サイエンス

大麻が世界各地で合法化されて判明した大麻の危険性とは?


長年にわたり大麻は世界各地で非合法とされてきましたが、近年では、カナダやアメリカ・カリフォルニア州などで嗜好(しこう)品としての大麻所持・使用が合法化されています。大麻が作用する理由や大麻の効果などについて、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。

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元来、大麻は世界各地でその所持と使用が違法とされてきましたが、近年ではドイツなどの一部の国と地域で合法化されつつあります。


これまで大麻の非合法化によって、科学者による大麻の研究が困難になっていました。


特に、大麻使用の長期的な影響に関する研究は法的なハードルが高く、これまで小さなサンプルでの研究が行われてきました。


しかし、近年の大麻合法化の流れによって、大麻に関する研究が進みつつあります。


大麻が作用する要因は、体内のカンナビノイド受容体に作用するテトラヒドロカンナビノール(THC)にあります。


THCがカンナビノイド受容体にドッキングすると、脳のさまざまな部位を活性化または沈静化させ、高い高揚感を生み出します。


THCの濃度が高ければ高いほど、より強烈な高揚感が得られるとされており、過去数十年で合法・非合法を問わず多くの大麻製品のTHC濃度が2倍以上になっているとのこと。


そのため、THCが60%以上含まれるエディブルコンセントレート、つまり大麻入り食品や大麻濃縮物のような製品の人気が高まっており、一方でTHC濃度が15%未満の製品のシェアは減少傾向にあるそうです。


しかし、大麻が引き起こすさまざまな問題は、THC濃度が高くなるほど悪化することが指摘されています。


アメリカでは、2022年に初めて毎日大麻を摂取する人の数がアルコールを上回ったほか、カナダでは16歳以上の約26%が大麻を使用していることが報告されています。


大麻が健康に悪影響を与える要因として「THCの濃度」「摂取頻度」「大麻の使用を始めた年齢」があり、THCの濃度が高ければ高いほど、摂取頻度が高ければ高いほど、使用を始めた年齢が若ければ若いほど健康リスクは高まると考えられています。


これまでの研究で毎日大麻を摂取する人の約10人に1人が深刻な依存症になることが示されています。大麻依存症の人は脳がカンナビノイドに対する耐性を獲得しているために、高い高揚感を得るためには大量の大麻やより強力な大麻を必要とするとのこと。


研究では、大麻依存症患者は落ち着きがなくなるほか、妄想的になる、イライラしやすくなる、不安になる、抑うつ的になるなどの症状が発生しやすくなることが報告されています。


また、別の研究では、孤独感と頻繁な大麻使用は密接に関係しているとの結果も判明しています。大麻は高い高揚感を得て孤独感を軽くする一方で、「自分は社交的ではない」という抑うつ的な思考を引き起こす可能性があります。この結果、自己孤立と慢性的な孤独に関する下降スパイラルに陥る可能性があることが指摘されました。


さらに、大麻は精神的なまひを引き起こします。Kurzgesagtによると、大麻を使用すると退屈を感じなくなるとのこと。


しかし、退屈は創造的な活動や新しいことを学ぼうとする心のシグナルであり、これを抑制するということは、人間的な成長が妨げられることを意味します。


Kurzgesagtは「感覚をまひさせることで、イヤな感情を鈍らせて対処を拒否することが可能になります。しかし、人生ではイヤな感情は実際に感じなければ乗り越えることはできません。成長するためにはそのイヤな感情も処理しなければなりません」と語りました。


加えて、頻繁な大麻の摂取は、頭痛や発汗、悪寒、食欲減退、発熱、吐き気、腹痛などの身体的な禁断症状を引き起こす可能性があります。こうした禁断症状は、大麻使用者を抑うつ的な気分にさせることがあるとのこと。


また、大麻の使用が脳に悪影響を与えることも示唆されています。


これまでの研究で、大麻を使用すると記憶力や知覚、注意力、意志決定能力、言語能力、衝動制御能力が低下することが明らかになっています。また、こうした悪影響は大麻の使用をやめると時間の経過とともに治まる可能性が報告されています。


Kurzgesagtは10代の若者が大麻を大量に使用するリスクについて警告しており、「若いうちに大量に大麻を摂取し始めると、潜在的な悪影響が蓄積される年数が長くなり、大麻中毒になる可能性が高くなります」と述べました。


研究では大麻の常用者は学校の成績が悪くなることが報告されており、大麻の使用による記憶力や学習意欲の低下がその要因であると考えられています。


また、10代で大麻を使用した人は精神病や統合失調症などの精神衛生上の問題を発症する可能性が高いことも示されています


Kurzgesagtは「10代の若者にとって、大麻を常用したり大量に摂取したりすることはよくないことです。どうしても大麻を試したい場合、20代になってからやるべきです。少なくとも今はまだやめておきましょう」と語りました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1r_ut

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