15世紀に韓国で観察された超新星爆発の謎が21世紀に解明される
約600年前に韓国で空に輝く星が発見されました。この光はしばらくすると消えてしまいましたが、韓国の天文学者が謎の星として記録を残していました。そんな600年前の謎をコンピュータを使ったデータベース解析によって現代の天文学者が解き明かすことに成功しています。
Proper-motion age dating of the progeny of Nova Scorpii AD 1437 : Nature : Nature Research
http://www.nature.com/nature/journal/v548/n7669/abs/nature23644.html
1473年3月11日に韓国・漢陽(現在のソウル)で、夜空に並外れた光を放つ星が観測されました。天文学者の記録によると、この星の光は消え去るまでに14日間も輝き続けたとのこと。15世紀後半に観測されたこの天体イベントが「超新星(爆発)」だったことを、アメリカの研究者が解明しました。
恒星が終末期にとる状態のひとつである「白色矮星」は、大きなものの場合、極めて大きな重力を持ち、周囲の星を引きつけて吸収します。白色矮星に吸い寄せられた水素は層を構成し、吸い寄せられる過程で位置エネルギーが熱に変わり核融合を起こすため、白色矮星の地表面で核融合が起こることがあり、表層に貯めこんだ水素を一気に放出する超新星爆発を起こすことがあります。
アメリカ自然史博物館のマイケル・シャラ博士らは30年以上にわたって15世紀に観察された謎の星の原因を探ってきました。シャラ博士らは、多数の天体のイメージ画像をデータベース化し、画像を比較することで天体の変化を見つけるという手法を採っていました。20世紀に星が移動した量を測定して、それを元に数世紀前にさかのぼるようにして星の移動経路を推測したところ、星が1437年にあった場所が新星の中心に一致することがわかったとのこと。つまり、1437年に韓国の天文学者が見た謎の星は、超新星による爆発だったというわけです。
シャラ博士は、これまで使ってこなかった過去10年分のデータを新たに追加することで、探索領域を広げることにしたとのこと。すると、これまで研究してきた領域のすぐ隣に、今回の発見につながることになった星雲や宇宙のガスやちりのデータがみつかったそうです。シャラ博士によると、膨大なデータから天体現象を探り当てる作業は、「数十億本のわらの中から針を探し出すようなもの」だとのこと。しかし、天体観測画像などをデジタル化したデータベースを作成することで、「何億個もの星に関するGoogle検索」のようなシステムを作り出せるそうで、巨大なデータベースが、1980年代にはとうてい不可能だった謎の解明を可能にしてるそうです。シャラ博士は、「データベースの対象範囲を、ほんの少しでも広げていればもっと前に今回と同じ発見ができただろう」と述べています。
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