イーロン・マスクがテスラの従業員に宛てたメール「優れたコミュニケーションの姿」が頭にガツンと効く一撃

By OnInnovation

オンライン決済サービス「PayPal」の母体を作り、世界で最も成功しているEVメーカー「テスラ」の創設、民間宇宙開発のトップをひた走る「スペースX」を立ち上げた経歴を持つイーロン・マスク氏の成功はこれらにとどまらず、超高速交通網を開発する「ハイパーループ」、都市の地下にトンネル網を張り巡らせる「Boring Company」などの構想をうち立てるなど、そのアイデア力と経営手腕は非常に高いものがあります。そんなマスク氏が数年前にテスラの従業員宛に送ったというメールには、組織としての強靱な体力を実現するために必要な社内コミュニケーションの在り方が雄弁に語られています。

This Email From Elon Musk to Tesla Employees Describes What Great Communication Looks Like | Inc.com
https://www.inc.com/justin-bariso/this-email-from-elon-musk-to-tesla-employees-descr.html

マスク氏が従業員に宛てた社内メールの全文がコレ。会社内におけるコミュニケーションの問題を挙げ、それに対するテスラ流の解決方法が述べられています。本来は公になるものではありませんが、送信から数年がたって公開されるに至っており、テスラもこのメールが本物であることを認めているとのこと。

Subject: Communication Within Tesla

There are two schools of thought about how information should flow within companies. By far the most common way is chain of command, which means that you always flow communication through your manager. The problem with this approach is that, while it serves to enhance the power of the manager, it fails to serve the company.

Instead of a problem getting solved quickly, where a person in one dept talks to a person in another dept and makes the right thing happen, people are forced to talk to their manager who talks to their manager who talks to the manager in the other dept who talks to someone on his team. Then the info has to flow back the other way again. This is incredibly dumb. Any manager who allows this to happen, let alone encourages it, will soon find themselves working at another company. No kidding.

Anyone at Tesla can and should email/talk to anyone else according to what they think is the fastest way to solve a problem for the benefit of the whole company. You can talk to your manager's manager without his permission, you can talk directly to a VP in another dept, you can talk to me, you can talk to anyone without anyone else's permission. Moreover, you should consider yourself obligated to do so until the right thing happens. The point here is not random chitchat, but rather ensuring that we execute ultra-fast and well. We obviously cannot compete with the big car companies in size, so we must do so with intelligence and agility.

One final point is that managers should work hard to ensure that they are not creating silos within the company that create an us vs. them mentality or impede communication in any way. This is unfortunately a natural tendency and needs to be actively fought. How can it possibly help Tesla for depts to erect barriers between themselves or see their success as relative within the company instead of collective? We are all in the same boat. Always view yourself as working for the good of the company and never your dept.

Thanks,
Elon

----(抄訳)----
件名:テスラにおけるコミュニケーション

会社の中において情報がどのように流れるべきであるかについては、2つの流派がある。これまでの最も一般的だったものは、常に直属の上司を介してコミュニケーションが行われる指揮系統の方法だ。この方法の問題は、上司の権限が強くなる一方で、個人が会社に対して貢献できなくなるというところにある。

ある部署の人物が別の部署の人物に接触し、問題を素早く、そして正しい方法で解決する。そんな方法とは逆に、多くの場合は部下は上司に話を持ちかけ、その上司はまたさらに上の上司に話を持っていき、さらにその上司が別の部署に話を持っていく……という流れを強いられている。そして、情報が戻ってくるときにも同じルートをたどることになる。これはあり得ないほどバカバカしい方法だ。このような方法を許しているマネージャークラスの従業員は、すぐに別の会社で働くことになるだろう。これは冗談ではない。

テスラで働く全ての従業員は誰でも、最速で問題を解決して会社に貢献できると考えた相手に対し、直接メールや口頭でコンタクトを取ることができるし、そうすべきだ。直属の上司の許可なしに、その上の上司に話を持って行っても良い。他部署の統括マネージャーにコンタクトを取っても良いし、私(マスク氏)に接触しても良い。誰にコンタクトを取る場合であっても、誰からの許可も必要としない。さらに、物事が正しい方向に進むまで、自分にはその義務があると考えて良い。重要なのは、これは単なる世間話をするためではなく、テスラが超迅速に物事をうまく進められるためであることを認識してもらいたい。テスラが、既存の自動車関連の大企業に正面からぶつかることは明らかに不可能である。そのため、テスラはインテリジェンスとアジリティ(敏捷さ)で勝負する必要がある。

最終的な目的の一つは、会社の中でコミュニケーションを阻害するような対立した人間関係を生みだし、閉鎖的な組織を作り出すことを防止するために、マネージャークラスの従業員が全力を尽くすことにある。残念ながら、これは人間が生まれつき持つ傾向で、我々は能動的にこれに立ち向かわなくてはならない。各部署が互いに壁を作り、会社全体ではなく部署ごとの内輪の成功を目指すようなことが、テスラにとってどれだけの助けになるだろうか?我々は同じ一つのボートに乗っている。皆さんには、自分の部署のためだけではなく、常に会社のために良いことを考えてもらいたい。

イーロン
----(抄訳ここまで)----

まさに、これ以上なんの説明も必要ないほど雄弁に語られている内容で、思わずテスラおよびそれ以外のマスク氏に関連する企業の強さの源を見た気になってしまうものと言えそう。会社組織を改革するために「透明性」「風通しの良さ」などの言葉が用いられることがありますが、本当に大事なのはトップが強い方針を示し、それが明確な形で全従業員に伝えられ、その意識が徹底されるところにあることを、ガーンと頭にたたき付けてくれるようなメッセージです。

この方法を実現するためには強いリーダーシップが必要であることも事実で、かつ、従業員を信頼することや、失敗を恐れない姿勢も欠かせないことは間違いありません。しかし、そこで二の足を踏んでいては、より良い組織の実現や、より良い将来が拓けることは期待できないのかも。マスク氏の頭の中にある「成功」とは、単なる売り上げや物質、自尊心などではなく、さらに上の「何か」であることを感じさせてくれる内容です。

By OnInnovation

・関連記事
太陽光発電・低価格EV・カーシェアなど、テスラのマスク氏が今後の10年を示した「マスタープラン・パート2」とは? - GIGAZINE

テスラのバッテリー革命は着実に進行中 - GIGAZINE

SpaceXがロケット再打ち上げ成功の偉業を達成、マスク氏は「次は24時間以内の再打ち上げだ」と語る - GIGAZINE

SpaceXのロケット再打ち上げは「従来の半分以下のコスト」で実施されたと社長が公表 - GIGAZINE

「トンネルを掘る」と言ったマスク氏のつぶやきから始まった「地下トンネル構想」のイメージムービー - GIGAZINE

ハイパーループ開発陣営の一つ「Hyperloop One」が実物大の車両で時速310kmの走行に成功、ムービーも公開 - GIGAZINE

テスラが太陽光パネル「ソーラールーフ」の予約受付をついに開始、30年保証でトータルでプラスの利益が出ると概算 - GIGAZINE

人口約7万のハワイ・カウアイ島の電力を太陽光だけでまかなう施設をテスラが完成させる - GIGAZINE

テスラがエネルギー革新企業へと飛躍する家庭用バッテリー「Powerwall」はどこがどうすごいのか? - GIGAZINE

「AI脅威説は無責任」というマーク・ザッカーバーグに対してイーロン・マスクが反論するバトル - GIGAZINE

385

in メモ, Posted by logx_tm