イチかバチかの自然への挑戦、夜の六本木に虹をかける「NIGHT RAINBOW PROJECT」
日常生活でなかなかお目にかかることができない「虹」ですが、虹がかかることが多い国・ニュージーランドの航空会社「ニュージーランド航空」がなんと「夜空に虹をかける」というとんでもない試み「NIGHT RAINBOW PROJECT」を日本で実施しました
「夜空に虹をかける」というのは、自然への大いなる挑戦であるような気もしますが、実行にあたっては日本国内で調達できなかった機材をわざわざ海外から取り寄せるなど、意気込みはかなりのものとなっていました。
ニュージーランド航空で働いているダニエル・レインボーさんというナイスな名前の美人CA(キャビンアテンダント)が登場し、一般参加の子どもたちも集まる中でイベントはにぎやかに進行されましたが、果たして虹を夜空に見事かけることはできたのでしょうか。
虹のメイキング風景と、本番の様子は以下から。見たことのない色を、見にいこう
現場に到着。
東京ミッドタウンのすぐ近くで、21_21 DESIGN SIGHTのすぐお隣にある公園で行われました。
まず目に飛び込んでくるのは巨大な2台のクレーンと、それに渡されているケーブル。霧を噴霧するための管を設置しているのだとか。
虹が作られるのは18:30からのようです。
そもそも虹は太陽の無色透明(白色)な光が水の粒に入った時、含まれる色によって粒の中での曲がり方(屈折率)が違うことからそれぞれの色が分離して見えるもの。最終的に水の粒から出てきて私たちの目に届いた光が、それぞれで赤であったり、黄色だったりすることで虹が形成されるのだそうです。
また、いったいどうやって太陽の出ていない夜に虹をかけるかというと、自然の仕組みをそのまま活用し、地上にいる人たちの目に向かって分離した色の光が届くように角度を調整した「人工太陽」を人工的に発生させた霧に照射して虹を作り出していくとのこと。
そして、クレーンの先に乗っかっているのが、今回のプロジェクトで使われる人工太陽。
そのすぐ後ろには散水車がスタンバイ。
これらは噴霧器で、風向きに応じて霧を吹き出させる役割を果たします。クレーンで渡されている噴霧用の管とはまた別の角度から霧を起こすためのもの。
イベントの最中にニュージーランド航空のロゴなどを投影するためのプロジェクター。人工太陽などの設備が巨大すぎるのでややかすんで見えますが、これも普通のイベントで使われるものなどと比べると十分すぎるほど大きい。
会場内をうろうろしていたところ、だんだん日が傾いてきました。
人工太陽を乗せたクレーンが立ち上がりました。先ほどは折りたたまれていたため分からなかったのですが、すごい高さです。
一般参加者も虹作りに参加することができるとのことで、大勢の人が受付に集まっていました。
参加者はここにある同意書を書きます。主に取材で来ているテレビカメラなどに自分の顔が写っても大丈夫とか、そういう内容。
虹にちなんだレインボーカラーのキャンディーも用意されていました。
虹作りに参加する人は下から手持ちの噴霧器で水をかけまくることになるので、ぬれないようにレインコートが貸し出されます。子どもにCAさんが着せてあげる一場面も。
おそろいのTシャツを着たスタッフも慌ただしく動き回っています。
噴霧のテストが始まりました。
人工太陽も点灯開始。
みるみるうちに暗くなり、その間もテストは続けられました。この時点ではまだ虹は見えず。
運命の瞬間が近づき、一般参加者は舞台袖とも言えるようなすみっこでスタンバイ。
そうこうしている間にもテストは続き、コンディションが整ったのか空に虹が現れました。半円型のものではないものの、確かに虹色に霧が色づいています。
噴霧器で下から霧を吹き出させてみるもの、虹がかきけされてしまう結果に。風向きにものすごく左右されやすいらしく、大がかりな設備が必要でありながら細かな調整が必要となり、とても難しいようです。
それでも虹色の帯は作り出すことはでき、テストはまずまずの結果に終わりました。
そして18:30となり、イベントが始まりました。ここからが本当の勝負です。ちなみに中央に写っているアテンダントさんは、このプロジェクトにぴったりすぎる名前だということでプロジェクトリーダーに抜てきされた美人CAのダニエル・レインボーさん。「レインボー」というのは本名で、しかもプロジェクト発足後に作られた新しい機内安全ビデオにたまたま出演していたので明らかになったのだとか。
一般の参加者「チームレインボー」も準備万端。
エド・オーバリー日本支社長も登場して、いよいよカウントダウンが始まります。
声を合わせてのカウントダウンの後、人工太陽が照射されました。ちょっと分かりにくいですが、ムービー後半にはゆらめく虹が写っています。
発生した虹をとらえた写真はこんな感じ。「どちらかというとオーロラみたい」という声も聞かれました。
ちょっと風向きや霧の吹き上げ方が変わるだけでも虹はすぐに形を変えてしまいます。
霧を噴射している現場に近づいてみます。テストからずっと霧を出し続けているので、地面はかなりビショビショ。
このような感じで各自がノズルを握り、霧を好きな方に向けて発射しています。
バンザイしている人も出るなど、この時は特に大きな声援が上がったのですが、それはノズルを持っている人から見た時、その上にちょうど虹が丸くかかったように見えたからだとか。ちょっとやってみたくなりましたが、カメラを持っているなどもろもろの事情で断念。
最後は記念撮影をして、イベントは幕を閉じました。
その後も少しの間、一般参加者が自由に虹を作る時間が取られて、まだ遊び足りない老若男女がはしゃいでいました。
夜に虹をかけるという冒険的な試みであったことから始まる前はかなり緊張感が高まっていたのですが、虹が発生した瞬間、観客やマスコミ席からは大きな歓声が。プロジェクトの目的であった「みんなをハッピーにする」「ニュージーランドの虹を届ける」という目的は達成されていたように思われました。
プロジェクトの公式レポートが下記サイトにアップされているので、こちらでチェックしてみるとまた違った場面の写真などが見られて興味深いものとなっています。
NIGHT RAINBOW PROJECT | AIR NEW ZEALAND
・関連記事
宝が埋まっているともいわれる、虹の橋のたもとを撮影した希少な写真 - GIGAZINE
様々なパターンの虹の写真あれこれ - GIGAZINE
炎のように揺らめく一直線の虹 - GIGAZINE
音速で飛行する機体が虹を発生させる瞬間の写真 - GIGAZINE
・関連コンテンツ