VerizonがAndroid向けテザリングアプリを削除しユーザからテザリングの自由を奪ったとして罰金1億円
By david_shankbone
アメリカの携帯電話キャリアVerizon Wireless(ベライゾン・ワイヤレス)が、Google Playで公開されているテザリング用のアプリを削除するよう依頼し、ユーザからサービス選択の自由を奪ったとして、FCC(連邦通信委員会)から125万ドル(約1億円)の罰金を科されることになりました。
Verizon Wireless To Pay $1.25 Million To Settle Investigation | FCC.gov
FCC slaps Verizon with $1.25 million fine for blocking 'tethering' apps - The Hill's Hillicon Valley
7月25日からソフトバンクモバイルがプラチナバンド(900MHz帯)のサービス提供を開始しました。これは総務省が割り当てを決定したためですが、アメリカではこういったときに周波数オークションが行われています。2008年に行われた無線周波数オークションにおいて、ベライゾン・ワイヤレスはブロックC(746~757MHz、776~787MHzの22MHz幅)で10ライセンス中7つを47億ドル(約3700億円)で購入しました。
以後、ベライゾン・ワイヤレスはこの帯域を使って4G LTEの提供を行い、素早くサービスを展開したことで利益を増やしました。
ベライゾン・ワイヤレスでは、テザリングを月額20ドル(約1560円)で提供していましたが、Google Play(Androidマーケット)では、ベライゾンが提供するテザリング用アプリを使わずにテザリングが可能になるアプリが公開されていました。
By doctorserone
ベライゾンの規約ではテザリングを使用する際には追加料金を支払って自社製サービスを使う必要がありました。ベライゾンは、テザリングするユーザはしないユーザに比べてデータ使用量が多くなるため追加料金を取っているのだと主張しましたが、データ通信無制限プランのユーザだけではなく、従量制プランのユーザからも追加料金(基本料金)を取っていました。
Google Playで公開されていたアプリを使えば、誰でも無料でテザリングが利用できる状態にありました。もちろんベライゾン・ワイヤレスはGoogleに連絡し、このテザリングアプリを削除するよう通告し、アプリは削除されました。しかし、前述のオークションにおいて、ベライゾン・ワイヤレスがブロックCの帯域を購入した際、「ユーザが端末やサービスを自由に選ぶことを企業は制限できない」というルールが定められており、アプリを削除させたことはこのルールに反するのではないかとFCCにタレコミがあり、問題が浮上することになりました。
現地時間7月31日、ベライゾン・ワイヤレスはFCCと和解。財務省に罰金として125万ドル(約1億円)を支払い、上記のテザリングアプリについての削除依頼を取り下げて、テザリングを無課金で利用できるということを事実上認めることになりました。すでにGoogleではアプリの復活作業を行っているとのこと。
ちなみに、今回FCCが持ってきたルールはあくまでオークション時に定めたものなので、ベライゾン・ワイヤレス以外で同様のサービスを提供しているAT&TやT-Mobile、スプリント・ネクステルには適用されません。
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