2010年06月29日 20時27分ソフトウェア

「Windows 8」の起動時間をこれまでの半分にする新技術「ログオフ＋ハイバネーション」とは？

流出した「Windows 8」社内機密資料にはいろいろと興味深いことが書かれているわけですが、技術的に最も注目したいのはやはり起動時間の短縮。特にまだ名称すらはっきりとは決まっていないものの、新しい起動方式である「ログオフ＋ハイバネーション」はかなり期待できる技術となっており、うまくいけば起動するまでの時間が今までの半分、つまり起動速度が2倍に高速化されるというかなり画期的な技術です。

詳細は以下から。
特に今回のWindows 8で注力されるのが電源関係。

まずは「効率」から。カーネルの電力制御、カーネルスケジューラー、CPUがアイドル時の消費電力制御、「D3cold」によってPCIデバイスのアイドル時の電源を完全にオフにする、などなどの省電力システム。

2つめは「電源オンとオフの推移」について。I/O改善によるハイバネーションのパフォーマンス速度の改善、ログオフ＋ハイバネーションという新しい状態、BIOSのファイルを読み込む速度の上昇、新しいインテリジェントRTCアラームによってノートPCがAC電源につながったことを検知、などとなっています。

3つめは「計測」となっており、アイドル状態の分析やより拡張されたパワーコンフィグレーションとなっています。

4つめは「回復力」で、ユーザーが何も操作していない時にCPUをアイドル状態にする機能の拡張、さらにユーザーが何も操作していない時にハードディスクの回転が少なくなる際にハードディスクの読み書きを防止する機能などとなっています。

Windows 8でさらに注力されるのがこの起動速度の改善。Windows8搭載PCは素早く起動し、いくつかのケースでは長い時間待たされることなく瞬間起動に近いものになるとしています。そのためにもゼロワット状態からの素早い起動、モバイルPCにおける瞬間スリープ、さまざまな電源状態、さらに熱狂的なユーザーのためのパフォーマンスの追跡・分析・カスタムオプションも搭載するとしています。

そのためにWindows8の高速起動戦略として、家電のような使い勝手、つまり省電力によって常に待機するスタンバイとスリープモード、伝統的な起動シーケンスの見直し、賢いキャッシュシステム、ブートレイアウトのプリフェッチ、Windows8でのReadyBoostのキャッシュを起動時も持続させる、オン・オフのユーザー体験の改善、起動速度の計測と改善用ツールの提供があげられています。

起動時間の短縮と高速化についてさらに考慮すべきこととして、起動速度改善の研究を継続して行うこと、BIOSとドライバーの改善、ログオフとハイバネーションの組み合わせ、などがあるそうです。

このログオフとハイバネーションの組み合わせについて、見た目や使い勝手はWindows7のシャットダウンと起動に似ており、ドライバーやデバイスツリー、システムサービスといったコアシステム部分をハイバネーションでキャッシュし、ユーザーのデスクトップを更新して起動後に実行、これによって起動速度は現在のコールドブートの半分の時間になるとしています。

この新しい「ログオフ＋ハイバネーション」（名称未定）はWindows8のデフォルトのオン・オフ設定となり、これをどうやってユーザーに説明するかというので「シャットダウン」「ターンオフ」「パワーダウン」もしくはそれ以外の名称にするか、どうやってWindows7の起動やハイバネーションのようなユーザー体験にするか、アップデートのインストールやハードウェアの変更そしてOSの起動時の選択をさせるのか、Wake On LAN機能などとの兼ね合いなど、問題はまだ山積みだとしています。