マンモス復活を目指す企業がもこもこの毛皮を持つロン毛マウスを作り出したと発表

アメリカのバイオテクノロジー企業であるColossal Biosciences(Colossal)は、絶滅したケナガマンモスの復活を目指して研究を行っています。そんなColossalが、「ケナガマンモスをほうふつとさせる長い毛皮を持つマウス」を作り出すことに成功しました。
Multiplex-edited mice recapitulate woolly mammoth hair phenotypes | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.03.03.641227v1

“Wooly mice” a test run for mammoth gene editing - Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2025/03/wooly-mice-a-test-run-for-mammoth-gene-editing/
These Woolly Mice Bring The Mammoth's De-Extinction a Step Closer : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/these-woolly-mice-bring-the-mammoths-de-extinction-a-step-closer
Colossalのマンモス復活プロジェクトは、ケナガマンモスと最も遺伝的に近縁なアジアゾウを遺伝子組み換えして、毛むくじゃらの体や豊富な脂肪の蓄積といったケナガマンモスの形質を発現させることに焦点を当てています。
しかし、アジアゾウの妊娠期間は22カ月とかなり長いため、実際にアジアゾウの胚を用いて遺伝子組み換えなどの実験をすると時間がかかりすぎます。また、アジアゾウは複雑な社会構造と高い認知能力を持っており、アジアゾウ自体が絶滅危惧種でもあることから、倫理的にも実験が難しいとのこと。
そこでColossalの研究チームは、マウスを用いて新たな遺伝子組み換えの実験を行いました。研究チームは、120万年前~3500年前に生息していたケナガマンモスやステップマンモス(トロゴンテリーゾウ)、コロンビアマンモスから採取した59のゲノムを分析し、アジアゾウのゲノムとの違いを調査しました。

by Stuart Maxwell
これによって研究チームはアジアゾウの遺伝子とは明らかに異なる「マンモスの遺伝子」を特定し、その中からケナガマンモスの長い毛皮に関する7つの遺伝子や、脂肪の代謝を変化させる遺伝子などを解明しました。
続いて研究チームは、3つの異なる遺伝子編集技術を用いて、マウスの胚にケナガマンモスの遺伝子にみられる変異を導入しました。研究チームの最適化されたワークフローにより、高い遺伝子編集効率を達成し、最大で7つの異なる遺伝子を同時に編集できたとのこと。
ケナガマンモスにみられる遺伝子変異が導入されたマウスには、親のマウスと異なるいくつかの顕著な変化がみられました。以下の画像は、一番上が遺伝子編集を行っていない野生型のマウスで、真ん中と一番下はそれぞれ微妙に異なる遺伝子編集を加えた遺伝子組み換えマウスです。遺伝子組み換えマウスは金色の長い毛を持っており、うねるような特徴的な毛質を持っていることがわかります。

遺伝子組み換えマウスの毛は野生のマウスの最大3倍の長さに達し、波打ったりカールしたりする特徴がありました。

研究チームは今回作成した遺伝子組み換えマウスを「Colossal Woolly Mouse」と名付けました。Colossalの共同創設者兼CEOであるベン・ラム氏は、「Colossal Woolly Mouseは、私たちの絶滅種復活の使命における分岐点となります。マンモスの進化経路から、複数の耐寒性形質を生きたモデル種に工学的に組み込むことで、自然が何百万年もかけて作り出した複雑な遺伝子の組み合わせを再現する能力を証明しました。この成功により、私たちはケナガマンモスを復活させるという目標に一歩近づきました」と述べました。
しかし、テクノロジー系メディアのArs Technicaによると、一連の遺伝子変異のほとんど過去にマウスで発見されていたもので、Colossal Woolly Mouseとケナガマンモスとのつながりは少ないとのこと。比較的高い編集効率で一度に複数の遺伝子編集を行ったことは、確かに素晴らしい技術的成果であるものの、最終的な目標にはまだまだ遠いと指摘しました。
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in サイエンス, 生き物, Posted by log1h_ik
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