コーヒーを1杯ずつ入れるキューリグの「Kカップ」発明者は自分の発明を後悔している


コーヒー豆が入った小さなカプセルを使って1杯ずつコーヒーを入れるキューリグのKカップコーヒーシステムは、今や多くの家庭が使っているもの。しかし、Kカップコーヒーシステムの開発者は自分の発明品を使っておらず、「なぜKカップがこんなに人気なのか理解できない」として、Kカップの使用について消費者に「よく考えるように」と呼びかけています。

K-Cup creator John Sylvan regrets inventing Keurig coffee pod system | CBC News
https://www.cbc.ca/news/business/k-cup-creator-john-sylvan-regrets-inventing-keurig-coffee-pod-system-1.2982660

小分けのカップを使ってコーヒーを抽出するキューリグのKカップコーヒーシステムは、1998年に登場しました。当時のキューリグに勤めKカップコーヒーシステムを開発したJohn Sylvan氏によると、もともとこのシステムはオフィスワーカー向けに作られたそうです。普段は朝にスターバックスやダンキンドーナツでコーヒーを購入して会社に向かう人が、より安く、早く、手をわずらわせることなくコーヒーを入手する手段になると考えられたとのこと。お店でコーヒーを購入するよりも紙のカップをムダにしないという点で、環境的にも中立だと考えられました。


しかし、Kカップコーヒーシステムは、今やオフィスだけでなく家庭でも人気を博しています。2015年までの5年間で「Keurig Green Mountain」というKカップの売上は5倍になり、50億ドル(約5500億円)近くに上りました。また調査会社のNPDグループによると、2014年にはカナダの一般家庭の約40%が1杯ずつ入れるタイプのコーヒーメーカーを持っていると判明したとのこと。廃棄されたKカップのゴミの量は膨大で、1年間のKカップゴミで地球を10周できるといわれたほどです。

Sylvan氏はすでにキューリグを去っており、所有権も5万ドル(約560万円)で売ったとのこと。そして、生みの親としてはKカップシステムの人気を喜んでいるものの、なぜ人々がこんなにもKカップシステムが好きなのかが理解できないと述べています。Sylvan氏にとってKカップシステムは「高すぎる」ものであり、Sylvan氏自身は、夜のうちに水とコーヒー豆をセットし、朝になるとポットにコーヒーが抽出されるタイプのコーヒーメーカーを使っているといいます。この方法だと、ある程度の量のコーヒーがまとめて作られるため廃棄するコーヒーも生まれますが、1杯ごとに抽出するよりも安く作ることができます。

by Nick Karvounis

コーヒー豆は酸素に触れると劣化し始めるため、市販のコーヒーは一般的に空気を通さないホイルバッグなどに入っています。プラスチックはホイルバッグのような不浸透性を持ちませんが、Kカップは複数のプラスチックのレイヤーを統合することで、ホイルバッグと同様の機能を持つとのこと。一般のリサイクル可能なゴミとして分類できないため、ゴミとして大きな問題を抱えているわけです。

2015年には「Kカップを殺せ」というムービーも作られました。なお、ムービーのコメント欄にはSylvan氏の「ごめん。John Sylvan、Kカップの発明者より。P.S.私はKカップを使ってません」という書き込みもあります。

Kill the K-Cup - YouTube


こような流れを受けて、キューリグはリサイクル可能なKカップを開発。「2020年までに100%のKカップをリサイクル可能にする」と述べています。

Recyclable K-Cup® Pods & Recycling Information| Keurig
https://www.keurig.com/recyclable


Sylvan氏は消費者の姿勢についても疑問を抱いており、「消費者は自分の選択についてしっかり考える必要があります。製品を買うという自分の選択が、長い目で見て本当に価値のあることか考えてみてください」「私個人の見方としては、Kカップは1日20秒の時間削減になりますが、それにどれだけの価値があるでしょう?」と問いかけました。「他の方法があっても、彼らはそれを調べようとしません」「頭を柔らかくして考えられないため、彼らは小さなプラスチックのカップを永遠に作り続けるでしょう」「あなたはその事実を無視することもできますが、エンジニア的な視点に立ち問題に取り掛かることもできます」とSylvan氏は述べました。

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in ハードウェア,   動画,   , Posted by darkhorse_log

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