サイエンス

睡眠時間が長くても不規則なら心臓発作や脳卒中のリスクが増加する


これまでに、睡眠時間が長い方が心臓病のリスクなどが低くなるといった睡眠時間と健康状況を関連付ける研究結果が複数報告されています。新たに「睡眠の規則性」に着目した研究によって「睡眠時間が長くても不規則なら心臓発作や脳卒中のリスクが高くなる」という可能性が示唆されました。

Sleep regularity and major adverse cardiovascular events: a device-based prospective study in 72 269 UK adults | Journal of Epidemiology & Community Health
https://jech.bmj.com/content/early/2024/10/30/jech-2024-222795

Irregular sleep-wake cycle linked to heightened risk of major cardiovascular events - BMJ Group
https://bmjgroup.com/irregular-sleep-wake-cycle-linked-to-heightened-risk-of-major-cardiovascular-events/

Irregular sleep pattern raises risk of stroke and heart attack, study finds | Health | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2024/nov/26/irregular-sleep-pattern-raises-risk-of-stroke-and-heart-attack-uk-study-finds

睡眠と健康を結び付ける研究では「睡眠時間」が着目されがちで、睡眠時間も被験者の自己申告に頼ったものが多数です。カナダやオーストラリアの研究者からなる国際的な研究チームは「被験者の手首に加速度計を装着し、動きから睡眠の規則性を評価する」という手法を用いて睡眠の規則性と心臓発作や脳卒中のリスクの関係を分析しました。

被験者はUKバイオバンクに登録している7万2269人の成人で、加速度計「Axivity AX3」を手首に装着して7日間過ごした際のデータと、8年間にわたって心筋梗塞や心不全、脳卒中といった「心血管イベント(MACE)」の発症の有無を追跡したデータが分析に使われました。


研究チームは加速度計のデータから導き出した「就寝時刻」「起床時刻」「睡眠時間」「睡眠中の覚醒回数」をもとに、睡眠規則性度(Sleep Regularity Index:SRI)を算出しました。その結果、睡眠規則性度が高い人ほどMACEを発症するリスクが低くなることが明らかになりました。


さらに、睡眠規則性度が87.3より高い被験者を「規則的な睡眠グループ」、71.6~87.3の被験者を「中程度に不規則な睡眠グループ」、71.6未満の被験者を「不規則な睡眠グループ」に分類して分析した結果、「中程度に不規則な睡眠グループ」は睡眠時間を長くすることでMACEの発症リスクを相殺できるものの、「不規則な睡眠グループ」では睡眠時間が長かったとしても発症リスクが高くなることが明らかになりました。

研究チームは今回の成果をもとに「睡眠の規則性は心臓や血管の健康に潜在的な影響を及ぼす可能性が示唆された。このため、公衆衛生ガイドラインや臨床診察では睡眠の規則性にもっと注意を払う必要がある」と結論づけています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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