単純な仕掛けで自動運転車の身動きを封じてしまう恐るべきトラップ
道路や周囲の状況を判断しながら走行する自動運転車には人工知能(AI)が搭載されているのですが、その判断能力を逆手にとることで、ひとたび罠に入ると自動運転車が身動きを取れなくなってしまうコンセプトが公表されています。
Meet the Artist Using Ritual Magic to Trap Self-Driving Cars - Creators
https://creators.vice.com/en_us/article/meet-the-artist-using-ritual-magic-to-trap-self-driving-cars
ロンドン在住のクリエーターであるJames Bridleさんが作ったのが、この実線と破線で描かれた2つの輪。「Autonomous Trap 001」と名付けられたこの作品は、中にはちょうど自動車が入る大きさになっており、自動運転車がこの中に入ると身動きが取れなくなってしまうとのこと。
実際にこの作品を作っている風景が以下のムービーに収められています。
Autonomous Trap 001 on Vimeo
広い駐車場に停められた一台の自動車。
その回りに、白い物体で円を書き始めました。
ぐるっと自動車を取り囲んだら……
次は、その円の外側に破線で円を描き始めました。なお、この白い物体は塩が使われているとのこと。
ぐるっと取り囲んだらコレで完成。
実際に自動運転車の動きを封じる様子はこんな感じ。道路から駐車場に自動運転車が入ってきて……
2重の円の中に入ると……
ビタッと動きが止まり、身動きが取れなくなりました。この後、ムービーが終わるまで再び自動車が動き出すことはありませんでした……。
これは、自動運転車が道路に描かれた車線を読み取りながら走るという仕組みを「ハック」するというもの。破線から実線へは「進入してよし」であるのに対し、実線から破線へは「進入不可」という海外の道路標記のルールに従い、円の中には入れるものの、ひとたび入ってしまうと「進入禁止」の線に囲まれてしまうことで、完全に動きを封じられてしまうというコンセプトを表現したものというわけです。
なお、実際に使われた車両は自動運転車ではないとのこと。プログラマーでもあるBridleさんは自身で開発したAIのコードを以下のGitHubで公開するなど、自動運転車の開発にも携わっているのですが、このアートは発展途上にある自動運転テクノロジーを理解する上において、時には妨害を行ったり反旗を翻すことも必要であることを表現したものだそうです。
GitHub - stml/Austeer: A simple Android app for tracking movement, speed, and steering angle for self-driving car development.
https://github.com/stml/austeer
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