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ゲーミングモニターのスペック表では分からない「ユーザーが体験する本当の遅延」をNVIDIA製ツール「LDAT」で測定してみたよレビュー、リフレッシュレートの測定も可能


NVIDIA製遅延測定ツール「LDAT」は、「マウスやコントローラーのボタンを押してから画面表示に反映されるまでの時間」を測定できます。そんなLDATがGIGAZINE編集部に届いたので、実際にモニターの遅延やリフレッシュレートを測定する手順をまとめてみました。

NVIDIA Reviewer Toolkit for Graphics Performance | GeForce News | NVIDIA
https://www.nvidia.com/en-us/geforce/news/nvidia-reviewer-toolkit/

・目次
◆1:LDATとは?
◆2:必要なソフトウェアのインストール
◆3:LDATで遅延を測定してみた
◆4:LDATでリフレッシュレートを測定してみた

◆1:LDATとは?
ゲーミングモニターの多くは「低遅延」であることをアピールしています。例えば、以下のASUS製モニター「VX238H-P」は応答速度が1ミリ秒であることがアピールされています。しかし、この数字は「モニターに描画指示が届いてから実際に描画されるまでの時間」を示しているのみで、スペック表からは「ユーザーが実際に体験する遅延」を知ることはできません。


ユーザーが実際に体験する遅延は「マウスやコントローラーのボタン入力がCPUに届くまでの時間」「CPUでの処理時間」「GPUでの処理時間」「モニターの応答速度」などの各種処理時間が合わさったものです。LDATはこの「マウスやコントローラーのボタンを押してから各種処理を経て画面表示に反映されるまでの時間」を測定できるツールというわけです。


LDATがどんなデバイスなのかは以下のリンク先で確認可能。

NVIDIAの非売品ガジェット「LDAT」が届いたので開封して外観を詳しくチェックしてみたよレビュー - GIGAZINE


遅延の測定に必要なハードウェアは「PC」「モニター」「LDAT」の3種。LDATは以下のようにゴムバンドを使ってモニターに装着して使います。


LDATの裏面には明るさセンサーが搭載されており、モニターの表示内容が切り替わるタイミングを検知できるようになっています。


また、LDATはPCにはマウスとして認識され、「マウスをクリックする操作」をエミュレートすることができます。


さらに、Windowsで動作するLDAT専用の測定アプリも公開されています。LDATと測定アプリを組み合わせることで、「マウスをクリックしてから各種処理を経てモニターに結果が描画されるまでの時間」を測定できるというわけです。


◆2:必要なソフトウェアのインストール
実際にLDATで遅延を測定するために、PCに必要なソフトウェアをインストールします。LDATでどんなことができるのか知りたいだけという人は「◆3:LDATで遅延を測定してみた」までスキップしてOKです。

まず、以下のリンクをクリックしてソフトウェアの配布ページにアクセス。

NVIDIA Latency and Display Analysis Tool | NVIDIA Developer
https://developer.nvidia.com/nvidia-latency-display-analysis-tool


ラインセンスをよく読んでから同意のチェックを入れて「Download」をクリック。


NVIDIAアカウントのメールアドレスを入力して「Next」をクリック。


パスワードを入力して「Log In」をクリック。


自動的にZIPファイルがダウンロードされます。


ダウンロードしたZIPファイルを右クリックして「すべて展開」をクリック。


展開先を指定して「展開」をクリック。


展開したフォルダにはドライバーが含まれるフォルダや測定用アプリが含まれています。ドライバーをインストールするために「Sensor Driver」に移動。


「install.bat」をダブルクリックして実行します。


コマンドプロンプトが表示されドライバーのインストールが進みます。インストール確認ダイアログが表示されたら「インストール」をクリックすればOK。


「続行するには何かキーを押してください」と表示されたらEnterキーを押してコマンドプロンプトを閉じます。必要なソフトウェアのインストール作業は完了したので、測定作業に移る前にドライバーをインストールしたPCを再起動しておきます。


◆3:LDATで遅延を測定してみた
遅延を測定するために、「測定アプリをインストール済みのPC」「測定対象のモニター」「LDAT」「LDATとPCを接続するUSBケーブル」を用意します。


PCとモニターを接続して電源を入れます。


続いて、LDATをPCに接続。


LDATをモニターに固定します。


LDATをモニターの中央付近に位置するように調整したらハードウェアの準備は完了です。


次に、測定用アプリ「LDAT_Display_Test.exe」を起動します。


起動すると以下の画面が全画面表示されます。


LDATの位置を動かして、裏面のセンサーが画面中央の白い四角に接するように調整します。センサーが検知する光量に合わせて黒いバーが伸びるので、黒いバーが緑のエリアに達したらEnterキーを押します。光量が足りない場合はモニターの明るさを上げればOK。

NVIDIAの遅延測定ツール「LDAT」の位置調整 - YouTube


測定画面が表示されたら測定準備は完了です。


測定画面はこんな感じ。左上に各種設定項目、左下に画面輝度の推移が表示されています。


画面左上のダイアログ内の「Click-to-photon Latency」をクリックすると、「マウスをクリックしてから各種処理を経てモニターに結果が描画されるまでの時間」の測定が始まります。


測定の様子を記録した動画が以下。画面内をクリックすると画面中央に白い四角が現れる仕組みで、「LDATがクリックイベントを発した瞬間」から「白い四角が表示された瞬間」までの時間を測定することで「マウスをクリックしてから各種処理を経てモニターに結果が描画されるまでの時間」を導き出しています。測定回数は200回です。

NVIDIAの遅延測定ツール「LDAT」を使う様子 - YouTube


測定結果は「LDAT_Display_Test.exe」と同じフォルダにCSV形式で保存されます。保存されたCSVファイルをメモ帳で開いてみます。


ファイルの最下部に「平均遅延時間」「最小遅延時間」「最大遅延時間」が記録されていました。今回使ったモニターの応答時間は1ミリ秒ですが、実際には平均49.7ミリ秒の遅延を体験しているというわけです。


標準状態でVSyncが有効になっていたので、VSyncを無効化して再測定してみます。


平均遅延時間が12.6ミリ秒まで短縮されました。


こんな感じにLDATはCPUやGPUの処理時間も含めた遅延を測定できるため、「GPUの遅延低減機能」や「マウスの遅延低減ブーストモード」などの効果を検証できるというわけです。なお、以下のようにノートPCの画面表示遅延を測定することもできます。


また、マウスやコントローラーなどの配線を改造してLDATとつなぐことで、LDATのエミュレートではなく各種デバイスを使った際の遅延測定も可能です。


◆4:LDATでリフレッシュレートを測定してみた
LDATにリフレッシュレート測定機能も搭載されているので試してみます。まず、PCにLDATを接続した状態で「LDAT.exe」をダブルクリックして実行します。


起動したらキーボードのQキーを押します。


すると、以下のグラフが表示されます。横軸が周波数、縦軸が信号の大きさを示しています。


初期状態だと測定可能な帯域幅が狭いので、Uキーを押して帯域幅を広げます。


ここまで設定したら、リフレッシュレートを測定したいモニターにLDATのセンサー面を押し当てます。


リフレッシュレート60Hzの液晶モニターにLDATを押し当てた際の結果が以下。ピーク部分が画面のリフレッシュレートを示しています。


iPhone 13 Proの画面は480Hzで駆動していました。


Pixel 9の画面は240Hzでした。


なお、LDATには音声スペクトラムアナライザ機能やエイム練習機能なども備わっています。

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