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半島を横切り巨大船舶も運航可能な世界初の船舶用トンネル「Stad Ship Tunnel」がノルウェーに建造される予定


氷河が作り出すフィヨルドに覆われたノルウェーで、世界初となる「半島を横切る規模の船舶用のトンネル」が建造されることになります。半島を貫く大規模トンネルは、従来の運河とは違いさまざまなメリットがありそうです。

Interview: The bold plan to build the world’s first ship tunnel
http://newatlas.com/stad-ship-tunnel-interview-terje-andreassen/48480/

冬に氷河で覆われるノルウェーのスタッド半島周辺海域を船で長距離運航することを回避するため、世界初の船舶用トンネル「Stad Ship Tunnel」が建設される予定です。この船舶用トンネルの建設計画については、以下のムービーを見ればよくわかります。

Stad Ship Tunnel - YouTube


圧倒的な規模の「Stad Ship Tunnel」は、幅26.5メートル、高さ37メートル、全長1.7キロメートルの船舶専用トンネルで、総工費は23億ノルウェークローネ(約300億円)という国を挙げての一大インフラプロジェクトです。世界初の船舶用トンネルがなぜ必要なのかについて、New Atlasがプロジェクトマネージャーのテルジェ・アンドリーセン氏にインタビューしています。

Q:
Stad Ship Tunnelプロジェクトの基本的な目的は何ですか?

アンドリーセン:
スタッド半島の周囲の危険な海域を越えて運航する船に、より安全な選択肢を作り、悪天候時の船舶の待機時間を減らすことが基本的な目的です。


Q:
大規模プロジェクトでかなりのコストになります。既存ルートはそのコストを支払うに見合うほど危険なのですか?

アンドリーセン:
この海域は、年間100日以上も暴風雨やハリケーンが起こる、ノルウェーの海岸線の中でも最も危険なものです。入り組んだ海岸線と海中の地形に相まって、最大レベルの嵐という組み合わせは、対処できない巨大な荒波を生み出します。

Q:
1日平均でどれくらいの船が通過する予定ですか?船は一方向の交代方式での運航でしょうか?

アンドリーセン:
平均して1日に19隻の船が通過する予定で、最大で1日100隻の船が運航することができます。進行方向は1時間ごとに変えられる予定です。船舶管制官によってトラフィックは制御され、運航権はすべて商業船舶に与えられます。


Q:
この種のショートカットでは、運河が作られるのが一般的です。なぜトンネルを作ろうとするのでしょうか?

アンドリーセン:
それは300メートル超えの丘を越えるためで、唯一の選択肢がトンネルだったからです。海洋学的知見からはいまだに「運河」と呼べるものですが、屋根があるということです。


Q:
おそらく観光業や建設業などで雇用が増大しそうですが、それ以外に船舶用トンネルにはどんなメリットがありますか?

アンドリーセン:
漁業に大きな影響を与えると考えています。この海域の魚は産地から市場へと長距離運送されており、スタッド海は鮮魚を市場に届ける大きな障害になっています。また、ベルゲン-オーレスン間をより短い時間で結ぶ高速客船も実現可能になるでしょう。スタッド半島周囲の気候変化によって危険がもたらされるため、運航状況を正確に予測して組み立てることは現在は不可能です。船舶用トンネルによってHurtigrutenのような大型客船も、より快適な船の旅が可能になるでしょう。


Q:
大規模な船舶用トンネルはどのようにして建造されるのですか?掘削機や爆薬を使うのでしょうか?

アンドリーセン:
まず、水平方向に掘削し、その後爆薬を使ってトンネルの屋根部分を削ります。そして、アンカーやボルトを打ち込み、ショットクリートで固めます。このような一連の工程で掘り進める予定です。天井と海面下12メートルまでの垂直方向への掘削は爆薬で行います。

Q:
どれくらいの量の岩がどのようにして取り出されるのですか?

アンドリーセン:
30億立方メートル以上の岩石が取り除かれます。トンネルからの移送は大きな艀(はしけ)で行う予定です。


Q:
自動車用の道路トンネルと比べた時に、船舶用トンネルにある特徴的な課題は何ですか?

アンドリーセン:
課題はトンネルの高さです。海底から屋根まで50メートルもあるStad Ship Tunnelでは、安全な作業とショットクリートの打設は段階を経て行う必要があります。トンネルの両端に岩石を残すことで、内部に海水が浸入しないようにして工事を行う計画です。


Q:
どれくらいの人が取り組み、どれくらいの期間がかかりそうですか?

アンドリーセン:
平均80人が3~4年間働くと想定しています。

Q:
最後に、Stad Ship Tunnelプロジェクトが実現する可能性はどれくらいでしょうか?

アンドリーセン:
このプロジェクトはすでに「国家の交通計画」に組み込まれているので、間違いなく進んでいく予定です。


船舶の安全を主たる目的で作られるStad Ship Tunnelですが、トンネルの両端の海岸線には道路もあることから、見晴らしも良く、世界で初めての船舶用トンネルはノルウェーの大きな観光資源になる可能性もありそうです。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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