Googleが「核融合発電」の分野に参入


Google Researchがアメリカの主要な核融合技術開発企業と手を組み、核融合発電の実現に向けて研究を進めています。Googleが核融合開発に参入したことで、核融合で発生するプラズマを制御するための新しいアルゴリズムも完成するなどの成果を挙げています。

Google enters race for nuclear fusion technology | Environment | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2017/jul/25/google-enters-race-for-nuclear-fusion-technology

核融合発電とは、ウランなどの「核分裂」反応を利用する原子力発電とは異なり、海水中に無尽蔵に存在する水素をヘリウムに変える「核融合」反応を利用したエネルギー源です。Googleの核融合発電に関するページによると、核融合は以下のような利点を持っているとのこと。

1. 資源が豊富で偏在しない
2. 安定供給が可能
3. 爆発しない
4. 暴走しない
5. 炉心溶融(メルトダウン)がない
6. 二酸化炭素を排出しない、排出するのは無害で気候変動に影響を与えないヘリウムだけ
7. 高レベル放射性廃棄物がでない(低レベルの放射化物はできるが、リサイクル可能)
8. 核拡散危機とは無関係


また、以下の記事でも核融合の仕組みについて詳しく説明されています。

究極のエネルギー源「核融合エネルギー」を人類は実用化することができるのか? - GIGAZINE


さまざまな利点を持つ核融合発電は、有望な未来のエネルギー源として各国で研究が進められていますが、まだ実現には至っていません。極端な温度で原子が結合することで巨大なエネルギーを生み出すことができる核融合ですが、小さな変化が大きな結果に至る非線形現象を生み出してしまいます。そのため、核融合において発生する変化の激しいプラズマを安定させる技術が求められているとのこと。

Microsoftの共同創始者であるポール・アレン氏の支援を受けているアメリカの核融合エネルギー企業「Tri Alpha Energy」も、そんな核融合発電の実現を目指す企業の1つで、近年では5億ドル(約555億5500円)もの資金を調達し、核融合技術を研究しています。Tri Alpha EnergyはさらにGoogle Researchと共同で「Optometristアルゴリズム」と呼ばれるプラズマを使った実験の画期的な手法を開発することに成功し、Natureで発表しています。Googleの研究者であるテッド・バルッツ氏によると、Googleが持つ規模のコンピューターリソースを使っても、プラズマの挙動を予測することはできないものの、Optometristアルゴリズムを使えば、機械学習と人間による入力を組み合わせることで予測結果を大幅に向上させることができるとしています。

また、Tri Alpha Energyはプラズマ封じ込め実験に使用するマシン「C-2U」を所有しているのですが、Googleと共同で開発したアルゴリズムにより、エネルギー損失が50%も少なくなり、プラズマエネルギーの総量を増加させることに成功したとのこと。Tri Alpha Energyのミヒル・バインダーバウアーCTOは「今回の結果は、高度な計算リソースがなければ解決までに数年はかかっていたでしょう」と話しており、Googleが核融合開発に加わったことでさまざまな処理が加速したようです。Tri Alpha Energyは、今後10年以内に核融合を使った発電を実現することを目指しているとのこと。


なお、核融合発電の研究は世界各国でこれまでに60年以上続けられており、数十億ドルの費用が投入されていますが、商業規模の核融合発電が実現するまでには、まだ数十年の年月が必要と予想されています。世界最大規模の核融合プロジェクトは南フランスの「国際熱核融合実験炉 ITER」であり、アメリカ・EU・中国・インド・韓国・ロシア・日本でパートナーシップが組まれ、180億ユーロ(約2兆3400億円)もの予算がつぎ込まれています。

ITERのプロジェクトは2025年までにファーストプラズマを作り出し、2035年までに最大出力を達成することを目指しています。もしこれが成功すれば、ITERが世界初の核融合発電所の基盤となる見込みです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log