サイエンス

効果が長時間持続する新型コロナウイルスの抗体が発見される、免疫不全患者のコロナ対策に光明


スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)が4~6カ月間体内に存在し続けられる新型コロナウイルスの抗体の同定に成功しました。この抗体の登場により免疫不全の人々における効果的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が可能になることが期待されています。

A highly potent antibody effective against SARS-CoV-2 variants of concern: Cell Reports
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(21)01278-X


Scientists discover a highly potent antibody against SARS-CoV-2 - EPFL
https://actu.epfl.ch/news/scientists-discover-a-highly-potent-antibody-again/

新型コロナウイルスワクチンの接種が世界中で行われていますが、これらのワクチンは体内でウイルスに対する抗体を生産可能にすることを目的としたもので、がん患者や臓器移植レシピエントなどの免疫応答に異常を抱える人々はワクチンを接種しても抗体を生産できずウイルスに対する予防効果が期待できないという問題があります。また、抗体を直接接種したとしても、一般的な抗体は3~4週間しか体内に存在できないため長期的な予防効果は期待できません。


今回EPFLの研究チームが発見した新型コロナウイルス中和抗体「P5C3」は体内に4~6カ月存在し続けることができます。EPFLは「今回発見された抗体を年に2、3回接種することで、免疫応答に異常がある人も効果的にCOVID-19を予防できます」と述べています。

加えて、今回発見された抗体はデルタ株を含む新型コロナウイルスの「懸念すべき変異株」も効果的に中和できるように設計されているとのこと。EPFLは「今回発見した新しい抗体は、COVID-19との戦いにおける大きな前進を示しています。特に免疫系が弱っている患者のために、強化された治療と予防措置への扉を開きます」と抗体の効果をアピールしています。一方で、「この抗体は、感染を防ぐための最も効果的な方法であるCOVID-19ワクチンに代わるものではありません」とも述べ、免疫応答に異常のない人にはワクチンの接種を推奨しています。


EPFLとローザンヌ大学病院は製薬会社と協力して抗体含有薬を開発中で、臨床試験を2022年後半に開始する予定とのことです。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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