無線LAN使用時にスマートフォンやノートPCのバッテリー消費を抑えるシステム「SleepWell」
by derklbot
6月30日から全国最大規模の無料公衆無線LAN「au Wi-Fi SPOT」のサービス開始されるなど、スマートフォンの普及に伴い、公衆無線LANはこれまで以上の広がりを見せています。
高速通信により快適な操作が可能になった一方でバッテリーの減りが速くなるため、出先で電池が切れてしまうことにもつながりがち。少しでもバッテリーを長持ちさせるために無線LANでの通信を逐一手動でオン・オフするなどの工夫をしていた人も多いかと思いますが、このような操作を状況に応じて自動的に行うソフトが開発されました。
Duke University Graduate Develops 'SleepWell' System That Doubles Battery Life of Mobile Devices - Softpedia
デューク大学工学部の大学院生であるJustin Manweilerさんが、Wi-Fiによる通信を低消費電力で利用することのできる仕組みを開発しました。
スマートフォンやノートPCなどのモバイル端末は、Wi-Fiに接続した状態で、かつ同様の状態にある他の端末がそばにあると、バッテリーをかなり速く消耗していきます。これは何らかの情報をダウンロードするであろうという前提で常に通信可能な状態でスタンバイしているためで、しかも近くに同じようにWi-Fiにつないでいる端末がたくさんあると帯域を食い合ってしまい、わずかな情報をダウンロードするのにも非常に時間がかかり、よけいにバッテリー消費が激しくなってしまいます。
そのため、近くにある他の端末がWi-Fi経由で情報をダウンロードしている時は端末をスリープ状態にすることで、バッテリー消費を抑えるソフトを開発。スリープ状態に入る端末はもちろんのこと、通信している状態の端末のバッテリー消費を抑える効果があります。彼はこのシステムに「SleepWell」という名前をつけ、計算機学会の国際会議の席で発表しました。
PCの前で取材に応じるJustin Manweilerさん
Manweilerさんはこのソフトの考え方を大都市のラッシュアワーに例え、「始業時間と就業時間が多くの企業で同じなので、大都市のサラリーマンは行き帰りでひどいラッシュに巻き込まれてしまうのです。フレックスタイムを導入するなどして出勤・退勤時間を自由に選べるようにすれば、同じ人数がより快適に移動することができますし、労働時間の総量自体は変わりません」と語り、「SleepWell」の利点を強調しています。
彼は何種類にも及ぶ端末とさまざまな場面を想定した実験を経て、「SleepWell」システムが実用可能であることを証明したとのこと。このシステムが使われるようになれば、現状の公衆無線LANの弱点が克服され、より快適に利用できるようになりそうです。
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