テスラが発表間近のEVトラックは1度の充電で320km~480kmの航続距離を狙っている

By Bill Dickinson

乗用車タイプのEVに加え、テスラは化石燃料を使わずに完全に電気だけで走行できるEVトラックを2017年9月にも発表するとみられています。多くの荷物を引っ張って運ぶトラックの場合は乗用車よりも走行可能距離が重要となってくるのですが、関係者の間ではテスラのEVトラックは1回のチャージで320kmから480kmの走行が可能な「長距離型 (long-haul)」に狙いを定めていると予測されています。

Exclusive: Tesla's 'long-haul' electric truck aims for 200 to 300 miles on a charge
https://www.reuters.com/article/us-tesla-trucking-exclusive-idUSKCN1B42GC

この情報は、マイアミに拠点を置く運送管理会社「Ryder System Inc」のスコット・ペリー氏がロイターに語ったもの。ペリー氏は同社で技術責任者を務める人物で、トラック業界にリサーチをかけているテスラに専門家として要望を伝えた人物の一人でもあります。

ペリー氏によると、テスラが現在もっとも注力しているのが、200マイルから300マイル(約320km~480km)の走行が可能な「Day Cab」と呼ばれるタイプのトラックだとのこと。「Cab」はトラックの運転台のことを指す言葉であり、荷台を連結して引っ張るトレーラーのヘッド部分のことを意味しています。Day Cabには仮眠用のベッドは搭載されておらず、中~長距離の運送を担う中型タイプのトラックに分類されます。


ペリー氏はテスラがとるであろう戦略について、「テスラがさらに長距離型のトラックをやる可能性は否定しないが、とっかかりとして作るとしては悪くないだろう」とロイターに対して語っています。

現在の技術でも、EV版のトラックを作り上げることはすでに可能と言われていますが、運送業として使われる車両として最も重要になるのは、荷物を搭載した際の航続距離と、その運用コストとなります。重い荷物を運ぶためにはそれだけパワフルなモーターを搭載する必要があり、さらにそのモーターを十分に駆動するだけの大容量のバッテリーを積む必要があるのですが、あまりに大量のバッテリーを搭載すると、今度は貨物の積載量が減ってしまうというジレンマに陥るのがEVトラックのウィークポイントともいわれています。今後、リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度が向上することでこの問題が解消もしくは軽減されることも期待できますが、現時点ではまだ楽観視できるほどの状況とはいえない、とする見方も存在しているとのこと。

また、大量のバッテリーを搭載することで車両価格が跳ね上がってしまう点も懸念されています。一般的なDay Cabのアメリカにおける価格は12万ドル(約1300万円)程度が相場となっているのですが、テスラが目指しているとされる航続距離を実現するために必要なバッテリーの価格だけで従来のトラックの金額を上回ってしまうという試算も存在しています。しかしながら、電気モーターで走行するEVの場合、従来のディーゼルエンジンなどに比べて機構が単純なため、メンテナンスにかかる費用が軽減できるという見方も。さらに、走行するために必要な燃料コスト、つまり同じ距離を走る場合にかかるコストはEVのほうが安く上がるとも考えられているため、車両価格と運用コストを含めた総コストでみれば、EVトラックにも勝算はあるという専門家もいます。

By Nick Ares

さらに、EVトラックはテスラがすでに導入を始めている自動運転化技術との親和性が高い点もメリットといえそう。高速道路を延々と走るトラックに対して自動運転技術は大きなメリットをもたらすと考えられるため、ここでもEVトラックの強みを活かすことができるのかもしれません。

ペリー氏は「この技術が実現すると大きな変化が訪れるかもしれない。みんな、どの程度リアルに期待できるのかを理解したいと願っている」と話しています。テスラもトラック業界のニーズをくみ取っており、何が求められているのか、そして何ができるのかの落としどころを見極めているはず。2017年9月に予定されているというEVトラックの発表の時に、どのような車両が登場するのか多くの人が関心を寄せています。

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in 乗り物, Posted by logx_tm