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なぜ流行に敏感な人たちは誰もが同じような格好をしているのか、を数学者が解明

By freeparking :-|

なんで日本人はオシャレすればするほど、みんな同じ格好になっていくんですか?」という質問がYahoo!知恵袋にあがってくるほど、オシャレな人が同じような格好をしていると感じる人は多くいるようですが、そんな謎をJonathan Touboul氏が数学を駆使して解明しています。

The mathematician who proved why hipsters all look alike - The Washington Post
http://www.washingtonpost.com/news/storyline/wp/2014/11/11/the-mathematician-who-proved-why-hipsters-all-look-alike/


数学者であり、神経科学者でもあるJonathan Touboul氏は、フランスの理工系エリート養成機関であるエコール・ポリテクニーク出身で、「脳のニューロンをシミュレートする」という内容の論文で賞を獲得したこともある人物。Jonathan氏は「Pulsatile localized dynamics in delayed neural-field equations in arbitrary dimension」や「Propagation of chaos in neural fields」といった、脳科学に関する論文をこれまでに公開しています。

そんなJonathan氏が近年取り組んでいるというのが「流行に敏感な人(ヒップスター)」についての研究で、特に「なぜヒップスターはみな同じ格好をしているのか?」という点に着目しているそうです。Jonathan氏は「人間やニューロンは何が流行っているのかを即座には理解できないので、『遅れ』が生じてしまう」と語っています。この遅れが大きくなりすぎると、ヒップスターたちの間で不意に服装がかぶってしまったりすることがある、とのことです。


論文では、流行に身を任せる「Conformist(順応する人)」と流行に逆らう「Hipstar(ヒップスター)」という性質を持った人に分けた際、世間の「punk(黒)」と「normcore(白)」という2つの服装のスタイルをどのように好むことになるのかを、数学的に可視化したのが以下のグラフ。人は時間と共に何が流行っているのかを認識できるようになってくるわけですが、それに乗っかるのが「Conformist(順応する人)」で、乗らずに反発して人とは違った服装をしようとするのが「Hipstar(ヒップスター)」というわけ。

4人中3人が順応する人で1人がヒップスター、つまりはヒップスターが少数派の場合。例えば以下のグラフ「A1」のように4人中3人が白ならば、周りに順応する人は白になろうとし、ヒップスターは反対の黒になろうとします。その結果、4人のスタイルは変化しないままで安定することになる、というわけです。これに対して、「A2」のように順応する人のうち2人が白、順応する人ひとりとヒップスターのひとりが黒の場合、それぞれの性質に沿ってスタイルを変更していくと、最終的にヒップスターが白、順応する人3人が黒になり、その後は「A1」のように4人がスタイルを変えないまま安定することになります。


もしもヒップスターと順応する人の割合が同程度だとしたら、を表したのが下の「B1」と「B2」の図。図を見れば分かるように、いずれの場合もある一定のサイクルでスタイルが元に戻ってしまうことになるわけです。


さらに、5000人のヒップスターを集めて、ひとりひとりにランダムに白と黒のいずれかのスタイルを当てはめた場合、ヒップスターたちのスタイルの変遷はどうなるのかを表したのが以下のグラフ。縦軸がヒップスターの数、横軸が時間を表しており、ヒップスターのスタイル変遷を見るとまるでノイズのようになってしまうわけです。ヒップスターはなんとか少数派のスタイルになろうとしますが、「これは犬が自分のしっぽを追いかけて走り回るようなものです」とJonathan氏。


ここまでの例では、ヒップスターも順応する人も、即座に周りの服装を認識して自分のスタイルを変更しています。しかし、実際は人が「今何が流行しているのか?」を認識するには多少の時間がかかるものです。そこで、Jonathan氏はここまでの例に流行を認識するまでにかかる「遅れ」という要素を追加しました。以下のグラフは5000人のヒップスターのスタイル変遷を表したグラフに、左から小・中・大の認識の「遅れ」という要素を加えたもの。ただのノイズにしか見えなかった5000人のヒップスターのスタイルですが、認識に時間がかかればかかるほど縦に白黒のしま模様がはっきりと出てきており、これは周りとは違うスタイルになろうとするヒップスターの性質により、ヒップスターたちが同じような服装になってしまう、ということを表しています。


服装にはさまざまなスタイルがあるので、現実のヒップスターがJonathan氏の研究結果のようにはっきりと皆同じ服装をしているとは限りません。しかし、Jonathan氏の導き出した「ヒップスターが陥るループ」は、人間の複雑な考えを理解するのに非常に重要な役割を果たすことになるかもしれない、と多くの経済理論家がこのモデルを評価しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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