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モバイルアプリとモバイルブラウザ、トラフィック量が多いのはどちらなのか?


スマートフォンにはたくさんのアプリをインストール可能で、例えばちょっとしたニュースを見るにしても専用アプリやキュレーションアプリなどが存在することから、徐々にモバイルブラウザの役割は少なくなっていくと考えられていました。実際、2013年の時点でユーザーがスマートフォン上でどのようなアプリケーションを使っているのか調査したところ、利用時間の約8割でアプリを使用していることが判明しています。しかし、最新の調査によるとモバイルブラウザのトラフィック量はアプリの2倍以上に膨れあがっているそうで、その原因をIT系ニュースメディアのVentureBeatが探っています。

Wait, what? Mobile browser traffic is 2X bigger than app traffic, and growing faster | VentureBeat | Mobile | by John Koetsier
http://venturebeat.com/2015/09/25/wait-what-mobile-browser-traffic-is-2x-bigger-than-app-traffic-and-growing-faster/

モルガン・スタンレーが公開した最新の(PDF)レポートによると、モバイルブラウザのトラフィックはモバイルアプリのトラフィックの2倍にまで膨れあがっていることが明らかになっています。

以下のグラフは、2013年から2015年までの間にcomScore が収集した「アプリとブラウザのどちらでメディアを開くか」というデータをモルガン・スタンレーがまとめたもの。縦軸がユニークビジター数を示しており、モバイルアプリ(青)とウェブサイト(黄色)の両方を持っている媒体を対象に調査されたデータです。これによると年々ユーザーはモバイルブラウザから媒体をチェックするようになっていることが分かります。


一方で、comScoreが公開したリポートによると、アメリカではスマートフォンの使用時間の87%でアプリを利用しているこも明らかになっています。

以下のグラフはアメリカ人のPCやスマートフォンなどの利用時間を用途別に分類したデータで、利用時間はPC(黒)、モバイルアプリ(水色)、モバイルブラウザ(青)と分類されています。データを見ると、2015年にはスマートフォン利用時間の約87%がアプリ利用に費やされており、この時間はわずか2年で90%も増加していることが分かります。対して、モバイルブラウザの使用時間はスマートフォン利用時全体の1割程度で、増加率もアプリと比較すると非常にゆるやか。


相反するように見える2つのデータですが、これはどちらも正しいものです。2つが全く異なるものに見えるのは、モルガン・スタンレーのデータが「ユニークビジター数」、comScoreのデータが「ユーザーが過ごす時間」に焦点を当てているためです。

例えば、とあるスマートフォンユーザーがスマートフォンを使って15個のサービスを利用しているとします。その内10個のサービスをブラウザアプリからチェックするものの、残り5つのサービスを専用アプリでじっくりチェックするとすれば、メディアへのユニークビジターの数はモバイルブラウザの方が圧倒的に多いものの、全体の利用時間を比較するとアプリの方が長い、ということになることもあり得ます。実際、スマートフォンの利用時間の80%がわずか5つのアプリで独占されていることを示す研究データも公開されています。

企業は顧客とのつながりをより強固なものにするために、自社サービス用のアプリをいくつもリリースしている企業は多くあります。しかしある調査によると、スマートフォン1台における平均アプリインストール数は50~60程度だそうで、全ての企業やサービスごとに専用アプリをスマートフォンにインストールする、というのはほとんどあり得ない状況といえます。


実際には、サービスを利用してみて特にお気に入りのものだけ専用アプリをインストールするというのがほとんどで、アメリカの小売業者トップ30の中でも、モバイルアプリからのアクセスが50%を超えているのは、Amazonとウォルマートのみと厳しい数字が出ています。

モルガン・スタンレーの別の調査によると、モバイル端末から利用可能なウェブサービストップ50の内、モバイルアプリからの利用の方が多いサービスはわずか12個で、これらのサービスはGoogleなどの巨大なIT企業が作成したものばかりであることが明らかになっています。モバイルアプリからの利用が多いサービスを、アプリとブラウザからのユニークビジター数で比較したのが以下のグラフで、多くのサービスがブラウザ経由のユーザーを多く抱えていることが分かります。


つまり、スマートフォンではごく一部のアプリに利用時間が集中しており、専用アプリをインストールされなかったサービスはブラウザ経由で利用されることになるわけです。そのようにブラウザ経由でサービスを利用するユーザーが増えていることで、ブラウザ経由のトラフィック量が跳ね上がっているというわけ。Pandoraのようにユーザーのほとんどがアプリ経由のサービスもありますが、InstagramやSnapChatのようなアプリ出身サービスでも、多くのユーザーがブラウザ経由で利用しているのは非常に驚きです。

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in モバイル, Posted by logu_ii

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