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ジェフ・ベゾス氏のBlue Originがついに大型ロケットエンジンを組み立て完了、「月へのAmazon計画」も浮上


Amazonのジェフ・ベゾスCEOが立ち上げた宇宙開発企業「Blue Origin」が、今後のロケット開発の要となるロケットエンジン「BE-4」の組み立てを完了させ、ベゾス氏がTwitterで画像と共に発表しました。

Jeff Bezos shows off Blue Origin’s new rocket engine, fully assembled for the first time - The Verge
http://www.theverge.com/2017/3/6/14827530/jeff-bezos-blue-origin-rocket-engine-be-4-new-glenn

ベゾス氏は自身のTwitterでエンジン完成を公表。ツイートでは「1基めのBE-4エンジンが組み立て完了。2基めと3基めもまもなく完成予定」と記しており、複数のエンジンが組み立てられていることが明らかにされています。ちなみに、ツイートに付けられているハッシュタグ「#GradatimFerociter」は、ラテン語をもとにしたBlue Originのモットー「Gradatim Ferociter」で、英語の意味は「Step by step, ferociously (一歩ずつ、どう猛に)」というもの。

1st BE-4 engine fully assembled. 2nd and 3rd following close behind. #GradatimFerociter pic.twitter.com/duE4Tnzvkx

— Jeff Bezos (@JeffBezos)


BE-4エンジンはBlue Originが開発するロケットエンジンの第4世代にあたるもので、液化天然ガス(LNG)と液体酸素を燃焼させて55万ポンド(約250トン)の推進力を生みだし、貨物や人を地球周回軌道にまで打ち上げる能力を有しています。詳細な仕様は公開されていませんが、エンジン全体の高さは以下のようにおよそ15フィート(約4.5メートル)と推測されます。


ちなみに、一つ前の世代にあたるBE-3エンジンは液体水素と液体酸素を燃焼させるタイプ。BE-4で採用されている天然ガスを用いる「LNG推進系」は、液体水素と液体酸素を燃焼させる「水素推進系」に比べて性能面では劣るものの、宇宙空間での保存により適していることや、燃料そのものが安価なために打ち上げコストが低い、水素と比較して高密度のためにロケットのサイズを小さくできるなどのメリットがあります。

前世代となるBE-3エンジンは同社のロケット「New Shepard」に採用されています。New Shepardがロケットカプセルを打ち上げた後に自動操縦で地上に向けて降下し、BE-3エンジンを逆噴射させて着陸することが可能。以下の記事ではその一部始終を見ることができます。

ベゾス氏のロケット企業「Blue Origin」が乗員脱出テストに成功、民間ロケットでSpaceXを猛追へ - GIGAZINE


BE-4エンジンに関してベゾス氏は以下の画像もTwitterで公開。「BE-4が輸送用クレードル(架台)に載せられた写真をもう1枚」と書かれています。クレードルに載せられてどこへ運ばれるかは不明ですが、おそらくこのエンジンはこのあと実際に火を入れての燃焼実験の段階に進むものと思われます。

Here’s one more shot of BE-4 in its transport cradle. pic.twitter.com/T2HdZ3UtQZ

— Jeff Bezos (@JeffBezos)


BE-4エンジンはBlue Originが開発する次世代大型ロケット「New Glenn」に搭載されることになっており、New Shepardと同様に第1段ロケットは地上に帰還して着陸するようになる予定とのこと。SpaceXの大型ロケット「Falcon Heavy」やユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のDelta IV Heavyよりも(少なくともサイズ面では)大型になることが予定されており、人類が作りだした最大のロケット「サターンV」に次ぐ規模となっています。


現在アメリカが打ち上げているロケットのうち、Atlas Vはロシア製のロケットエンジンRD-180を使用しており、いわばロシアに一部を依存している状況。Blue OriginはBE-4の開発にあたり、「アメリカがロシアのロケットエンジンに依存している状況を終了させる」ことを目的としているとのこと。

BE-4エンジンについて、Blue Originは以下のファクトシートを公開しています。

(PDF)BE4_FactSheet.pdf


ベゾスCEOのもとでロケットの開発を進めるBlue Originですが、一部では月への物資や人員を輸送する「Blue Moon」と呼ばれる計画を練っていることも明らかになっています。7ページにわたる計画案がオバマ元大統領からトランプ大統領への移行チームとNASAに提出されたとのことで、月へ物資を届けるロケットを建造し、水の氷が存在すると考えられている月の南極に輸送するための月面輸送車を送り届けるという、Amazonをほうふつとさせる計画が掲げられているとのことです。

An exclusive look at Jeff Bezos’s plan to set up Amazon-like delivery for ‘future human settlement’ of the moon - The Washington Post

Jeff Bezos says NASA should return to the Moon, and he’s ready to help | Ars Technica

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in ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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