サイエンス

ダイエット後のリバウンドを避けるための7つのヒント


食事制限や運動などのダイエットを継続して体重を減らすのは大変ですが、「ダイエット後に体重を維持し続けること」も同じかそれ以上に困難です。そこで、ダイエット後のリバウンドを防ぐ7つのヒントについて、イギリス・ラフバラー大学のスポーツ科学研究者であるヘンリエッタ・グラハム氏らが解説しています。

Seven techniques to avoid weight regain, approved by experts
https://theconversation.com/seven-techniques-to-avoid-weight-regain-approved-by-experts-210348


一度ダイエットに成功したとしてもリバウンドしやすいことはいくつかの研究でも示されており、1日のカロリー摂取量を800~1200kcalに抑えた低カロリーダイエットを行った人を対象にした研究では、ダイエットから5年後までに減らした体重の26~121%がリバウンドしてしまうことが示されました。同様に、ライフスタイルを管理するタイプのダイエットでは1年後に30~35%の体重が戻ってしまうという研究結果や、減量薬を使ったダイエットでもリバウンドが起きるという研究結果が報告されています。

グラハム氏らはダイエット後のリバウンドが起きる理由の1つに、「体重を維持することは体重を減らすよりもモチベーションが上がりにくい」という点を挙げています。ダイエットは着々と減っていく体重を数字で確認できるため、わかりやすく達成感が得られてモチベーションが保ちやすい一方、体重を維持することは数字でわかりやすい変化がないため、モチベーションが上がりにくいというわけです。

他にも、1日の摂取カロリーを極端に抑えたり激しい運動を続けたりする「ダイエットのために取り入れた習慣」は、長期間維持し続けるのが難しいこともリバウンドの要因になります。また、体重の減少が空腹ホルモンの産生を増加させる可能性があることや、ダイエットすると代謝速度が減少することも、時間経過と共に体重が戻る理由かもしれないとのこと。


しかし、ダイエットの後にリバウンドする人が多いとはいえ、リバウンドを防ぐことができないというわけではありません。そこでグラハム氏らは、以下の7つの「リバウンドを防ぐヒント」について解説しています。

◆1:柔軟に対応する
まず、健康的な体重を維持するには生涯にわたる体重管理が必要ですが、死ぬまでずっと厳格なライフスタイルを守り続けるというのは非現実的です。どんな人でも時には羽目を外してしまう時期が訪れるため、重要なのは食べ過ぎたり運動をサボってしまったりした時に罪悪感にとらわれてやけになるのではなく、できるだけ早く健康的なライフスタイルを取り戻すことです。

たとえば、週末や旅行中に食べ過ぎてしまったと思った場合は、翌週の平日に普段より少し多めにウォーキングするなど、体重を減らそうとする行動を取り入れることが有効だとのこと。グラハム氏らは、「こうすることで、体重管理に対する『オール・オア・ナッシング』のアプローチ、つまり目標が達成できなかった時に罪悪感を覚え、一切の努力を放棄してしまうのを防ぐことができます」と述べました。


◆2:問題発生時の対応を決めておく
旅行や結婚式、誕生日パーティーなど、「この日は普段のように健康的な生活を送るのは無理そうだ」という日は必ず訪れます。そのため、あらかじめこうした事態に遭遇したらどうするのか、計画を立てておくことが重要だとのこと。

「バーベキューに行く時は野菜を用意して、少しでも健康的な食事ができるようにする」「年末年始に食べ過ぎてしまいそうだから、その前に少しダイエットして体重を減らし気味にしておく」など、事前に対応が取れていれば焦る必要もありません。

◆3:体重に関係なく目標を達成したこと自体を誇りに思う
体重計の数値はささいなことで変動してしまうため、結果として見えやすいとしても、体重の数値に一喜一憂するのはそれほど効果的ではありません。それよりも、「週に3回はランニングをする」「甘い物を食べるのは週2日までにする」など、ダイエットのために設定した目標を達成できたこと自体を喜ぶ方が、結果としてダイエットを続けやすいとグラハム氏らは述べています。


◆4:習慣を形成する
体に染みついた習慣はモチベーションの影響を受けにくいため、ダイエットを成功させるコツは「減量につながるさまざまな習慣を作ること」です。体重を減らした後でも、「夕食後に散歩へ出かける」「エスカレーターではなく階段を使う」などの習慣を新しく身につけることもできます。

◆5:運動量を増やす
減らした体重をうまく維持している人を対象にした研究では、身体活動が体重を維持するための最も重要な要素であることがわかりました。これは、たとえ食べ過ぎてしまったとしても運動を多めにすることで消費カロリーを増やし、相殺することができるためです。

グラハム氏らは、「減量を維持するのに最適な運動は、自分が一番楽しんでできるものです。楽しければ長期的に継続する可能性が高くなります」と述べています。なお、減量状態を維持するには、毎週少なくとも250分の運動を心がけるといいそうです。


◆6:定期的に体重を量る
体重は1週間で1~2kg程度は簡単に変動しますが、その原因は必ずしも脂肪が減った、あるいは増えたからではなく、体内の水分量や便通などにも左右されます。そのため、ある時点での体重のみに固執するのではなく、定期的に体重を測定することによって、「許容できる体重の範囲」をある程度見積もっておくことが重要です。2013年の研究によると、許容できる体重の範囲を持っている人は必要に応じて行動を調整できるため、体重のリバウンドを抑えられるとのこと。

◆7:朝食を欠かさず食物繊維をたくさん食べる
体重管理において朝食を食べる方がいいのかどうかについての証拠はまちまちですが、減らした体重を維持している人の97%は朝食を食べているという研究結果があるとグラハム氏らは指摘しています。また、別の研究では野菜や全粒粉パン、玄米、オーツ麦といった食物繊維が豊富な食品を毎日十分な量食べた人は、リバウンドしにくいという結果が出ているとのこと。グラハム氏らは、「食物繊維が豊富な食品を食べることはより満腹を感じさせ、食べる量が少なくなる可能性が高いのです」と述べました。


グラハム氏らは、「減らした体重を維持するのは難しいかもしれませんが、それは不可能であるという意味ではありません。そして、あなたが減らした体重のうち少ししか維持できないとしても、それが健康にとって有益な可能性があることを忘れないでください」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
なぜ必死にダイエットして減らした体重がまた元に戻ってしまうのか?リバウンドするならダイエットは無意味なのか? - GIGAZINE

ダイエットをする時は「急激な減量」と「緩やかな減量」のどちらが良いのか? - GIGAZINE

「ダイエットをすると基礎代謝が落ちるけど健康になる」と専門家が解説する理由とは? - GIGAZINE

肥満の人は「もう十分食べた」というシグナルに脳が反応する能力が損なわれ減量後も回復しないことが明らかに - GIGAZINE

結局運動で体重を減らすことはできるのか? - GIGAZINE

食べる時間を制限する「8時間ダイエット」を1年間続けた実験から判明したことは? - GIGAZINE

低糖質ダイエットは糖尿病を引き起こす危険がある - GIGAZINE

「食べ順ダイエット」は本当に効果があるのか? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.