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SNS上で活動する少数のボットが選挙結果を左右できると実験で示される

by geralt

近年の選挙ではネットユーザーの集まるSNSにおける活動が重要視されており、アメリカのトランプ大統領誕生イギリスのEU離脱などにおいて、SNSが大きな役割を果たしたといわれています。テキサス州・ヒューストン大学の研究チームが行った実験では、戦略的に配置された少数のボットが選挙結果を左右できることが示されました。

Information gerrymandering and undemocratic decisions | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1507-6

How social networks can be used to bias votes
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02616-2

How “information gerrymandering” influences voters | MIT News
http://news.mit.edu/2019/information-gerrymandering-influences-voters-0904

How Do Social Networks Shape Political Decision-Making? - University of Houston
http://www.uh.edu/news-events/stories/2019/september-2019/09042019-stewart-information-gerrymandering.php


ヒューストン大学の数理生物学者であるアレクサンダー・スチュワート准教授やマサチューセッツ工科大学の研究者らは、2つの政党に対する投票をシミュレーションした実験を行いました。研究では2520人の参加者を数十人単位のグループに分割し、グループごとに「黄色」と「紫色」という2つの政党の支持者に分類したとのこと。

そして、グループごとに構築された仮想のソーシャルネットワーク上で、お互いに意見をやり取りして相手に働きかけたり自分の意見を変えたりし、投票によって勝利政党を決める「選挙ゲーム」を行いました。今回実験のために構築されたソーシャルネットワークは、「Twitterを小さくシンプルにしたもの」に近かったそうです。

ソーシャルネットワーク上でそれぞれの参加者が他の参加者とやり取りできる範囲は研究チームが決定しており、「黄色政党の支持者と紫色政党の支持者全員がやり取り可能」「両政党の支持者がお互いにやり取りできない」「一部の参加者のみ他政党の支持者とやり取り可能」など、さまざまなパターンがあったそうです。

by rawpixel.com

意見をやり取りして投票する政党を決める「選挙戦」期間はゲーム1回あたり4分間だったそうで、その期間が終了した時点での投票政党によって勝利する政党が決定されました。選挙戦期間中には、それぞれの政党がどれほどの支持を集めているのかがリアルタイムで参加者に通知され、参加者は選挙期間中に自分たちと相手のどちらが優勢なのかを見て、選挙戦終了時まで投票する政党を自由に変えることが可能でした。

参加者らにはインセンティブとして、「自分が最初に分類された政党」が60%以上の票を獲得して勝利した場合には2ドル(約210円)の報酬が、相手の陣営が勝った場合には50セント(約50円)が支払われました。一方、どちらの政党も全体の60%を超える票数を獲得できなかった引き分けの場合は、どちらの政党所属者にも報酬は支払われませんでした。

by Pixabay

一般的に、被験者は自分たちの政党が優勢な場合はそのまま自分たちの政党に投票し、引き分けに陥る可能性が高い場合も自分たちの政党に投票する参加者がほとんどだったそうです。しかし、相手の政党が優勢だと判明した場合、約半数が引き分けを避けるために自分たちの政党を諦めて相手の政党に投票し、残りの半数は自分たちの政党に投票しました。研究チームが特別な介入を行わなかった場合、4分の1の確率で黄色が、同じく4分の1の確率で紫色が勝利し、残った半分のゲームでは勝者の存在しない引き分けに終わったそうです。

そこで、研究チームはSNSにおけるボットが与える影響力について調べるため、一方の政党を熱狂的に支持する「熱狂者」ボットを少数投入する介入実験も行いました。ボットは一方の政党を支持するという意見を決して変えず、強硬に一方の政党への投票を呼びかけたとのこと。

この熱狂的なボットが選挙ゲームの結果に与える影響はかなり大きかったそうで、たとえば少数の黄色政党支持ボットが多数の紫色政党支持者の中に投入された場合、ボットが多数派の意見を「黄色政党支持」に持っていくことができました。熱狂的なボットの活動により、「相手の方が優勢なのではないか」と多くの参加者の心がゆらぎ、結果として自分が本来分類された支持政党ではない対立政党への投票が促進されたと研究チームはみています。

by Element5 Digital

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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