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Intelの10コアCPU「Core i9-7900X」はたしかに高性能だが高価すぎる


IntelはハイエンドデスクトップPC向けのCPUとして「Core-X」シリーズを発表。最上位モデルには18コア/36スレッドの「Core i9-7980XE」が予定されていますが、まずは、10コア/20スレッドの「Core i9-7900X」など一部のモデルから発売されることになりました。そのCore-Xシリーズに関して、Ars Technicaが現時点のハイエンドモデル「Core i9-7900X」のレビューを公開し、「たしかに速いが高すぎる」という見解を明らかにしています。

Intel Core i9-7900X review: The fastest chip in the world, but too darn expensive | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2017/07/intel-core-i9-fastest-chip-but-too-darn-expensive/

Tom's HardwareやAnandTechなどによるCore i9-7900Xのレビューに関しては以下の記事で確認できます。Core i9-7900Xなど先行リリースされた各モデルは、コアとヒートスプレッダをソルダリングではなくグリスで接続したため、爆熱グリスバーガー状態であることが明らかになりました。

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Ars Technicaによるベンチマーク結果も他のメディアと同様に、基本的には「Core i9-7900Xは、現時点で販売されているコンシューマー向けのCPUとしては最も高い性能を持つCPUである」というもの。すでに販売が始まっているCore i9-7900Xの価格は999ドル(約11万円)で、前モデル「Broadwell-E」のハイエンドモデル「Core i7-6950X」(10コア/20スレッド)の1499ドル(約16万円)に比べて大幅に低価格化しているにもかかわらず、新しい命令セット「AVX-512」をサポートしたり、PCI-Expressが44レーンに拡大したりと総合能力は確実に向上しており、前モデル比ではお買い得であるとも考えられます。


しかし、1年前とはがらりと状況は変わってしまいました。それは、ライバルのAMDがIntelのハイエンドCPUシリーズの半額以下の価格帯で8コア/16スレッドの「Ryzen 7」シリーズを販売したから。AMDのRyzenシリーズは好調で、一部では10%近いシェアをAMDがIntelから奪ったと指摘されるなど、Intelにとって脅威を感じる存在になっています。圧倒的なコストパフォーマンスに優れる「Ryzen 7 1800X」とのベンチマーク対決では、確かにCore i9-7900Xが上回り、一部のテストでは圧倒する結果にもなっていますが、Ryzen 7が499ドル(約5万5000円)であることを考えれば、性能差を得るために2倍の価格を受け入れられるかどうかは別だとのこと。しかも、Core-XシリーズをサポートするX299チップセット対応マザーボードは500ドルを下らないことから、トータルコストを考えるとRyzen 7シリーズとのコストパフォーマンスの差はさらに広がるというわけです。


結局、「すべての局面で最高性能である比類なき性能を求める人」であればCore i9-7900Xを購入すべきであるとArs Technicaは結論づけています。しかし、ゲームのみにフォーカスする人であればKaby Lakeシリーズの「Core i7-7700K」がシングルスレッド性能が高い上にCPU・マザーボードともにはるかに安いことから、Core i9-7900Xを選ぶメリットはないとのこと。また、コア数がものを言うプロフェッショナルユースのアプリケーションであればCore i9-7900Xの半額で75%の性能を得られるRyzen 7を検討するのが賢明な選択だというわけです。

Intelは、18コア/36スレッドの最上位モデルCore i9-7980XEを年内に発売する計画ですが、その前に、AMDが16コア/32スレッドのハイエンドRyzenこと「Ryzen ThreadRipper」の販売を2017年夏以降に予定しています。AMDが先日発表したサーバー向け「EPYC 7000」シリーズの低価格ぶりからは、16コア/32スレッドモデルのRyzen ThreadRipperが800ドル台で登場するのではないかというウワサが現実味を帯びる中、IntelはCore i9-7980XEを1999ドル(約22万円)で発売する予定です。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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