LSDを使うとき脳はどんな状態になっているのか?
80年近く前に開発された薬物LSDは、幻覚症状を引き起こして乱用の危険があるとして法律で規制されました。しかし、最近では極少量の使用では創造性を高める効果があることが分かったり、終末医療での服用が検討されたりと、肯定的な効果についても注目が集まっています。そんなLSDを服用するときに、脳にどのような変化が起こっているのかについて、ムービー「Your Brain on LSD and Acid」が解説しています。
Your Brain on LSD and Acid - YouTube
別名「ACID(アシッド)」とも呼ばれる薬物LSDは、幻覚作用があることで知られるドラッグです。
LSDが体にどんな影響を与えるのかを考えるときに、最も大切なのは脳に与える影響です。
LSDは1938年にアルバート・ホフマンによって合成されました。
合成されたLSDを口に含んだホフマンが、初めてLSDでトリップした記念すべき人になりました。
しかし、サイケデリック療法として用いられたLSDは、1960年代以降は幻覚作用を求める人たちにも広まり、アメリカでは1960年代後半にLSDの販売は犯罪とされ、研究用途での使用も規制されました。
他のドラッグがグラム単位で服用されるのに対して、LSDは1万分の1グラム単位で服用されます。
LSDはドーパミン受容体、アドレナリン受容体、グルタミン酸受容体などと結合することが知られています。
それ以外にも、セロトニン受容体「5H2TA」に結合して、セロトニンの作用を阻害することで、幻覚症状が起こると考えられています。
そして、幻覚症状は12時間以上も持続することが知られています。
近年、LSDの研究が再開され、脳イメージを使った手法によって脳に与える影響が調べられ、視覚野に作用することが分かってきています。
20人のボランティアに75マイクログラムのLSDを2週間服用してもらう実験では、楽観主義・社交性・創造性が上昇したという効果が報告されています。
LSDは治療法にも用いられています。末期患者に服用することで……
不安を減らし、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を向上させることにも成功しています。
微量のLSDを服用するマイクロドーズで、創造性が高まる効果も発見されています。
LSDには常習性がなく、コカインやヘロインなどの麻薬に比べると危険性が小さいことも分かっています。
とはいえ、LSDを服用することで幻覚症状やパニック症状を起こす人がいることも確かです。
また、LSDには服用を止めた後に、突然、LSD服用時の感覚や知覚がよみがえる「フラッシュバック」現象が起こることも知られています。Hallucinogen persisting perception disorder(HPPD)という終わることのない幻覚症状が起こることもあります。
LSDでよく考えられがちな「精神病を引き起こす」や「自殺率が高まる」というのは誇張であることは判明してます。そして、最近の研究ではLSDには肯定的な効果があることも分かり始めています。
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