英EMIグループ、アップルのiTunes StoreでDRMなし楽曲を販売すると正式発表
先ほど、英EMIグループからプレスリリースが出されました。それによると、いわゆるコピー防止措置であるDRMが付与されていない、DRMフリーの楽曲を販売するとのこと。また、このDRMフリーの楽曲はアップルのiTunes Storeからダウンロード販売されるそうです。
現状ではiTunes Storeからダウンロード販売されている楽曲は「FairPlay」というDRM(Digital Rights Management)による利用制限がかかっており、ほかのデジタルプレイヤーでは再生できません。しかしDRMフリーになれば今後は無制限に好きなプレイヤーで再生できるようになるわけです。
DRMフリーの楽曲は1曲あたり1.29ドルとなっており、DRMが付いた標準品質の楽曲は0.99ドルで提供し続けるとのこと。また、既にDRM付きの楽曲を購入している場合には、同じ楽曲をDRMフリーにするためには1曲あたり0.3ドルでアップグレード可能にするそうです。なお、ミュージックビデオについては、DRMなし版も価格は従来と同じにするとのこと。
詳細は以下の通り。
EMI Music launches DRM-free superior sound quality downloads across its entire digital repertoire
EMIグループのCEOであるEric Nicoliはロンドンで先ほど開かれた記者会見にて、DRMフリーで高品質な音楽をアップルのiTunes Storeを通じてダウンロード販売すると発表。これは既存のDRMで保護されている楽曲を補足するものとして提供され、CD品質のビットレートに至るまで、いろいろなビットレートが選択可能。今回の決定は消費者からの需要に応えたものであり、ホームミュージックシステム、携帯電話、デジタル音楽プレイヤーなどで自由に使ってもらうためのもの。このDRMフリーの楽曲提供によって、あらゆる音楽プレイヤー、あらゆるデバイス、あらゆるプラットフォームで相互に利用できるようになるとのこと。
EMIグループのCEOであるEric Nicoliによると、今回の決定によって楽曲の販売数は伸びると予測しており、その根拠は消費者が自分の好みのデバイスを使って高品質な音楽を聴くことが可能になるからだ、としています。
また、アップルは真のデジタル音楽における先駆者であり、品質や利便性において相互運用可能となる市場を消費者に提供することができ、このビジョンをお互いに共有できたということは非常に喜ばしいことだとしています。
さらに同席したアップルのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏は、DRMフリーの音楽を販売することは音楽産業にとっては正しい方向への前進であるとしています。
ほかの楽曲を提供している各社はどういう対応を打ち出すのでしょうかね?また、これを契機にして、iPodとiTunes Storeの鉄の連携が断ち切られることになるのでしょうか?まだまだ予断は許さない状況です。
ちなみに、EMIというのはイギリスの会社で、ユニヴァーサル・ミュージック、ソニーBMG、ワーナー・ミュージックと共に4大レコード会社のひとつだそうです。なお、日本にある「東芝EMI」はこのEMIの子会社で、東芝の名前が付いてはいるものの、全株を本家などに売却したので実際には東芝との関係はもうほとんどない状態。日本でもこのDRMフリーは実現するのでしょうかね?
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