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物事に名前を付ける時に避けるべき命名方法とは?


科学の進歩と共に新しい概念が生まれた時、新しい概念には新しい名前が与えられます。この新しい名前はさまざまな命名規則にのっとってつけられますが、コンピューター科学者のウィル・クライトン氏が「一部の命名方法は避けるべきだ」と自身のブログで訴えています。

Naming Conventions That Need to Die | Will Crichton
https://willcrichton.net/notes/naming-conventions-that-need-to-die/

名前は思考のための重要なツールであり、知識を管理・構造化する軽量な手段を提供します。しかし、クライトン氏は「従来の命名則は学習を阻害し、進歩を妨げる」と主張しています。


クライトン氏は、まず第一に「発明者の名前を使用する慣習が科学や数学の分野で最も広く蔓延している」ことを問題として挙げています。

例えば、数学の公式や定理には「コーシー・シュワルツの不等式」や「ロピタルの定理」「リーマン予想」など、発見者の名前を冠した概念が多数存在しますが、これは後に概念を学ぶ人々の理解を妨げる要因となっているとクライトン氏は指摘。例えば「ガウス分布」ではなく「正規分布」や「ベルカーブ」と呼ぶように、概念の本質を伝える名前が望ましいと述べています。


また、数字による命名の問題についても指摘されています。例えば、統計学における第一種の過誤第二種の過誤という用語は、「偽陽性」や「偽陰性」というより意味の分かりやすい用語に置き換えるべきだとクライトン氏は主張しました。

そして、ApachePigFlinkSparkなどに見られるような、ランダムな単語を使用する命名慣習にも問題がある、とクライトン氏。命名された文脈もわからないような名前は、特に技術的な会話において、その分野に詳しくない人々を排除してしまう効果がある、とクライトン氏は述べています。


また、歴史的な事情による命名もやっかいです。例えば、LISPにおけるcarとcdrという関数は、1950年代のハードウェアの制約に由来して命名されています。しかし、クライトン氏は、現代においてはheadやtailなどの分かりやすい用語に置き換えるべきだと主張しました。

クライトン氏は「知識は本来、構成的に構築されるべきである」と主張し、少数の核となる要素を記憶し、それらを様々な形で組み合わせることで概念を理解するのが最も効率的だと主張しています。そして、命名規則の改善は単なる技術的な問題ではなく、知識の民主化と効果的な学習のための本質的な課題だと訴えました。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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