人々は新型のiPhone 8ではなく旧型のiPhone 7を買っているらしいことが判明
2017年9月22日から販売が開始されたばかりのiPhone 8とiPhone 8 Plusですが、どうやらセールスが好調ではない状況が伝わっています。発売からおよそ一ヶ月が経過した時点では、旧モデルとなったiPhone 7がiPhone 8の販売台数を上回っているという調査結果が公表されています。
U.S. buyers favor iPhone 7 over 8: research
https://www.reuters.com/article/us-apple-iphone-research/u-s-buyers-favor-iphone-7-over-8-research-idUSKBN1CL1Z1
People are reportedly buying more iPhone 7s than iPhone 8s in the US - The Verge
https://www.theverge.com/2017/10/16/16484922/iphone-8-sales-7-outsold-us-report-analyst
Appleは慣例的に製品の販売台数を公表していませんが、KeyBanc Capital MarketsのアナリストJohn Vinh氏の調査によると、iPhone 8シリーズの売り上げは大方の予想よりも低調に推移しているとみられています。実店舗に対して行った調査からは、iPhone 7シリーズの売り上げがiPhone 8シリーズを上回っている状況が見えているとのこと。例年であれば、新モデルの発売直後にはApple Storeで商品の在庫が底をつくということもありますが、今年はほとんどの店舗で購入できる状態となっており、「飛ぶように売れる」という状態ではなかった模様。
その理由についてVinh氏は、「人々の反応から見れば、大部分の顧客は旧モデルからの大きな変更が見られないiPhone 8よりも、iPhone 7のほうを選んでいるようだ」と記しています。iPhone 8ではワイヤレス給電への対応やPC並の高性能プロセッサの搭載などいくつかも変更点がありましたが、市場の反応は冷ややかともいえる状況です。iPhoneの場合、iOSを最新にバージョンアップしてしまえば、ほとんどの機能は旧モデルでも利用できてしまえる点もこの傾向に拍車をかけているようです。
また、iPhone 8と比較した際のiPhone 7の割安感も顧客のチョイスに影響を与えている模様。日本の価格だとiPhone 8 64GBモデルは7万8800円であるのに対し、iPhone 7 32GBモデルは6万1800円と1万7000円の開きがあるのですが、この差額を出してまでもiPhone 8を購入したいという購買欲を喚起できていないことが大きいようです。さらに、肌感覚で振り返ってみると、価格上昇を続けてきたiPhoneに対する「高値感」が人々の上限に達したことで、これ以上の高価なiPhoneが許容できなくなっているという心理が働いているのかもしれません。
iPhone 8不調の背景にはもちろん、11月3日(金)に発売される真打ち「iPhone X」の存在があり、iPhone 8を買い控えている状況があることも加味する必要があります。しかし、別の報道では1000ドル(約11万円)に達したiPhoneを忌避する見方もあるようで、フタを開けた時にどの程度人気を集めるのかは不透明な状況。さすがの熱狂的Appleファンでも、10万円を超えるスマートフォンに対しては二の足を踏んでいる人も多いようです。
Uh oh: It looks like the iPhone X’s sky-high price is actually scaring away Apple fans – BGR
http://bgr.com/2017/10/16/iphone-x-launch-coming-soon-price-barrier-is-real/
なお、生産に問題を抱えているといわれているiPhone Xですが、初回出荷量にもその余波が及んでいる模様。iPhoneの最終組み立てを請け負っているFoxconnからは端末の出荷が開始されているものの、たとえばオランダとアラブ首長国連邦へ出荷された初回出荷台数が4万6500台と低調に留まるなど、通常は数十万規模とみられるiPhoneの出荷規模に比較すると厳しい状況となっているようです。
First iPhone X batch reportedly only contains 46,500 units | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2017/10/first-iphone-x-batch-reportedly-only-contains-46500-units/
生産の最大のボトルネックとなっているのは、目玉機能である「Face ID」を実現するためのセンサーユニットの組み立て工程。Appleはこの部分を外部のサプライヤーに生産委託していますが、非常に精密なユニットになるために部品の歩留率が悪く、思うように部品供給が行えていないという状況があるようです。徐々に事態は好転しているようですが、それでも世界中のニーズに間に合うほどのペースに達するには数か月を要する状況と見られています。
iPhone Xの生産台数は「週あたり40万台」に増加するも本調子にはまだまだ達していない状況 - GIGAZINE
ややもすると「期待外れ」とも受け止められるiPhone 8シリーズのアピール性と、iPhone Xの生産問題、そして高い価格など、年末にかけてiPhoneのセールスがどのように推移するのか関心を集めてしまいそうな材料がそろっていると言える状況です。
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