エキサイトイズムのオリジナルPCバッグ製作秘話
前回に引き続き、今回もエキサイトのお話。エキサイトの中にある「エキサイトイズム セレクトショップ」にて2004年に販売され、速攻で完売したことで有名な「PORTER×Excite ism オリジナルPCバッグ」というのがあり、私もその際に購入して今もなお現役で使い続けています。いまだにこのPCバッグを上回るものはありません。既存のPCバッグに満足できない人にはオススメです。
というわけで、この非常に満足度の高い、ある意味、製作者の執念すら感じられる究極のPCバッグがいかにして作られたのか?という製作秘話、裏事情を担当者に聞く機会を前回のエキサイトニュースのインタビュー時に得ることができました。
どういう経緯でここまで凝りに凝りまくったPCバッグが生まれたのでしょう?
◆なぜこのPCバッグを作るに至ったのか
エキサイトニュース編集部への取材終了後、時間を取ってもらい、このPCバッグを企画した方にお話を伺うことができました。これが実に説明が上手で、「しまった!ムービー撮影にするべきだった!」と後悔するほど、立て板に水のごとく解説してくれるわけです。文字だとうまく伝わりませんが、インタビューの後半ではその場にいたエキサイト広報の方やエキサイトニュース編集部の方も聞き惚れていました。
GIGAZINE(以下、Gと省略):
これの企画はいつ頃できたのでしょう?
エキサイトイズム(以下、エと省略):
特集に絡めて企画されたわけです。確かExcite ism Vol.46 『春、吉田カバンで始める』の前だから、Vol.42の頃ぐらいですかね。この頃に、じゃあ次の特集と絡めて作っちゃえ~ということになったんですよ。
G:
えっと、なぜ作っちゃえ~ということに…?
エ:
吉田カバン自体の特集をそれ以前にイズムでやったわけです。その際に読者からの反応も非常に良くて、これはかなりいけるんじゃないか?という感触がありました。吉田カバン特集ということで、エキサイトオリジナルのカバンを作るのも面白いかな?ということになり、打ち上げ花火的な企画でやっちゃおう!となったわけなんです。エキサイトはインターネットの会社なので、作るならやっぱりPCバッグだろう、と。実はですね、当時私も欲しいPCバッグがなかったんですよ(笑)
G:
直球かつむちゃくちゃな動機ですね(笑)
◆打ち上げ花火的な動機で作った
エ:
当時のPCバッグというと、ナイロンのいい加減な素材と縫製のものしか無くて、仕方ないからインナーバッグとかにノートパソコンを入れていたわけです。けれど、中でずれたり、いろいろ不都合が起きる。それがきっかけで、機能を充実させたバッグを作れば喜ばれるんじゃないか?と思ったわけです。売上をあげようとかそういうのじゃなくて…。
G:
なるほど。お金をかけて作るけどそれ自体は記念っぽい意味合いが強い。それで打ち上げ花火的、という表現になるわけですね?
エ:
そうですね。こわごわ100個作る、ということでスタートしたんですけど。1週間足らずで完売して、ああ、こういうニーズがあるんだ~、と。
G:
確かに、見た途端によくつくったなーとは思いました。かなり贅沢な作りになってるな、と。
エ:
吉田、コラボ、みたいなフレーズでPCバッグを探している人っているんじゃないかと思って。それで、ビジネスマンだけどがちがちの営業ってワケではなく、どこにでも持って行けるようなPCバッグを作ることになったわけです。
◆ポケットがたくさんあるその理由
G:
ポケットがたくさんあるのもウレシイですね。
エ:
そのあたりは吉田カバンならでは、という感じです。機能性とファッション性にこだわりがあって、一針入魂(いっしんにゅうこん)というポリシーで作っています。技術と伝統があるカバン屋さんとしてのプライドがあるから、あらゆる部分に非常にこだわるんですね。
G:
確かに縫製がいい加減なカバンとかがありますからね。
エ:
PCバッグなのに、縫い目の糸がほつれてくるとか色々あると、エキサイトのブランドとして困ってしまいますので、やはり丈夫でないとだめってのもありました。あと小さなパソコンから大きなパソコンまで中に入って、ある程度ホールドして欲しい、というのも要望としてありました。この点はがんばって何度も何度もいろいろなパソコンを出し入れしましたね。今はもうそんな人はいないかも知れないけど、昔のものすごく分厚くて重いパソコンを入れるかも知れない!ということまで考えました。厚さは何センチまでいけるのかとかもテストしてみたわけです。
それであと、ここにはCD-ROM入れるよねーとか、メモリースティックとか各種メモリも入れるようにしないと…とか、MP3プレイヤー入ったらいいなーとか、そんな感じでポケットを作っていったわけです。資料と財布、名刺、ペン、その他諸々が入ればいいな、という感じですね。A4サイズの資料とか、小物系とかも。あと、パソコン雑誌入れたりとか。外側のポケットにはAC電源入れたりマウス入れたりしつつ、入れてもあまりぽっこりしないようなフォルムになるよう心がけました。
G:
そんないろいろな裏話があったんですね。どこに何を入れるかというのは知らなかったので勉強になります。やはり実際に作る企画を出した方の説明は違いますね。
◆中の重みで勝手に開かないファスナー
エ:
あとこのファスナー、倒すと動かないようにロックできるんですよ。中の重みでガ~っと開かないように。ポーターのオリジナルファスナーなんです。そろそろここまで機能が充実した他のメーカーさんのカバンとか出るかな~と思ってるんですけど、ここまでこだわってるのはまだないですね。この縦方向の取っ手も通勤するときとか便利ですよ。
それから、外側のポケットはボタンどめではなくて、ファスナーとかの方がいいよ~というまわりの声もあったんですが、雨が入らないようにしようと思うとこうなるわけです。外側だとぬれますからね…。
G:
いろいろな機能の結晶になってるんですね、このPCバッグは。
エ:
こちらから機能をリクエストすると、百戦錬磨のデザイナーの方が今までの経験から、じゃあこうすればいいよ、こういうデザインで、こんな機能があるよ、と作ってくれるわけです。
G:
値段が高いのですが、何回も買い直すよりも一度買って長く使えるものの方がいいなーと思います。今もまだ使ってますが丈夫です、ほんとに。
◆今後の予定、秋には新作を予定
エ:
これがきっかけになっていろいろとほかのPCカバンも作りました。別に小さいカバンを持つ人用とか、自転車通勤用とか、トートバッグ型とかいろいろですね。いずれにしても今回のこれが一番基本となるカバンです。
あと、また今年の秋に新モデルが出るんです。年に2回ずつ出していってますので。
G:
なんと!新作ですか!
エ:
それから、このPCバッグと同じデザインと型で、素材だけ違うのを作ろうかな、とも考えているんですよ。
エキサイトニュース編集部:
いや、今日のこのプレゼン受けて欲しくなりましたね~。
エキサイト広報:
実践販売員か何かに転向した方がいいんじゃないですか?
G:
あー、この話している様子をムービー撮影してYouTubeにでもアップした方がいいかもしれないですね、実際に目の前でカバンをいろいろと動かしつつ説明しつつ、立て板の水のごとく説明してましたし。
エ:
社内販売員状態ですね~、本当に。2年近く同じ事を言っているのでもはや達人のレベルですね(笑)
というわけで、GIGAZINEで使っているPCバッグ、やたら丈夫で便利だな~と思っていたらこれぐらいの気合いで作られていたわけです。何かしっくりきて末永く使えるPCバッグはないかな~という場合には最適かも知れません。
次回、「GIGAZINEの仕事術」…乞うご期待。
・関連記事
レンズ5本×カメラ3台が収納可能なプロ仕様カメラバッグ「Skyborne」レビュー - GIGAZINE
町中の視線を集めること間違いなし、奇妙で意外と実用的なバッグ12種類 - GIGAZINE
フロッピーでつくったカバン - GIGAZINE
立ったまま使えるノートPC専用バッグを実際に使ってみた - GIGAZINE
・関連コンテンツ