「グーグルの72時間」無料公開中、あの日Google社内で何が起きたのか?
12月8日(木)に発売される「IT時代の震災と核被害」(1890円)という書籍の冒頭に収録されている「グーグルの72時間」が全編丸ごとPDFファイル化され、無料でダウンロード可能になっています。
Impress Japan: IT時代の震災と核被害
PDFファイルのファイルサイズは1.46MBほど。最初の1ページ目のみが単独で、それ以降は見開きで収録されています。
内容としてはGoogle日本法人の川島優志、三浦健、村井説人の三氏の証言をもとに、震災発生後2時間弱で提供された消息情報検索ツール「パーソンファインダー」を中心に当時の状況を交えて再現したもの。
災害発生時の活動方針や1時間46分でパーソンファインダーを完成できた理由
六本木コアチームの形成
海外からの緊急救助隊に地図情報を提供するということで、ゼンリンデータコムや国際航業から得ている権利はオンライン使用権のみだが、オフラインで使えるようにするためにゼンリンデータコムの社長や国際航業幹部に連絡して緊急措置として緊急救助隊にオフライン用地図データ類を提供する許諾を取り付けています。
また、救援物資マッチングシステムを見送った理由として、阪神大震災を経験し、ボランティア活動に携わった経験が生きたことも分かります
最後のあたりにある取材班の言葉が「一方、災害時にもっとも重要かつ信頼できる第一次情報を発すべき政府と行政は、安否情報システムひとつをとっても、十分な機能を果たせなかった。原発や核被害に関する第一次情報についても同様である」という感じで、かなり強烈に批判しています。
なお、目次は以下のような感じになっています。
◆序:グーグルの72時間
◆第1部:初動 取材レポート 編集部編
・ヤフーの災害プロジェクト
行政や東電に人々のニーズを伝え、情報提供を求める
・ツイッターの動きと今後の課題
速報と拡散のメディアが市民権を得る
・アマゾンの「ほしい物リスト」
被災地の多様なニーズに合わせて救援物資を送る
・最先端クラウド企業アマゾンの挑戦
ユーザーグループと連携して震災情報サイトを緊急支援
・MITメディアラボ所長、伊藤穣一が創発するSafecast(コラム)
見えない放射線をネットで見える化
・動画サイトとテレビメディア
Ustream/ニコニコ動画/CNN
◆第2部:ツールあるいはメディアとしてのIT
・ネットに浮かぶ壮大な支援プロジェクト【西條剛央】
横に連携した市民が行政を超える
・その時、検証屋はどう動いたか【荻上チキ】
「支援訓練」事始め
・震災後の地域メディアをITはエンパワーできるか【飯田豊】
道具的文化から表現的文化へ
・地域社会とウェブ・コミュニティ@浦安【円堂都司昭】
震災で結びついたリアルとネット
・Ustreamとニコニコ生放送から考えるライブメディアの課題【三上洋】
マニア向けメディアで終わらせないために
・東日本大震災・安否情報システムの展開とその課題【村上圭子】
今後の議論に向けて
・海外メディアと日本の情報公開【酒井信】
「歴史上成功した唯一の社会主義国家」の危機
・原発事故はどう伝えられたか(コラム)
ネットメディアが果たした役割と課題
・SPEEDIを公開してもパニックは起きない【広瀬弘忠】
災害心理学で考える情報公開
・SPEEDIのオペレーション現場(コラム)
25年目、初の緊急時モード
・世界一のスパコン「京」で災害をシミュレートする(コラム)
地震・津波、被害予測の現状と未来
◆第3部:IT時代の震災と核被害
・日本は再生できるのか?【東浩紀×萱野稔人】
統治・エネルギー・外交の未来
・ソーシャルメディアの真価はこれから問われる【津田大介】
復興の課題は美談にならない場所にある
・3.11以降のジャーナリズム【武田徹×神保哲生】
マスメディアへの本質的な挑戦
・自然再生エネルギーから共同体再生へ【飯田哲也】
原子力政策を展望する
・核とITメディア【池田清彦×加藤典洋】
技術的に、かつ倫理的に考える
・市民として、引き受けて考える社会へ【宮台真司】
エリートは、知識を参照し、市場を設計せよ
Amazon.co.jp: IT時代の震災と核被害: 東 浩紀, 飯田 豊, 萱野 稔人, 西條 剛央, 酒井 信, 神保 哲生, 飯田 哲也, 武田 徹, 津田 大介, 広瀬 弘忠, 三上 洋, 宮台 真司, 村上 圭子, 池田 清彦, 円堂 都司昭, 荻上 チキ, 加藤 典洋: 本
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