやって来ますが……。中国では外国人に宿泊の制限があって苦労しました。その度に大いに揉めました。招待所、旅館、賓館、酒店、青年旅舎、トラック宿、たくさんの宿に泊まったので紹介します。あまりの安宿なので、ガイドブックでは教えてくれません。でも、これだけ整っていれば十分じゃないですか?

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。中国には合計5ヶ月くらい滞在しています。

「こんな所じゃ眠れない」と、ベッド一つの部屋から……


「どこで眠るか迷ってしまう」とベッド四つの部屋まで。


中国の宿は面白いです。

◆宿の設備

中国の宿には必ずといっていい程にテレビがあります。


ニュースを見たり……


音楽を聞いたり。


そして宿では無料のお湯をもらいましょう。これでお茶を飲んだり、インスタント麺を食べていました。「開水(カイスイ)」で通じます。


安宿でもお湯のシャワーです。


ただ、シャワーのない宿もあります。そんなときはシャワー屋さんを教えてもらいましょう。


こんな場所ですが、ちゃんとお湯が出ますよ。


掃除も手が届くところだけ。これが中国です。


◆中国の安い宿

中国の宿は「招待所」→「旅館(旅社)」→「賓館」→「酒店」と順にランクが上がっていきます。自分は「招待所」と……


「旅社」によく泊まっていました。だって安いですから。目安は30元前後、500円あれば十分です。


広西チワン族自治区の省都である南寧で泊まったこの宿は安くて快適でした。人口300万都市の南寧は米系スーパーマーケットのウォルマートまであって楽しめます。


トイレ、シャワーは共同ですが、一人部屋なんです。


これくらい広いとかなり快適です。


逆に、これだと窮屈。


大きなベッドが嬉しかった宿。


基本、自転車は部屋に入れていました。


二つベッドの部屋が多かったですね。


一つのベッドに荷物を置いて、もう一つで寝ます。


シンプルだけどきれい。


逆に、こちらはいろいろと汚い。シーツも汚い。


中庭を囲むように建てたれた安宿。


ここは10元(当時約150円)と旅の中でも最安です。


一人旅ですが、ベッドが3つ付いてくることも。


中国人民の匂い。庶民の安宿。


寂れた外見のこの建物も宿でした。


中はしっかりとしています。


こちらは、かなりいい部屋。


トラックの運転手が泊まる宿にも泊まりました。


宿内には駐車場があって大きなトラックが停まっています。


トラック宿は平屋で荷物を運ばなくていいから便利です。


砂漠にあるトラック宿はオアシス。辺りには何もありません。


ちょっと狭くて辛かった部屋。寝れるだけ感謝なんですが。


食堂も兼ねているので、ご飯も食べることができます。


ずらずらと部屋の写真を並べましたが、これらの宿は本当は泊まれないでしょう。こんな宿はガイドブックに載っていません。中国での宿泊は外国人にとって自由ではありませんから。ただし日本人は中国人に似ているため、黙っていたから泊まれたかもしれません。稀なところは身分証のチェックすらないです。あとパスポートのコピーを渡して、宿泊許可みたいな紙を書いて泊まったこともありました。

宿をみつけたら、次のように確認していきます。

「有没有房間(部屋はありますか)」
「有(あるよ)」
「多少銭、一個人(一人いくらになります)」
「30元」
「我想看房間(部屋を見たいんですが)」

これで部屋に問題がなければ、

「我想住一天(一泊お願いします)」

ここで、お金を払って泊まれることもあります。ただし、

「有没有身分証(身分証みせて)」
「我是外国人(外国人なんだけど)」

となると、「ごめんね、ここでは外国人は泊まれないわ」と言われて追い出さます。その度に心が折れました……。諦めて別の宿を探しましょう。

明るい部屋で快適だったんですが、ここも駄目でした。これで30元(当時約450円)


7泊くらいした時に公安がやってきました。住民にでも通報されたのでしょうか。「ここは外国人の宿泊はできないから出て行きなさい」と言われるけど「お金がないよ」と訴えると「じゃあ、いい」と帰っていくから訳がわかりません。

「外国人はここ泊まれませんよ。私たちと一緒に移動しましょうね」と渡された紙。


ここでは観光ビザの延長申請もしました。警察署でやるわけですが、宿の問題がありました。といいつつも、担当官が「金都小賓館、不明白不明白(わかんないさ)」と流してくれて無事に申請できたんですけどね。

◆外国人が泊まれる宿


騒乱の起きた直後のウイグル自治区では公安の指示に従って、外国人専用の高い宿に泊まるしかありませんでした。高いといっても、1000円くらいで。でも、300円の宿もあります。「あなたはここに泊まりなさい」と決められたら旅ではありません。ようやくたどり着いた安宿なのにオーナーが公安に確認して、外国人専用の宿に移動させられたこともありました。

渉外賓館と書かれている宿なら、外国人でも自由に泊まれます。


室内は全体的に綺麗です。


こちらもウイグル自治区で強制された宿。


ここは普通でした。


大した部屋でもないのに高かったので、泊まりたくはなかったのですが選択肢がありません。


部屋にトイレ、シャワーが付いています。


賓館になると外国人が泊まれそうです。一度だけ値段を聞き間違って約1500円の宿に泊まりました。


入るのもためらうくらいの室内でした。


トイレとシャワーもまぶしい。


外国人専用の宿も田舎だと個室で部屋を取れますが、北京、上海、西安といった省都になると高すぎて泊まれません。大都市ほど安宿には泊まれません。そういう大都市はユースホステルを探していました。世界各国同様にドミトリー(相部屋)方式で安く泊まれます。中国語で「青年旅舎」と呼ばれていました。必然的に外国人が集まるので清潔で快適です。Wi-Fiも飛んでいたりしますよ。安くてプライベートを確保できるのに、同じ値段でドミトリー(相部屋)の青年旅舎を選ばないといけないのは気持ちも萎えますが。

初めて青年旅舎を利用したのは香港に隣接する深センでした。


兵馬俑坑で有名な中国歴史の都である西安にはたくさんの外国人旅行者がいました。ここで掘り出しもの青年旅舎を発見。


40元とドミトリー(相部屋)の値段でプライベートの空間が確保できました。


中国内陸部になる蘭州の青年旅舎。この蘭州は駅前の旅社に潜り込んでいたのですが、トイレがないのに嫌気をさして移動しました。


緑の多い中庭は喫茶店にもなっています。


二段ベッドがならぶ室内。


青年旅舎にトイレはありましたが、残念ながら扉がありません。


青海省の省都である西寧の「西涼駅青年旅舍」たくさんの中国人旅行者で賑わっていました。中国最大の湖である青海湖の入り口となる街です。


動物の骨が飾られた宿の入り口。


たくさんの人が座れる共有スペースは居心地がよかったです。


寝室は狭くて寝るだけでしたが。


西寧では別の青年旅舎にも泊まりました。こちらの方が広くて落ち着きますね。各ベッドにコンセントがついています。


室内にこんな大きなロッカーがあれば安心。


シャワーもよくできていました。


ウイグル自治区の省都であるウルムチで泊まったのは「麦田国際青年旅舎」、暴動があった頃なので厳戒態勢でした。


リラックスできる共有スペース。


二段ベッドの室内ではヨーロピアンの外国人旅行者と一緒でした。


世界80カ国を周っていますが、外国人の宿泊制限があるのは中国くらいです。独裁国家ほど自由に旅はできません。日本も含めた世界各国でみかける中国人旅行者は自由に宿を選んで泊まっているでしょうに。どうして、この国でオリンピックが出来たのかは疑問です。

それでも安宿に泊まれないことはないです。「一人でも多く泊めたい」宿のオーナーと「少しでも安い宿に泊まりたい」旅行者の利害は一致します。日本人は見た目では分かりませんし。このように中国の宿泊制度は複雑です。自由に宿泊できる中国なら、何度でも旅をしたいのに残念です。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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