子どもたちの会話を密かに録音し収集していたスパイ人形が発見される

テクノロジーの発展と共に子ども向けのおもちゃも日々進化を遂げており、昔では考えられなかった対話型のロボットや人形がたくさん登場しているのですが、その中には親に知らせずに子どもの会話を録音し収集しているおもちゃがあることが明らかになりました。

Microsoft Word - EPIC-IPR FTC Genesis Complaint .docx - EPIC-IPR-FTC-Genesis-Complaint.pdf
(PDF)https://epic.org/privacy/kids/EPIC-IPR-FTC-Genesis-Complaint.pdf

These dolls are spying on your kids, consumer groups say - CNN.com
http://edition.cnn.com/2016/12/08/health/cayla-ique-ftc-complaint-trnd/

Talking Doll My Friend Cayla May Be Recording What Children Say, Privacy Groups Charge : All Tech Considered : NPR
http://www.npr.org/sections/alltechconsidered/2016/12/20/506208146/this-doll-may-be-recording-what-children-say-privacy-groups-charge

ワシントンに本部がある非営利組織「電子プライバシー情報センター」が連邦取引委員会に提出した苦情および調査依頼書によれば、会話を録音して収集していたのが見つかったのは対話型人形の「My Friend Cayla」と対話型ロボットの「i-Que robot」とのこと。この2つの製品はGenesis Toysという企業が開発を手がけており、録音された会話はGenesis ToysとNuanceという企業のサーバーに送信されていました。

録音データを収集していたことが判明したのは以下の2つの製品です。

My Friend Cayla
http://www.myfriendcayla.com

i-Que Robot
http://ique-robot.co.uk/

Nuanceは音声認識ソフトウェアを開発する企業で、法執行機関や軍隊、諜報機関が声紋認識の照合に使用するデータベースを所有しています。電子プライバシー情報センターは、NuanceがGenesis Toysのおもちゃで収集した録音データを、軍隊や法執行機関向けに販売している製品の向上に使用している可能性があると主張。「録音を収集する機能」についてユーザーとなる子どもの親に説明がなされておらず、ユーザーの許可なしで録音データを収集することが法律に抵触する可能性もあります。

また、女児向けのMy Friend Caylaはディズニーに関連する発言が多くプログラムされており、これがステルスマーケティングに当たるのではないかとの指摘があります。「私の好きな映画はディズニーの『リトル・マーメイド』だよ」「私の好きな曲は『Let it Go(アナと雪の女王)』」「ディズニーランドに行くのが大好き」などといったセリフが事前に用意されていて、「子どもがこれは広告だと気づくのは難しいことだ」と電子プライバシー情報センターは主張しています。

なお、Nuanceは録音したデータを第三者に提供している事実はないと公式ブログで否定しました。

My Friend Caylaに「私の秘密を話してもいい？」と聞くと、「どうぞ。でも静かにしないといけないよ。誰にも話さないと約束する。私と君だけの話だよ。だって私たちは友達だものね」と答えるそうですが、実際のところは全て筒抜けになっていたようです。

なお、対話型人形が盗聴などに使われる可能性は以前から指摘されていました。

子どもと会話する「スマート」バービー人形がプライバシーを侵害する可能性 - GIGAZINE