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「Blender 4.4」正式リリース、アクションスロットの追加・ジオメトリーノードの改善・レンダリングエンジンの改良・Grease Pencilの強化・UIの改善など


オープンソースの統合型3DCG製作ツールであるBlenderのバージョン4.4安定版が、2025年3月18日にリリースされました。アクションスロットによるアニメーション管理の刷新やジオメトリノードの機能拡張、レンダリングエンジンの高速化、実用的な機能改善が加えられています。

4.4 — blender.org
https://www.blender.org/download/releases/4-4/

4.4 - Blender Developer Documentation
https://developer.blender.org/docs/release_notes/4.4/

What's New in Blender 4.4! Official Overview - YouTube


バージョン4.4で新しく追加された1つが、アニメーションシステムに導入された「アクションスロット」の概念です。従来は1つのアクションしか持てなかったオブジェクトに対して、複数のアクションを割り当て、切り替えながら管理できるようになりました。これにより、今間では手間のかかっていたキャラクターアニメーションのバリエーション管理やレイヤー的なアニメーション編集が、より効率的かつ直感的に行えるようになっています。


また、手続き型モデリングの中核を担う「ジオメトリノード」は、さらなる拡張が加えられました。特にBakeノードの追加により、ノードネットワークによる処理を一時的にキャッシュして再利用することが可能になり、大規模なデータ処理のパフォーマンスが大幅に向上。さらに、シミュレーションノードやグループ入力の拡張といった改良によって、時間軸を含む表現やパラメトリックな制御がより扱いやすくなり、これまで難しかった動的な表現の構築も身近なものとなっています。


「リアルな光のふるまい」を再現するためのレンダリングエンジンである「Cycles」も、技術的な進化を遂げています。レイトレーシングの最適化や、特定の光や素材の処理が効率化されたことで、レンダリングのスピードが向上したほか、ノイズ除去もより賢くなりました。


さらに、CyclesがIntel Arc GPUやApple Siliconでも従来より快適に動作するようになっているとのこと。また、シャドウキャッチャーの改善やボリュームレンダリングの最適化、カスタムAOV出力の強化なども追加され、合成やポストプロダクション作業においても表現力と柔軟性が向上しました。

2Dアニメーションツール「Grease Pencil」は、バージョン3へのメジャーアップグレードが行われ、内部構造が刷新されました。描画性能は従来よりも飛躍的に向上し、大規模なドローイングや複数のレイヤーを扱う場面でもスムーズに作業が可能になります。加えて、新しいマテリアルシステムや、描画順序、エフェクトの制御などもより柔軟になり、2Dと3Dの融合によるハイブリッド表現においても表現の幅が広がったとのこと。


加えて、全体的なユーザーインターフェースにも配慮が加えられており、アイコンやメニュー構造の見直しによって視認性が向上し、よりスムーズなワークフローが実現されています。加えて、Python APIの拡張によって、アドオン開発やカスタムツールの構築もより柔軟に行えるようになっています。


このほかにも、Blender 4.4ではビデオシーケンサー(VSE)の機能強化や、コンポジターの新ノード追加など、映像制作や合成作業をより柔軟に行える改善も加わっています。VSEではトランジションやエフェクトの選択肢が増え、編集作業の効率が向上。また、ノードベースのコンポジット機能では、操作性の向上に加えて、より直感的な表現が可能になるノードの刷新が行われました。さらに、UV展開やスカルプト、テクスチャペイントといったモデリング周辺の機能も細かく調整されており、従来よりも滑らかな作業フローを実現しています。


Blender 4.4はWindows、macOS、Linux、FreeBSDに対応しており、GNU General Public License v3のもとで無料配布されています。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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