サイエンス

人類が太陽系を決して離れることができない「何もない空間」という最大の壁とは?


宇宙は果てしなく広く、宇宙開発が始まって50年以上たっても、人類はまだ宇宙のごく一部しか観測できていません。太陽系の外へ人類が本格的に進出できない理由について、教育系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがムービーで解説しています。

Why Humanity Will Never Leave The Solar System - YouTube


Kurzgesagtはまず、「あなたは決して太陽系から出ることはないだろう」と述べています。その理由として太陽系にいる人類は「見えない障壁」に閉じ込められており、そしてそれは人類だけではなく、宇宙にいるかもしれない異星文明も同様とのこと。この「見えない障壁」とは、「基礎物理学の限界」であるとKurzgesagtは説明しています。


人類がこれまで宇宙で達成した最速の移動は、1969年に月から帰還したアポロ宇宙飛行士たちの「時速約4万km」でした。これは、途方もなく広大な宇宙を航行するには遅すぎます。また、NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は金星の重力を利用して加速を繰り返し、2018年の打ち上げから7年間の飛行を経て時速63万5000kmという速度で太陽系内を飛行しています。これは地球を4分で1周し、地球から月までを36分で移動できるほどの速さですが、仮にパーカー・ソーラー・プローブに宇宙飛行士が乗り込めたとしても太陽系の外縁にあるとされる「オールトの雲」の端に到達するには約2500年かかります。この太陽系の外縁に広がるほとんど何もない空間こそが、人類を太陽系に閉じ込める「見えない壁」だとKurzgesagtは説明しています。


ニューサウスウェールズ大学シドニー校で科学コミュニケーションおよび宇宙生物学を研究するキャロル・オリバー教授も、「宇宙人が存在するとしても、宇宙人が地球を訪れない理由」の1つとして同様の理由を挙げています。太陽に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリに到達するには、パーカー・ソーラー・プローブの速度でも約6650年かかる計算になり、それより遠い恒星系に知的生命体が存在していたとして、仮に地球と同じタイミングで宇宙開発をしていたとする場合、地球に到達するのが数千年後ということになるわけです。

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速度の制約は現代の技術による水準であり、より高速で移動する方法が確立した場合、太陽系を突破できる可能性が考えられます。核融合や反物質を使った推進システムは理論上は光速のかなりの割合に近づける可能性があり、仮に光速の20%で航行できる宇宙船を想定した場合、数日で太陽系の外縁に飛び出すことが可能で、最も近い恒星系であるアルファ・ケンタウリには20年で到達できます。しかし、恒星間航行には速度だけではなく、宇宙空間そのものが持つ危険もあります。宇宙空間は完全な真空ではなく、原子や塵、微小な粒子が漂っており、光速の20%という速度でそれらに衝突すると、鉄原子1個でも宇宙船の外板に深刻な損傷を与え、小さな砂粒でさえ爆発的な破壊をもたらす可能性があると考えられます。


速度の制約をクリアし、原子や粒子の衝突についても保護シールドのようなもので安全性が保証されたとします。仮にこうした障害を乗り越え、アルファ・ケンタウリのような近くの恒星系に到達できたとしても、その星が人類にとって20年かけて到達する必要がある魅力的な目的地であるとは限りません。アルファ・ケンタウリ系の惑星は、見た目は美しくても生命居住に適していない可能性が高いとKurzgesagtは指摘。また、太陽系の近傍にある星々の多くも宇宙でもっともありふれた赤色矮星で、周囲の惑星は生命にとって厳しい環境であることが多いとのこと。


それでも、より遠くには生命が存在する可能性のある惑星があるかもしれませんが、それらは数十光年、場合によっては数千光年先にあるかもしれません。たとえ光速にかなり近い速度で移動できたとしても、そのような惑星にたどり着くには何世代も必要になります。Kurzgesagtは、将来の人類が老化を克服したり、AI搭載の宇宙船に胚を載せて宇宙に送り出したりするイメージを伝えていますが、仮にそうして居住可能な惑星に到達したとしても、そこから文明を構築して維持するにはさらなる高度なテクノロジーが必要だとしています。


Kurzgesagtは最後に、宇宙の未来を予測するのは難しく、現在の人類には太陽系外へ出るのに必要なあらゆるテクノロジーが不足しているとしつつも、「技術は常に予想を裏切ってきた」と指摘しています。有名なエピソードとして、ニューヨーク・タイムズは1903年に「人類の飛行技術が発展するには1万年から1000万年かかる」とする「飛べない飛行機械」という社説を掲載しましたが、その69日後にはライト兄弟が最初の飛行を成功させ、66年後には人類は月面に着陸しています。そのため、「人類は『見えない障壁』に阻まれており太陽系を決して離れることができない」と主張する動画も、「100年後には愚かに見えるほどテクノロジーが急成長していることを願っています」とKurzgesagtは語りました。

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in 動画,   サイエンス, Posted by log1e_dh

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