南極の氷の下から新たに91もの火山を発見、世界最大級の火山地域に
by Din Muhammad Sumon
南極を覆う氷床の2km下に世界最大級の火山地域があることを、スコットランド・エジンバラ大学の研究者らが明らかにしました。
A new volcanic province: an inventory of subglacial volcanoes in West Antarctica | Geological Society, London, Special Publications
http://sp.lyellcollection.org/content/early/2017/05/26/SP461.7
Scientists discover 91 volcanoes below Antarctic ice sheet | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2017/aug/12/scientists-discover-91-volcanos-antarctica
Antarctica is home to considerably more volcanoes than previously thought - The Verge
https://www.theverge.com/2017/8/13/16140266/antarctica-volcanoes-science-geology-ice-sheet-study
南極を覆う氷床は分厚く、火山の存在を直接的に確認することはできません。そこで、研究者らはレーダイメージングを使って火山の仰角モデルをデジタルで作成。確認された起伏が火山であるかどうかを調べるために、高さと幅の比率に基準を設け、さまざまな角度からデジタルモデルを確認して判別を行いました。
調査の結果、研究チームは「West Antarctic Rift System」と名付けられた地域から178個の円錐状の構造を発見。そのうち138個が火山だと結論づけました。発見された火山は100mから3850mの高さで、138個のうち91個はこれまでに確認されていなかったものでした。また、この地域には約1万2400平方キロメートルに1つの火山があると計算されており、世界で最も大きな火山地域の1つになると見られています。
発見された火山の分布は以下のような感じ。
研究者らによると、発見された火山のうち1つが噴火した場合、噴出物が地上にまで吹き出ることはないものの、南極西部の氷床全体が不安定になる可能性があるとのこと。火山が噴火すれば氷床が溶け、氷が海へと流れ出すスピードがあがるため、地球の海面レベルが上昇するのではないかと懸念されています。研究チームはアイスランドの氷河が火山の熱から影響を受けていることに触れており、また、温暖化によって南極の分厚い氷が失われることで火山活動を活性化させてしまう可能性についても指摘しています。
一方で、発見された火山が活動状態にあるかどうかは、記事作成時点では不明。今回の研究をきっかけとして、火山が活動状態にあるかどうかが将来的に明らかになる可能性はあるとされていますが、現在の氷床の状態にこれらの火山が影響を与えているとは考えられていません。
調査を行った1人であるRobert Bingham氏は「こんなにも多くの火山が見つかるとは予想していませんでした。これまで南極西部にあると考えられていたおよそ3倍もの火山が存在していたのです。我々は、ロス棚氷の下の海底にはさらなる火山があるのではないかと考えています。この地域は、ニーラゴンゴ山やキリマンジャロ、ロンゴノット山など数々の活火山が集中している東アフリカよりも大きく、世界で最も密度の高い火山地域になりそうです」と語っています。
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