Facebookはどうやってユーザーが公表していないはずの「ユダヤ教徒であること」を検知したのか


2017年6月には月間利用者数が20億人を突破して、世界最大級の影響力を持つSNSとなったFacebookでは、サービス内でのユーザーの行動を記録したビッグデータを分析することで広告などの分野に活用できるデータを抽出するデータマイニングが行われています。過去にはあるユーザーがゲイであることを家族より先にFacebookが知っていたなど、人々の「知る力」をはるかに上回る能力を手に入れたFacebookでは、ユダヤ教徒であることを特に公表していなかったユーザーに対しても宗教に関連したメッセージを送っていたことが明らかになっています。

How Facebook knows you're Jewish - Sep. 21, 2017
http://money.cnn.com/2017/09/21/technology/business/facebook-rosh-hashanah-ad-targeting/index.html

ユダヤ暦の新年「ローシュ・ハッシャーナー」にあたる2017年9月20日の夕方、Facebookにログインしたユーザーの中には新年を祝う「Happy New Year! All of us at Facebook wish you a sweet and happy new year.」(新年おめでとう!Facebookから新年のお祝いです)というメッセージが画面に表示された人がいました。メッセージを受け取った人の多くはユダヤ教徒だったのですが、その中には自身がユダヤ教徒であることを明かしていない人がいたことが人々の憶測を呼んでいます。

アメリカ・イリノイ州に住むソフトウェアプログラマーのマウリシオ・サディコフさんは、Facebookから同様のメッセージを受け取りました。しかしサディコフさんはFacebookのプロフィール欄などに自信がユダヤ教徒であることを記載していませんでした。これを受け、サディコフさんはTwitterで「いろんな意味で気持ち悪い……自分のプロフィールには宗教のことについて記載していないのに、Facebookはユダヤ教の新年のお祝いを送ってきた」と投稿を行っています。


唯一の心当たりとして、サディコフさんは数年前にユダヤ教のお祭りであるハヌカーについて投稿したことを挙げ、「たぶんこれが原因?」と推測しています。

FacebookをはじめとするSNSや、GoogleのGmailなどでは、ユーザーが投稿したコンテンツ、メールの中身などをコンピューターで解析したり、サイト内での行動やアクセス履歴をトラッキングしたりすることでユーザーの嗜好を分類しています。そのようにして得られたデータは、ユーザーの関心により効率的に訴えかける広告を表示する目的のために用いられているのですが、これはつまり「Facebookは自分が何を欲しているのかを自分よりも把握しているということにもつながります。Facebookが集めている情報のカテゴリは、「ミレニアル世代」のような一般的なものから、「海外に住んでいる友人」や「家族と離れて住んでいる」「一週間前に旅行から帰ってきた」などの詳細なものにまで多岐にわたるとのこと。

Facebookでは、広告についてどのようなデータを活用しているかを公表しており、広告主がどのようにしてターゲット層にアプローチしようとするのか、その方法について以下のページで詳細に公表しています。

Facebook広告について
https://www.facebook.com/ads/about/?entry_product=ad_preferences

Facebookは今回の件に関して「Facebookは、特定の宗教が多数を占める国に住むユーザー、または宗教の記念日が休日になっている国に住んでいるユーザーに対し、宗教の日程に基づくメッセージを送っています。また、その休日に関心を示した人に対してもメッセージを送っています」と声明を発表しており、サディコフさんが考えていた「ハヌカーについて投稿したこと」がメッセージが送られるきっかけになったことが推測されます。バージニア大学のメディア論教授であるシバ・ベイドヒャナサン氏は、Facebookが送ったローシュ・ハッシャーナーに関するメッセージは「Facebookが私たちをトラッキングしている程度を示す新たな一例である」と指摘しています。

Facebookがローシュ・ハッシャーナーに関するメッセージを送ったのが今回が初めてかどうかは不明の状態で、FacebookはCNNの取材に対して回答を行っていないとのこと。コロンビア大学のバーナード・ハーコート教授は、このFacebookのメッセージが「アルゴリズムの精度を確認するためのテスト」である可能性を指摘しています。これは、メッセージに対してユーザーが「僕はユダヤ教徒ではないけど、ありがとう」や、「どうやってFacebookは私がユダヤ教徒であることを知ったのだろう?」といった反応を示すことをFacebookがトラッキングして、「ユダヤ教徒判定アルゴリズム」の正確さを判定するというもの。あくまで推測の域を出ない説ですが、ハーコート氏は「ユダヤ教徒に向けた広告を打ちたい場合に、今回の一連のテストによって改良されたアルゴリズムが役に立つ可能性があります」と指摘しています。

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