遺伝子検査ツールの23andMeが「事業価値最大化」のため破産を申請

遺伝子検査ツールを開発する23andMeが2025年3月23日に、アメリカ・ミズーリ州の東部地区連邦破産裁判所に対し、連邦破産法第11条に基づく破産を申請したことを発表しました。
23andMe Initiates Voluntary Chapter 11 Process to Maximize Stakeholder Value Through Court-Supervised Sale Process | 23andMe, Inc.
https://investors.23andme.com/news-releases/news-release-details/23andme-initiates-voluntary-chapter-11-process-maximize/

Attorney General Bonta Urgently Issues Consumer Alert for 23andMe Customers | State of California - Department of Justice - Office of the Attorney General
https://oag.ca.gov/news/press-releases/attorney-general-bonta-urgently-issues-consumer-alert-23andme-customers
DNA testing firm 23andMe files for bankruptcy as demand dries up | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/dna-testing-firm-23andme-files-chapter-11-bankruptcy-sell-itself-2025-03-24/
23andMeは連邦破産法第11条ならびに米国破産法第363条に従って、実質的にすべての資産を売却するプロセスを開始するための許可を裁判所に求めています。裁判所が承認した場合、23andMeは複数の投資銀行の支援を受けながら、事業を売却して資産価値を最大化するための競売が行われる予定です。
また、23andMeは裁判所に対し、従業員の賃金と福利厚生の支払い、および特定のベンダーとサプライヤーへの報酬を今後も行う権限を含む、さまざまな救済を求める申し立てを行っています。加えて、サニーベールとサンフランシスコの不動産リースを含む多数の契約を拒否する承認を求める申し立ても裁判所に提出しました。これにより、23andMeの運営費が大幅に削減されます。
さらに、今回の発表と同時に23andMeのアン・ウォジツキ氏がCEOを辞任することが報告されています。同氏は引き続き23andMeの取締役を務め、最高財務・会計責任者のジョー・セルサベージ氏がウォジツキ氏の後任として暫定的にCEOに就任しました。
23andMeの取締役会長のマーク・ジェンセン氏は「戦略的な代替案を徹底的に評価した結果、裁判所の監督下での事業売却がビジネスの価値を最大化するための最善の道だと判断しました。裁判所の監督の下で、さらなるコスト削減や法的責任および借地責任の解決など、当社が直面している運用上および財務上の課題に対処するための取り組みが前進することを願っています」と語っています。
23andMeをめぐっては、2023年10月にクレデンシャルスタッフィング攻撃によるハッキング攻撃を受け、全顧客の約半数にあたる550万人分の顧客データと140万人分の家系図プロフィールが流出しました。
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その後、23andMeはハッキング被害を受けた顧客が集団訴訟を起こすことが困難になるように、利用規約を変更しています。なお、それでも23andMeはハッキングによるデータ侵害の被害者から30件以上の訴訟を提起されており、2024年9月には一連の訴訟に対して3000万ドルの和解金を支払うことに合意しています。
さらに、2024年11月には「業務の効率化とコスト削減」と称して全従業員の約40%にあたる200人以上を解雇したことを発表しています。その際、23andMeは「私たちは、23andMeを再構築し、中核となる消費者ビジネスと研究パートナーシップの長期的な成功に焦点を当てるにあたり、こうした必要な措置を講じています」と述べていました。
カリフォルニア州司法長官のロブ・ボンタ氏らは23andMeが収集した遺伝子データが今回の破産によってどのように扱われるかを疑問視しています。そのためボンタ氏は「カリフォルニア州には、消費者が自身の遺伝子データを削除するよう企業に要求することを可能にする強固なプライバシー法があります。カリフォルニア州民に対し、自身の権利を行使し、23andMeにデータを削除して同社が保有する遺伝物質のサンプルの破棄を要請するよう呼びかけていきます」と述べ、23andMeでの遺伝子データの削除方法について解説しています。

一方で23andMeは「当社は、売却プロセスのさなかでも通常どおり事業を継続していく予定で、当社が顧客データを保存、管理、または保護する方法に変更はありません」と主張。ジェンセン氏も「今後も顧客データを保護し、ユーザーデータの管理について透明性を保つことを約束します」と語りました。
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in メモ, Posted by log1r_ut
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