【訃報】「ムーアの法則」の提唱者でIntelの共同創設者でもあるゴードン・ムーア氏が94歳で死去

「プロセッサ内のトランジスタ数は毎年2倍に増加する」と予想した「ムーアの法則」の提唱者で、ロバート・ノイス氏とともに1968年にIntelを創設したゴードン・ムーア氏が2023年3月24日(金)に亡くなりました。94歳でした。

Gordon Moore, Intel Co-Founder, Dies at 94
https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/gordon-moore-obituary.html

In Memoriam: Gordon Moore, 1929 - 2023
https://www.moore.org/article-detail?newsUrlName=in-memoriam-gordon-moore-1929-2023

Gordon Moore, Intel co-founder and creator of Moore’s Law, has died - The Verge
https://www.theverge.com/2023/3/24/23655844/gordon-moore-intel-co-founder-creator-moores-law-died

1965年当時フェアチャイルドセミコンダクターに在籍していたムーア氏は、自らの半導体業界での経験に基づき「半導体集積回路内のトランジスタ数は毎年2倍になる」と(PDFファイル)予測しました。後にこの予測は「ムーアの法則」と呼ばれ、1975年には予測内容を「トランジスタ数は2年で2倍に増加する」と改めています。

1968年にはノイス氏とともにIntelを立ち上げ、2006年までの38年間で副社長や社長、取締役会長兼CEO、名誉会長を務めたムーア氏はIntelを世界最大手の半導体素子メーカーに押し上げました。

2023年3月24日(金)、Intelは公式Twitterアカウントのひとつでムーア氏がハワイの自宅で家族に囲まれて亡くなったと報告しました。

Intelのパット・ゲルシンガーCEOは「ムーア氏は自らの洞察力と広い視野でテクノロジー業界を定義しました。彼はトランジスタの力を明確にすることに尽力し、何十年にもわたって技術者や起業家に影響を与えました。私のキャリアと人生の多くは、ムーア氏のリーダーシップによって形作られました」と哀悼の意を表しています。

ゲルシンガー氏はさらに「かつて彼は『やればできる』と言いました。彼の功績を継ぐ我々はこれからも絶え間なく働きます。彼は地球上すべての人の生活を変えた遺産を残しており、彼の記憶はこれからも生き続けるでしょう」と述べています。

加えてゲルシンガー氏は「彼と知り合えたことを謙虚に受け止めています」と振り返っています。

また、Appleのティム・クックCEOは「世界は、シリコンバレーの設立者の一人であり、技術革新に貢献したゴードン・ムーアという巨人を失いました。残された私たちは彼に感謝の意を表します。安らかにお眠りください」と述べています。

Googleのスンダー・ピチャイCEOも「彼のビジョンはテクノロジーを追求する私たちに大きなインスピレーションを与えました」と表明。

AI研究団体・Stability AIの執行委員長であるジェームズ・オーショネーシー氏は「RIPゴードン・ムーア。なんて偉大な人でしょう」と述べています。

コンピューター科学者のUrs Hölzle氏は「ムーア氏は何十年にもわたりテクノロジー業界に貢献してきましたが、あまりに長い年月であるため、業界でムーア氏の影響がどれだけ大きかったのかを理解する人は減りつつあります。ムーアの法則はビジョンとメッセージであり、彼はこの法則を空論ではなく現実の物としました」と功績をたたえています。