逮捕された犯罪容疑者100人の顔写真を油彩にしたポートレート
ジョージア州アトランタの画家Karin Jurickさんによる、全米各地の警察により公開される犯罪容疑者逮捕時の顔写真を題材にした油彩シリーズ「100 Faces」。先日その100枚目の作品を描き終え、プロジェクトが完成したそうです。
拘留時などに警察で撮影される犯罪容疑者の写真というとあまり魅力的でない顔ばかりなイメージがありますが、「美しいと思えない人には会ったことがない」というアンディ・ウォーホルの言葉のように、どの容疑者も「良い顔してるな」と思わずうなってしまうような味わい深い作品となっています。
画像は以下から。BUST-ED
シリーズ最初の作品「100 Faces, No. 1」。ポートレートはすべて番号が付けられているのみで、容疑者の名前は明かされていません。
作品はすべて4×4インチ(約10×10cm)のメーソナイト板(表面がすべすべした集成材)に油彩で描かれています。
「本能に従い、自分を疑うすきを与えないこと。この色が、このタッチが正しいと確信が持てなくても、絵の具を置いて何が起きるか見てみること」とアドバイスするJurickさん。この女性の目のふちの血のような赤色は、そんな本能に従って最後の最後で付け加えたタッチとのことです。
パレットナイフを大胆に使った横顔の作品。
鮮やかな赤を地に使った作品。100枚の中には赤や黄、緑や黒とさまざまな背景色が使われているのですが、同じ顔でも色が変わればまったく違う印象となっていたかもしれません。
黒い地塗りにグレーや黒、わずかに緑がかった茶色を使い、ほぼモノトーンに仕上げた作品。
アメリカ各地で公開される容疑者顔写真の中から選んだという題材は、老若男女、さまざまな人種の顔がそろっています。
瞳の中のターコイズブルーのハイライトが実に効果的です。
美男美女ばかりではなく、依頼を受けて描くポートレイトのように美化する必要もないこのプロジェクトは、画家として得ることが多く、刺激的だったとのこと。
プライバシー保護の観点から作品のモデルとなった容疑者の名前は公開されていませんが、中には本人が見たり出所祝いにプレゼントされたりしたら喜ぶのでは、と思えるものも多数あります。
赤い地が効果的にのぞくこの作品は、非常にスピーディーに描かれたものの1つとのことです。
正面と真横が多い容疑者の写真の中では珍しい角度の1枚。
力強い骨格、鋭角的な顔立ちなど、最小限の筆遣いだけで特徴をとらえられる「描きやすい」顔というか、描き始めて30分もすると「これ以上描けない」と気付いてしまう顔というものがあるそうですが、この容疑者はその典型とのこと。
何も見えていないような目の女性。大胆に残されたエメラルドグリーンがこの世を離れたような雰囲気を与えています。
記念すべき100枚目の作品は、警察に捕まったばかりとは思えないくしゃっとした笑顔がすてきな容疑者です。
油彩はすべて買い手がついているとのことですが、100枚の作品をまとめた画集はBlurbから自費出版されていて、ハードカバーは69ドル(約5600円)、ソフトカバーは49ドル(約4000円)で購入することができます。
100 Faces BUST-ED | By paintings by Karin Jurick | Category: Arts & Photography | Blurb
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