すごい講演で有名な「TED」から学ぶ統計的に最高&最低プレゼンの条件
「広める価値のあるアイディアを」ということで主にテクノロジー・エンターテイメント・デザインの3ジャンルを扱う「TED」は公式サイト上で数々のスピーチ&プレゼンムービーを日本語字幕付きで公開しています。非常に興味深いものからそうでないものまで、講演する人の実力は多岐にわたっているのですが、数多のプレゼンを統計学のアプローチから解析し、TEDにおける史上最高のプレゼンと史上最低のプレゼンの条件をプレゼンするというすさまじい講演がかなり秀逸です。
Lies, damned lies and statistics (about TEDTalks) | Video on TED.com
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/lies_damned_lies_and_statistics_about_tedtalks.html
もし今TEDのホームページに行くと延べ1週間を越えるビデオがあり、130万語に上る文字起こしデータと、何百万というユーザー評価を見られます。実に莫大な量のデータです。それを見てこう思いました。「もしこのデータ全てを統計分析にかければ、TEDTalkをリバースエンジニアリングして究極のTEDTalkを作れるかも。それにまた、大目に見てもらえる最低のTEDTalkも」
これを確かめるべく3つの点に着目しました。「選ぶべき題材」・「講演のやり方」・「舞台上での見た目」です。
さて、選べる題材は多岐にわたりますが賢く選択しなくてはいけません。題材はユーザーの反応と密接な関係があるからです。
話をより具体的にするため、統計的に見て最も好まれるTalkと最も好まれないTalkによく見られる10個の言葉を拾い上げてみました。
TEDでは「フレンチ」「コーヒー」が「あなたの」「脳」にもたらす「幸福感」について話をすれば成功間違いなしです。
一方で「酸素」「女の子」「飛行機」が関わるプロジェクトの話をするつもりなら、個人的には聞いてみたいですが、統計的にはうまくいきません。
そしてこれをもっと一般化すると、最も好まれるTEDTalkは私たちが容易に自分と深く関係づけられるもの、「幸福」「体のこと」「食べ物」「感情」などの話題です。
もっと専門性の高い話題「建築」「素材」、それと面白いことに「男」なんかはTEDではウケません。
次にどのように講演を行うかですが、TEDが時間にうるさいことはよく知られています。だからこのことをお教えすると嫌な顔をされると思いますが、可能な限り長く話してください。最も好まれているTalkは好まれてないTalkより平均で50%以上長いのです。
これは個々のランキングリストにも当てはまりますが例外もあって、「美しい」「刺激的」「可笑しい」というのを狙うなら簡潔に、そうでなければ引きずり下ろされるまで話し続けましょう。
それから、講演する上で守るべきルールがあります。私はこのルールを好かれているTalkと好かれていないTalkのそれぞれに現れる4語のフレーズの統計を取ることで見つけました。3つ例を挙げます。まずなにより講演者として、聴衆に対して「自分に提供できる」ことを話し、「自分にはできない」と言うべきではありません。
第2に「ニューヨークタイムズ」の 引用は絶対避けてください。
最後に……これは良い報せですが……講演者が知ったかぶりをするのは構いません。「分らない」ときにはただ「エトセトラ エトセトラ」と言えばいいのです。みんな付いてきてくれますから全く問題ありません。
次は見た目の話です。ステージの上で一番目に付くものは講演者本人です。分析の結果、最も好かれる講演者の仲間入りをするには、髪の毛を平均より少し長めにのばし、眼鏡を忘れずにかけ、平均的な講演者よりもきちっとした身なりをしてください。
スライドだけでなく小道具も使ってみましょう。そしてとても重要なのはステージの雰囲気です。色がとても重要な役割を果たします。
Webサイトでの講演の評価は色と密接な関連があります。
たとえば「魅力的」な講演は統計的に平均的な講演と比べて紫色を多く含んでいます。
「独創的」な講演は緑色が多く……エトセトラ エトセトラ。このような分析をしたのは私が初めてではないと思われます。しかしこれは皆さんのご判断にお任せしましょう。
それではこれらすべてをまとめて究極のTEDTalkを作ってみましょう。ここはTED Activeですから、分析でわかったことを何か形にすべきでしょう。究極のTalkや最悪のTalkを押しつけようとは思いません。皆さんがご自分のを作れるツールを用意しました。
TED Padです。このTED Padを使うと、特別に選んだ100個の精選された文章を組み合わせ、ご自分のTEDTalkを作っていただくことができます。決断すべきことは1つだけ 良いTalkのためのホワイトバージョンを使って「創造性」や「人類の英知」についての話をするか、それともブラックバージョンにしてすごくまずいTEDTalkを作り、「ブログ」や「政治」なんかの話をするかです。
ぜひダウンロードしてお試しください。このセッションを楽しんでいただけたなら幸いです。ご自分の究極のTEDTalkや最悪のTEDTalkをお作りください。そして皆さんの中の誰かが触発されて、来年のTEDでこのような講演を聞かせていただけるのを楽しみにしています。ご清聴ありがとうございました。
なお、このプレゼン中で出てきた「TEDPad」は実在しており、オンラインで利用できるバージョンと、ダウンロードして印刷できるバージョンがそれぞれ存在しています。
tedPAD - create millions of amazing and really bad TED talks
http://get-tedpad.com/
なお、今回のプレゼンタイトルの日本語訳は「TEDTalksにまつわる真っ赤な嘘と統計の話」ですが、これを使えばあなたも最悪なプレゼンから脱し、最高のプレゼンをすることができる……はず……おそらく、たぶん。
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