AIが不適切と判定した約200冊の本が学校の図書室から撤去される、「一九八四年」「チェンソーマン」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「ワンパンマン」など

イギリスの中学校の図書室から、AIによって「不適切」だと分類された書籍が撤去されるという事態が発生しました。AIによって不適切だと判定された本の中には、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」やミシェル・オバマ氏の自伝「マイ・ストーリー」のほか、「チェンソーマン」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「ワンパンマン」などの漫画も多数含まれていました。
School book banning escalates in the UK as Greater Manchester secondary school censors scores of books - Index on Censorship
https://www.indexoncensorship.org/2026/03/school-book-banning-escalates-in-the-uk-as-greater-manchester-secondary-school-censors-scores-of-books/
Librarian 'gobsmacked' after school uses AI to remove 200 books from shelves including Orwell's 1984 and Twilight | LBC
https://www.lbc.co.uk/article/librarian-gobsmacked-school-ai-remove-books-5HjdWsc_2/
2025年のある日、イギリスのグレーター・マンチェスターにある中学校で図書室司書として勤務していたエミリー氏(仮名)は、ローラ・ベイツ氏のノンフィクション作品「Men Who Hate Women(女性を憎む男達)」を推薦図書のリストに加えました。「Men Who Hate Women」は女性との交際や性的関係に問題を抱え、女性蔑視的言動を特徴とするオンライン集団のインセルなどを扱った本です。

すると、中学校の校長が「生徒を女性蔑視的な考えにさらす危険がある」として、「Men Who Hate Women」を図書室から撤去するよう求めました。エミリー氏はがっかりしつつも決定には従い、生徒が立ち入れない職員用の図書室に移しました。
ところが、学校側はエミリー氏に対してさらなる調査を行い、人事部や安全保護主任(Designated Safeguarding Leads)との面談が実施されることとなりました。エミリー氏は、一部の書籍には非倫理的であったり不道徳だったりする内容が含まれている場合もあるが、生徒たちがそうした作品に触れることも重要だと主張したとのこと。
翌日エミリー氏が出勤すると、図書室からいくつかの漫画やグラフィックノベルがなくなっていることに気が付きました。そして学校側は「一時的な安全対策」として図書室の閉鎖を決定。この閉鎖措置に対しエミリー氏は、毎日図書室を訪れていたLGBTQ+や神経発達障害を持つ子どもたちの安全な居場所が奪われてしまったと非難しています。
学校側はエミリー氏に対し、図書室の蔵書をチェックして「不適切な本」を撤去するように指示しました。撤去基準は「子ども向けに書かれていない本」「子どもに不快感を与える可能性があるテーマの本」「その他の不適切だったり児童保護上のリスクになったりする本」の3つでしたが、具体的な定義ではなかったとのこと。
エミリー氏はひとまず決定に従って撤去する本を選定しましたが、安全保護主任は「学校の図書室に不適切な本を持ち込んだ」と指摘し、エミリー氏を児童保護上のリスクがあるとして地方自治体に通報してしまいました。この事態にショックを受けたエミリー氏はストレスが原因で病欠することとなり、イギリス学校図書館協議会(SLA)や図書館情報専門家協会(CILIP)、学校図書館グループ(SLG)などに連絡を取って支援を求めました。SLGの会長であるキャロライン・ロッシュ氏は表現の自由を擁護する団体のIndex on Censorshipに対し、エミリー氏の主張は証拠によって裏付けられており、学校側はエミリー氏のキャリアを台無しにしてしまったと批判しました。

その後、学校側はエミリー氏と「不適切」と判断した本のリストを共有しました。スプレッドシートには約200冊の書籍がラインナップされていますが、その分類にはAIが用いられていたとのこと。Index on Censorshipの問い合わせに対し、学校側はAIでリストが生成されたことを認めつつ、その分類はおおむね正確だと考えていると主張しました。
AIによって不適切と判断された書籍の中には、監視の厳しいディストピアを描いたジョージ・オーウェルの「一九八四年」、ミシェル・オバマ氏の自伝である「マイ・ストーリー」、ステファニー・メイヤー氏のティーン向け小説「トワイライト」、LGBTQ+の子どもに向けた「Queerly Autistic: The Ultimate Guide For LGBTQIA+ Teens On The Spectrum(自閉症スペクトラムのLGBTQIAKティーンのための究極ガイド)」などが含まれていました。
また、「チェンソーマン」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「ワンパンマン」「黒執事」「DEATH NOTE」「FAIRY TAIL」「東京喰種」といった日本の漫画作品も多数含まれていました。

CILIPのルイ・コワフェ=ガン氏はIndex on Censorshipに対し、「一部の学校指導者が、訓練を受けた専門家ではなくAIを用いて書籍の分類をしている」という懸念があると主張。また、すべての子どもには児童の権利に関する条約に基づいて年齢に応じた情報にアクセスする権利があり、今回の事例は憂慮すべき前例になると指摘しています。
結局、エミリー氏は中学校を退職せざるを得なくなり、児童保護に関する苦情に基づく審査が行われたことで学校司書としてのキャリアを絶たれてしまいました。
Index on Censorshipは、学校における書籍の大量撤去は保守右派のロビー団体が組織的圧力をかけているアメリカでよく見られると指摘。「これは読書や思想の自由に対する前例のない攻撃であり、本来は保護を目的とした重要な措置が、学校司書を脅かし標的にするために悪用された事例です」「この事実が明るみに出て改善されなければ、同様の事態が再び起こる恐れがあります」と述べました。
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