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Google検索結果の削除リクエストの50%以上がたった1社から送信されていることが判明


大手検索エンジンのGoogleはオンライン上の著作権侵害に取り組んでおり、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく権利者からの削除リクエストに従って、違法なコンテンツをGoogle検索の結果から削除しています。著作権や海賊版に関するウェブメディアのTorrentFreakは、「2024年の夏以降にGoogleが受け取った削除リクエストの半数以上が、たった1つの企業から送信されたものだった」と報じました。

More Than Half of All Google Search Takedowns Now Come from Link-Busters * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/more-than-half-of-all-google-search-takedowns-now-come-from-link-busters-241230/


長らく、インターネット上には動画や書籍などの海賊版コンテンツが氾濫していましたが、近年はコンテンツを取り扱う企業や団体がオンラインの著作権侵害に積極的に取り組んでいます。しかし、海賊版ウェブサイトの運営者に直接コンテンツの削除を求めても、ほとんどは無視されてしまいます。

そこで多くの権利所有者は、ユーザーが海賊版ウェブサイトにたどり着くのを防ぐため、検索エンジンやその他のオンラインプラットフォームに対して削除要求を行っています。Googleに寄せられる削除リクエストも急激に増加しており、2024年11月には削除リクエストの総数が100億件を突破したことが報じられました。

Google検索の削除リクエスト総数がついに100億件を突破 - GIGAZINE


通常、権利所有者は自らが直接削除リクエストを送信するのではなく、専門のサードパーティー企業に作業をアウトソーシングしています。これらのサードパーティ企業は、依頼されたコンテンツの海賊版をウェブ上でスキャンし、発見したらGoogleなどの検索エンジンやプラットフォームに連絡し、削除を依頼しています。

中でもオランダに拠点を置くLink-Bustersは複数社の世界的パブリッシャーと提携しており、2024年末までに20億件もの海賊版コンテンツの削除リクエストをGoogleに送信しています。Link-Bustersは2024年7月に通算10億件の削除リクエスト送信を達成したばかりであり、わずか半年ほどの間に10億件の削除リクエストを送信したことになります。

実際に、2024年の夏以降にGoogleが受け取った削除リクエストの半数以上は、Link-Bustersから送信されたものだとのことです。これは、Googleに送信される削除リクエストのかなりの数が、著作権侵害に目を光らせる出版社から寄せられていることを示しています。Link-Bustersのクライアントである出版社には、アメリカに本社を置く世界最大の出版社であるペンギン・ランダムハウスや、同じくアメリカの出版社であるハーパー・コリンズ、イギリスの学術出版社であるテイラーアンドフランシスマサチューセッツ工科大学出版局などが含まれます。


以下の表は、左が「Link-Bustersが特に多くの削除リクエストを送信したドメイン」で、右が「特に多くの削除リクエストを送信したコンテンツの権利所有者」を示したもの。左の表を見ると、さまざまな書籍へのアクセスを提供するAnna's Archiveや、海賊版ライブラリであるZ-Libraryの地域別ドメインなどが主な標的となっていることがうかがえます。また、コンテンツの主な権利所有者にはペンギン・ランダムハウスやハーパー・コリンズ、フランスの出版社グループであるアシェット・リーブルなどの名前が並んでいます。


Link-Bustersによる削除リクエストが多い理由には、同じコンテンツがさまざまなURLにまたがって配信されていることや、動画コンテンツよりも書籍の方が利用可能なタイトルが多い点などが挙げられます。

多くの出版社は、Link-Bustersのサービスに満足しているそうです。ペンギン・ランダムハウスは「Link-Bustersは競合他社と比べて著作権侵害を見つけるのが得意で、より迅速に対応し、誤検知に悩まされることも少なかったです」と述べたほか、テイラーアンドフランシスも「(Link-Bustersは)少なくとも前年の5倍のリンク削除に役立ちました」と主張しています。

しかし、Link-Bustersが海賊版コンテンツの氾濫を食い止める助けになっている一方で、海賊版ウェブサイトは依然として成長し続けています。TorrentFreakは「結局のところ、Link-Bustersは2025年もたくさんのリンクをつぶさなくてはならないでしょう。今のペースだと、2025年には数十億件ものDMCA削除要請をGoogleに送信することになるでしょう」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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