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X(旧Twitter)のイーロン・マスクが司法妨害の疑いでブラジル最高裁判所から捜査される羽目に、最高裁の命令無視が原因

by Daniel Oberhaus

ブラジル最高裁判所のアレクサンドル・デ・モラエス判事が、X(旧Twitter)におけるフェイクニュースの拡散を巡る捜査の対象にイーロン・マスク氏を加えると発表しました。また、捜査妨害の容疑でマスク氏に対する別の調査も開始するとアナウンスされています。

Elon Musk will be investigated over fake news and obstruction in Brazil | AP News
https://apnews.com/article/brazil-musk-x-supreme-court-investigation-a645757b95a66ee658832802908466ab


Brazil Supreme Court justice opens inquiry into Elon Musk
https://www.cnbc.com/2024/04/08/brazil-supreme-court-justice-opens-inquiry-into-elon-musk-.html

Elon Musk faces Brazil inquiry after defying X court order | Elon Musk | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2024/apr/08/elon-musk-brazil-x-jair-bolsonaro

2024年4月6日、ブラジルの最高裁判所がXに対して特定のアカウントをブロックするよう命じました。Xは当初「裁判所の判決により、ブラジルで特定の人気アカウントをブロックせざるを得なくなりました」「従わない場合は毎日罰金を科せられると脅されています」と発表していましたが、ブロック命令が発効された理由や、どの投稿が法律に違反しているかなどは不明と説明していました。そのため、Xは最高裁判所による命令を不服として、異議申し立てを行うと言及。


Xの所有者であるイーロン・マスク氏は、「このような強引な措置はブラジルの法律と国民の意思に違反しています」「今回対象となった全てのブロックを解除します」と述べ、最高裁判所によるブロック命令に従わない意向を表明しました。さらに、「どの裁判所または裁判官が、どのような根拠でこの命令を出したかを述べることは禁じられています」と前置きした上で、命令を下したのがアレクサンドル・デ・モラエス氏であることを明らかにし、「この裁判官はブラジルの憲法と国民を繰り返し裏切ってきました。ただちに辞任するか弾劾されるべきです。恥を知れ」と痛烈な批判を展開しました。

イーロン・マスクがX(旧Twitter)で特定のアカウントをブロックするよう命じたブラジルの最高裁判所決定に異議を唱える - GIGAZINE


マスク氏の対応を受け、モラエス判事は「マスク氏が最高裁判所の命令に関する『偽情報キャンペーン』を開始した」と述べ、同氏の対応を批判しました。特に問題視されているのが、マスク氏の「今回対象となった全てのブロックを解除します」という、最高裁判所の命令には従わないという言及です。

モラエス判事が新たに下した判決によると、マスク氏は「ブラジルの民主主義機関を攻撃するためにフェイクニュースや脅迫を拡散したとされる『デジタル民兵』に対する既存の捜査」に加えられることとなる模様。これに加えて、妨害・犯罪組織・扇動に関与した疑いで、マスク氏は新たな捜査対象にもなります。

また、モラエス判事は「ブラジルに対する司法妨害という目に余る行為、犯罪の扇動、裁判所の命令には従わないという公の場での脅迫まがいの発言、そしてプラットフォームからの今後の協力の欠如は、ブラジルの主権を軽視するものです」と述べ、マスク氏の対応を批判しました。

裁判所文書によると、ブラジル最高裁判所の命令を無視してXがブロックを解除したアカウント1件につき、日額10万レアル(約300万円)の罰金が科される予定です。なお、モラエス判事は「SNSは無法地帯ではない」と裁判所文書に記しています。


AP通信は「ブラジルでは右派から『モラエス判事による言論の自由の締め付けや政治的迫害はとうに限界を超えている』という声が上がっています。実際、モラエス判事主導のデジタル民兵に関する捜査では、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ元大統領が捜査対象となったり、同氏を支持する議員が投獄されたりしています」と報道。

一方で、CNBCは「モラエス判事はブラジルにおけるオンライン上での有害なコンテンツや誤情報の拡散を防止するための規制を長らく支持してきました。同氏はテクノロジー企業や国内の極右当局者、ジャイール・ボルソナーロ元大統領など、さまざまな団体からの反発に直面しています」と報じています。

極右派のボルソナーロ元大統領は、2022年10月の大統領選挙で敗北した際に、投票結果に不正があったと主張。その後、ボルソナーロ元大統領の支持者がブラジリアの連邦議会や最高裁判所、大統領府の建物に侵入して破壊活動を行う「2023年ブラジル三権広場襲撃事件」が起きたため、ボルソナーロ元大統領はクーデーターを画策した疑いで捜査を受けています。

ブラジルの議事堂襲撃事件発生前後にTwitter・TikTok・Instagram・Facebookなどで「不正選挙」を主張する投稿が激増していた - GIGAZINE


マスク氏はブラジルの大統領選挙が行われる直前のタイミングである2022年5月にボルソナーロ元大統領の元を訪問し、アマゾン奥地にある学校でSpaceXの衛星インターネットサービスであるStarlinkを利用するという案について話し合いの場を設けたと報じられています。SpaceXはボルソナーロ元大統領の現職時代にブラジルでStarlinkを提供する許可を取得しており、ボルソナーロ元大統領もマスク氏のTwitter(現X)買収計画について「希望の息吹」と称賛するなど、両者が深い関係であったことが指摘されています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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