メモ

自身も入国できない国「リベルランド」を建国した男


セルビアとクロアチアの国境に「リベルランド」という、2015年にできたばかりのミクロ国家があります。国土はわずか7平方kmの湿地で、現在は無人。「建国の父」であり初代大統領でもあるヴィト・イェドリチカ氏すらも足を踏み入れることができないという国ですが、「建国」時には30万を超える人々が市民権を求めて申込をしていて、イェドリチカ氏はいつの日かリベルランド人による共同体を成立させることを目指しています。

Liberland.org - Introduction
https://liberland.org/en/main/


The man who created a tiny country he can no longer enter - BBC News
http://www.bbc.com/news/magazine-37941931


CNN.co.jp : ミニ国家「リベルランド」建国、世界で最も新しい「国」に
http://www.cnn.co.jp/fringe/35063738.html

イェドリチカ氏は1983年9月6日生まれ。2001年から市民民主党のメンバーとして活動していましたが、2008年にプラハ経済大学を卒業して国際関係論で学士号を取得したのち、2009年に結党された自由市民党に参加。地元・フラデツクラロヴェの地方委員長として活動しています。


政府の過剰な介入に対抗する政治活動を続けてきたリバタリアンであるイェドリチカ氏は、アメリカの第3代大統領で建国の父の1人であるトーマス・ジェファーソンの誕生日に合わせて、2015年4月13日にドナウ川西岸の中洲ゴルニャ・シガに「リベルランド」を建国しました。

ゴルニャ・シガはもともとはセルビアの領土でしたが、1990年代のユーゴスラビア内戦が終結したときクロアチアの支配下にありました。しかし、クロアチアはゴルニャ・シガをセルビアに返還することで有利な国境線の画定を考えていました。一方のセルビアは他に広い領土を得ていたので、ゴルニャ・シガの返還を受け入れるつもりはありませんでした。両国、それぞれに異なる意図から「ゴルニャ・シガはいらない」と考えて領有権を主張せず、結果、このゴルニャ・シガは無主地となっていました。イェドリチカ氏は、この状況に目を付けたわけです。


イェドリチカ氏は彼女や友人らとともにゴルニャ・シガを訪れて旗を立て、初代大統領に選出されました。オンラインで「国民」を募集したところ、30万人を超える人々から市民権の申込があり、現在までにリベルランド国民は50万人以上にまで膨れあがっています。しかし、国といっても実際にゴルニャ・シガを領有しているわけではなく、クロアチアからリベルランドに入国しようとしたイェドリチカ氏は逮捕され、罰金を科されました。2016年夏には、クロアチアへの入国すら断られたそうです。

このように、大統領すら国に入ることのできないリベルランドはクラウドファンディングや寄付で「運営資金」を募っています。現在はプラハの自宅が「大使館」ですが、イェドリチカ氏はボートハウスを係留して、そこを「リベルランド大使館」とする計画を立てているとのこと。

イェドリチカ氏は現在、罰金を科された件についての訴訟の決着を狙っています。もし罰金を科されたのが国境侵犯なのであれば、ゴルニャ・シガはクロアチア領ではないことをクロアチアの裁判所が認めたことになるためです。しかし、この件についてはクロアチアの上級裁判所が有罪判決を覆し、下級裁判所に再審するよう差し戻したとのことです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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