2台のSSDでRAID1が組めるノートパソコン「Precision M6600」を使ってみた
ノートパソコンを使っていて最大の不安は「ハードディスクが壊れると速攻死亡」という点。デスクトップであればハードディスクを複数台搭載してRAIDを組み、1台目のハードディスクが死んでも残りのハードディスクが生きている限り動き続けるという冗長構成が可能なのですが、ノートPCでは無理だろうなぁ……と思っていたところ、発見したのが、一体何に使うのか皆目不明なDELLのモバイルワークステーション「Precision M6600(直販価格15万9800円~)」です。
下にあるのが、今回購入した「Precision M6600」。
スペックはこんな感じ。OSはWindows 7 Ultimate (64bit)でCore i7-2640M(2.8GHz)、メモリー8GB、SSD 128GB×2、DVDスーパーマルチを搭載しています。なお、注文時はCore i5だったのですがパーツ不足で納期が遅れそうだったため無償でCore i7にアップグレードしてもらうことができ、下記の構成で28万8290円になりました。
なぜこのような妙なノートPCを買うことになったのかというと、以下のような条件を満たすちょっと特殊な用途のサーバにしたかったため。
・データが吹っ飛ぶと困るが大容量のデータを保存するわけではなく、その割にアクセス速度は必要(SSD2台を使ってRAID1で構成したい)
・時々居場所が変わり、大体机の上にいる必要がある(持ち運べる必要性がある)
・常にディスプレイにソフト起動中の画面を表示しておく必要性がある(必要なときだけモニターをつなぐというのはアウト)
・持ち運ぶ必要性から無停電電源装置を一緒に連れて行けないが停電対策は必要(バッテリー内蔵なので停電時にもすぐには止まらない)
・キーボードやマウスをあとからくっつけるのは面倒(ノートPCなら最初からくっついている)
特に重要だったのはRAID1構成でSSDを搭載できるという点。SSDはHDDと違って機械的な部品点数が少ない分故障はしづらく物理的な衝撃にも強いのですが、ひとたび動作しなくなるとほとんどの場合、全くデータが取り出せなくなるという弱点があるので、同じデータを2つのストレージに保存しておくRAID1構成が必須、という訳です。
なお、今回の記事内で扱うサーバーはニュースサイト「GIGAZINE」のデータを置いている「サーバー」とは全く別のものになります、念のため。
◆フォトレビュー
パッケージはこんな感じ。
内容物は本体とAC、説明書にリカバリーCDなど。
天板はマット仕上げのアルミ製。持ち歩くことはなさそうなサイズですが、もしカバンの中入れることがあっても問題ない強度です。
小脇に抱えるとかなりのボリューム感。サイズは416.7(W)×270.5(D)×37.4(H)ミリで重量は約3.5キロ。屋内を移動するだけであれば問題のない重量ですが、外に持って行こうとすると相当にツラいレベル。しかしタワー型などに比べればマシ。
正面から見たことろ。この面もアルミ製なので、多少の衝撃にはビクともしなさそうです。
中央にある銀のボタンを押し込むと天板のロックがはずれます。
開けてみました。この写真だけをみると意外と普通のサイズに見えます……。
黒とグレーアルミの配色なのでおそろしいほど地味で質実剛健なデザイン。
正面はこんな感じ。17.3インチのLEDバックライト付きフルHDディスプレイを搭載しています。
フルHD画質でビデオチャットができるウェブカメラ付き。
キーボードはテンキー付きの日本語配列で抗菌仕様。
暗い場所でキーを操作するとバックライトが点灯するように設定することも可能。
Dell「Precision M6600」のキーボードバックライト - YouTube
キーボードバックライトの設定は「コントロールパネル」の「Dellキーボードバックライト設定」から行なうことができます。
キーボード輝度にチェックを入れて消灯までの時間を選び「OK」をクリックすれば完了。
キーピッチは約1.9ミリで深めのストローク。隅を押してしまってもきっちり打鍵ができる安定感のあるつくり。
キーボードの真ん中にトラックスティックを備え、これをグリグリと動かすことでマウスカーソルを操作可能。ホームポジションから手を離すことなく使えるのが便利です。
タッチパッドとは別に左右クリックができるキーを搭載。トラックスティックと組み合わせて、こちらを親指で操作することでホームポジションから手を離さず一通りの作業が完結するようにできています。
タッチパッドに備えられたクリックボタンはカチャカチャとした押し心地でちょっと安っぽい感じ。
キーボードの左上にミュートボタンと音量の調節ボタンを搭載。
裏面はこんな感じ。メッシュ状の開口部が広く取られているので放熱性は良さそう。
右側面にはUSB2.0×2、DisplayPort×1を備えます。
左側面にはロックスロット×1、USB 2.0×2、 IEEE 1394×1、マイク端子×1、ヘッドフォン端子×1、10-in-1メディアカードリーダー×1、スマートカードリーダー×1、 54 mm ExpressCardスロット×1を搭載。
DVD-RWドライブを開けるとこんな感じ。スロット式のごく一般的なものです。
背面にはVGA×1、ギガビットイーサ×1、HDMI×1、eSATA/USB 2.0×1があります。
電源端子は通電している時は青く発光するので、コンセントが抜けているときにはスグにわかるようになっています。
本体とは接続されていなくても発光しています。コンセントにつながっているかどうかのみを教えてくれる仕組みのようです。
◆ベンチマーク
ストレージの性能を計測する「Crystal Disk Mark」でテストした結果は以下の通りです。2つのストレージに分散して書込みを行なうことで高速化するRAID0仕様ではないためSSDモデルとはいえものすごく高速というわけではないものの、通常のRAID1よりは少しだけマシなはず。
USBで接続したフラッシュドライブから起動してPCのトータルパフォーマンスを比較できる「PassMark PerformanceTest」で購入時の価格が近かった「Let's Note CF-S10」と比べた結果は以下の通りです。なお、グラフ中で「This Computer」と表記されているのが「Let's Note CF-S10」で、スペックはOSがWindews 7(64bit)でCore i7 2620M(2.7GHz)、メモリー16GB、HDD 600GB。「Disc Mark」のスコアはDellの方が約8倍も速くなっており、このあたりはSSDモデルのパワーを感じるところです。
いずれのベンチマーク結果もPCを電源に接続した状態で「電源オプション」から性能重視の設定「ウルトラパフォーマンス(最大ファンレベル)」を選択して計測したものです。
今回はあまり一般的ではない用途のためにチョイスしたのですが、SSDをRAID 1構成で搭載できるノートパソコンはかなり珍しいので、「持ち運べるサーバが欲しい」という奇特な人には最適です。あるいは、みんなの持っているノートパソコンとはひと味もふた味も違いすぎるものが欲しい!という人にはきっと向いている……はず。
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